コロナ禍でペットを飼う前に考えるべきこと

[2020/05/08 6:01 am | 阪根美果]

新型コロナウイルスの感染拡大で緊急事態宣言が出され、外出自粛が続いています。現在の緊急事態宣言は5月6日までとされていましたが、約1カ月程度の延長が政府より伝えられました。すでに多くの企業がテレワークを取り入れており、自宅で勤務することが日常となっています。そんななか、「ペットがいたら癒される」と犬や猫を飼う人が増えています。先日もあるホームセンターのペットショップで、ボーダーコリーを購入する家族を見かけました。「パパがテレワークで家にいるし、散歩も頼めるから飼おうと思って」と店員に話していました。

じつは海外においてはブリーダーや動物愛護団体から犬や猫を迎える動きが広がっていて、ある動物愛護団体ではシェルターにいた全部の犬や猫に飼い主が見つかったというニュースも伝えられています。愛犬家や愛猫家が増えることは、とても喜ばしいことだと思います。しかし、「かわいいから」「癒されるから」「時間があるから」とこの時期に安易に飼ってしまうと、コロナ禍が終息を迎えたときに、大きな問題を抱えることになるかもしれません。

コロナ禍がもたらすストレス

新型コロナウイルスに関するさまざまな情報が溢れかえり、どう対応したらよいのかがわからず、不安な日々を過ごしていることと思います。感染拡大で先が見えないこと、対処する薬がまだ見つからず死に至る可能性もあること、生活の萎縮が進んでいることを考えると恐怖や不安を感じることもあるでしょう。長期間にわたる外出自粛やテレワークは、人によっては大変なストレスになります。

通勤時間が削減され、そのぶん時間に余裕ができたとはいえ、ひとり暮らしの場合には孤独を感じることもあるようです。また、家族がいる場合には、普段はそれほど長い時間を家族で過ごすことがないので、その存在自体がストレスになり、揉め事が勃発してしまうこともあるようです。夫婦間では「コロナ離婚」という言葉も聞かれるほどなので、深刻な事態でもあります。

そんなとき、犬や猫などのペットが傍にいてくれれば、心の支えとなり、孤独感もずいぶん軽減されることでしょう。また、ペットがいることで会話が弾み、家族の揉め事もかなり軽減されることでしょう。ペットが与えてくれる恩恵は計り知れないのです。筆者も自身の経験から、ペットを飼うことを強く推奨したいところですが、安易に勧められないのはそこに責任と覚悟が必要だからです。

テレワークはずっと続くわけではない

確かに、新型コロナウイルスは感染拡大を続けていて、いつ終息するのかわからない状態です。「かつての日常は失われた」と4月7日の記者会見の席で安倍首相が発言したように、日常生活はまったく違ったものとなり、多くの人がその終息は「来年以降」と予測しています。この状態が続き、テレワークでも十分に業務が果たせると考えた会社は、終息後もテレワークを導入するかもしれません。自宅にいる時間が多い現在の状態であれば、犬や猫などのペットとの暮らしも楽しく充実したものとなるでしょう。

しかし、その終息の時期は誰にもわからないものです。私がペットショップで見かけたボーダーコリーを飼った家族も、数カ月後には散歩係のパパがかつての日常に戻るかもしれません。そうなったときにパパの代わりに散歩に行ける家族がいるのでしょうか?

ひとり暮らしの飼い主が通常の生活に戻ったとき、そのペットを飼い続けることができるのでしょうか? このコロナ禍のテレワークは、ずっと続くわけではありません。日常が戻れば、ペットとの暮らしもまったく別のものになります。その点をしっかりと考えたうえでペットを迎えるようにしないと、飼い主だけでなく、ペットも寂しく悲しい思いをすることになります。

飼い主不在の時間が長くなれば、世話も、遊んでもらえる時間も少なくなり、今度はペットが孤独感を募らせることになるでしょう。万が一、「飼えない」とペットを手放すことがあれば、それこそペットの心が壊れてしまうかもしれません。飼い主の独りよがりの考えだけで、このコロナ禍の時期にペットを飼うことは避けるべきだと考えます。

終生飼養ができますか?

犬や猫などのペットを飼うことは命を預かるということです。ペットが寿命を迎えるまで、愛情を注ぎながら適切に育てていく義務があります。犬や猫は長寿であれば15年以上生きるのです。新型コロナウイルスが終息し、テレワークが終わったからといって、「飼えない」と手放すようなことはあってはならないことです。ペットを飼うことは想像以上に「手間」も「時間」も「お金」もかかります。テレワークが終わっても飼い続けられる環境であるかどうか、また終生飼養の覚悟があるかどうか、しっかりと考える必要があります。

ペットを飼いたいと考えている方は、以下の項目を読んで本当にペットを飼うことができるのかチェックしてみてください。

□ペットに愛情を注げますか? ペットも家族の一員と考えられますか?
□家族全員が飼うことを納得し、散歩やトイレ掃除、給餌などの協力をしてくれますか?
□ペットの生涯に渡り飼い続けることができますか?
□ペットを飼うことが可能な家や環境ですか? 鳴き声などでご近所とトラブルになりませんか?
□ペットを飼うだけの経済力はありますか? 飼育費・医療費など負担できますか?
□飼うペットは飼い主の状況や環境に合っていますか?
□飼い主の義務である避妊・去勢手術をきちんと行えますか?
□十分な世話やしつけ等ができますか? その時間がありますか?

飼っている間には楽しいことばかりでなく、飼育に悩むこともあります。飼うと決めたら入手先は動物愛護団体、ペットショップ、ブリーダーなど様々な選択肢がありますが、いずれにしても困ったときに相談に乗ってくれるようなところから譲ってもらうことをお勧めします。良き相談相手がいるのといないのとでは、飼い主とペットが幸せに過ごしていける「幸福度」が大きく違います。また、相談相手がいることで飼育放棄してしまう可能性も減ることでしょう。

まとめ

今は外出自粛やテレワークなどで、自分の意志とは関係なく、自宅で過ごさなければならない時間が増えています。そのぶん、自由な時間は増えたかもしれませんが、気持ち的には不自由さを感じていることでしょう。そんななかでも筆者が穏やかな気持ちでいられるのは、愛犬や愛猫とともに多くの時間を過ごし、癒されているからだと実感しています。

このコロナ禍の最中にペットを飼いたいと思う人がいるのも大いに共感できます。動物保護団体や保護猫カフェなどはコロナ禍で譲渡会の開催機会をなくし、存続への危機感をも募らせながらWeb譲渡会を行ったりしています。興味をもって、そういうところから迎えて頂ければ、救われる犬や猫もたくさんいることでしょう。

しかし、ペットを飼うということは「癒し」だけを求めて成り立つものではありません。日常の世話や飼育費が必要なのはもちろんのこと、飼い主と同じように病気になったり、介護が必要になったりもします。ペットの生涯に渡って、どんなときもずっと一緒に過ごしていけるかどうかをしっかりと考えて、真摯に迎えてほしいと思います。そして、コロナ禍が終息した後に、ペットが路頭に迷うことがないようにと心から願っています。

[阪根美果]