太鼓判ブリーダー日記Vol.48

新型コロナウイルスが猫同士に感染拡大する可能性について

[2020/05/15 6:01 am | Cattery Amangroup/阪根美果]

5月14日に東京大学医科学研究所のチームが発表した論文が、米医学誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」に掲載され、「新型コロナウイルスの感染が猫の間で広がる可能性がある」と話題になりました。実験は米ウィスコンシン大学の獣医学研究所で行われ、人から採取したウイルスに感染させた猫と未感染の猫を同じケージで飼育し、数日後にその感染結果を見るという方法がとられました。数日後に3組のペアともに未感染の猫からウイルスが検出されたそうです。

これを聞くと、猫の飼い主は「どうしよう」と心配だけが先に立ってしまうかもしれません。しかし実際のところは、陽性反応を示した猫に目立った症状はなく、重症化する可能性は低いと見られています。もし猫が感染しても、飼い主は気が付かないだろうということです。ですから、愛猫が感染しないようにするためには完全室内飼育にして、ほかの人や猫との接触をしないこと。そして、これまでどおりに飼い主がウイルスに感染しないようにしっかりと対策をすること。そうすれば愛猫を守れるのです。万が一、病気やワクチン接種などで動物病院へ行った際には、念のため愛猫の体や手足などを次亜塩素酸水などを含んだもので拭き取るなどするとよいと思います。

人→猫→人という再感染の可能性があるのかどうかはまだ不明とされています。また、全米獣医学協会の専門家は今回の実験結果については「あくまでこの結果は実験室での結果なので、通常の環境下で起こることを意味するものではない」と否定的な見解を示しています。確かに、もし通常の環境下で簡単に感染が拡大するとしたら、もっと膨大な猫の感染報告が世界中でされてもおかしくないと思うのです。

いずれにしても、飼い主自身がウイルスに感染しなければ愛猫への感染は防げるわけなので、その点を重視していくのが得策でしょう。まだ、明らかになっていない部分もたくさんありますし、それぞれの報道の仕方や表現で違う意味にもとれる場合があります。日々の情報に右往左往するのではなく、しっかりとした機関の正しい情報を入手しながら、落ち着いて新型コロナウイルスに立ち向かっていきたいものですね。

[Cattery Amangroup/阪根美果]