賢者の目 Vol.24

ペット先進国・ドイツを視察して~Vol.4 Interzoo編~

[2016/08/25 6:00 am | 越村義雄]

世界最大のペット関連のインターナショナルトレードショー「Interzoo2016」がドイツのニュルンベルクで2016年5月26日から29日まで開催された。

Interzooの入場ゲート
入場前に申込書を記入する来場者たち

Interzooは1988年に開催されて以来、2年に1回開催されており、今回で34回目を迎えた。一般の来場者はなく、すべてトレードの方々を対象とする展示会である。Interzoo2016の来場者数は次のとおりである。

初日の5月26日の午前中はドイツ語と英語による記者会見、記者のための展示会場のツアー、公式開会式セレモニーが開かれた。私もアジア太平洋地域で最大のペットフェアーのCippsの代表者とともに開会式のセレモニーに参加させていただいた。その後、29日の17:00までトレードショーが開催された。

開会式のセレモニーの様子
ドッグケアセンターも整備されている
商談スペースを十分に取っている企業も多い

初日は開場前に長い列ができ、入場するのに30分以上の時間がかかっていた。入場料はワンデーパスが22ユーロ(約2420円)、全期間有効のパスが35ユーロ(3850円)となっている。じっくり見るには1日ではとても足りず、最低でも2日~3日、4日間時間をとれれば理想だろう。プレス関係者用には広い部屋が用意され、コンピューター、複写機、FAX、食事、飲み物などが用意されている。

記者のために広大なプレスルームも用意されている

広大な会場には、ペット(犬、猫、小鳥、小動物、鑑賞魚、両生類、爬虫類等)用のフード、アクセサリー、グルーミング用品、サービス関連の製品などが展示されていた。

パッケージ制作の企業も出展
鑑賞魚を扱う企業も多い

今回のInterzoo2016では、健康面をサポートする製品、生態学上動物をサポートする製品、現代的かつモダンなデザインを施した製品、そして技術革新に重きをおいた製品などが見受けられたのが特徴だ。また、ペットのサプリメントも人気だった。ベジタリアンが犬にあげたいと思う製品、穀物不使用のペットフード、犬が喉につまらせないようなおやつなど、さまざまな製品が展示されていた。

ナチュラルの製品が多くみられる
最近はペットのスナックとしてリーフが注目されている

展示物を数量ベースで分析すると、犬猫用品が41%、鑑賞魚・小動物用品が12%、小鳥用品が9%、小動物の飼育器が6%、乗馬関連が3%、ペットの洋服関連が2%となっているとのこと。

カラフルでオシャレな猫砂のパッケージ
猫用の運動器具も展示されていた
各社ブースでのアピール方法も凝っている

展示会場は13の会場に分かれ、中国は展示会場の2つをメインに展示スペースとして確保し、タイやシンガポールの国などは、まとまって出展している。日本も素晴らしい製品が多いが、日本の出展社は単独での出展になっている。一緒に団結して出展するなど、日本の高品質で優秀な製品をアピールする場にしてはどうかと考えている。自動車、家電、精密機械など、日本は輸出産業で経済を発展させてきたが、日本の人口減少、高齢化をかかえ、日本でのビジネスの再構築はもちろんのこと、日本のペット関連業界も本格的な輸出を検討する時代に入ったと言っても過言ではないだろう。

オランダからはマーケティングの会社が出展
香港企業は団体として出展していた
日本の出展社は単独での出展となっていたが、ドギーマンとキョーリンが出展

開催前日の午後にはサミットが開催された。インターナショナルのビジネスリーダーたちが集まり、グローバルのメガトレンドについて議論がなされた。その中で、デジタルを活用する時代に、ペット関連ビジネスもデジタルを駆使した戦略やアプローチが必要だとの結論が出た。

Interzooは、従来は木曜日から日曜日までの開催だったが、土曜日は小売業にとってもっとも売上が上がるので、土曜日は避けたいとの声が大きく、また、ドイツのディーラーは日曜日を避ける傾向にあるので、2018年以降は火曜日から木曜日まで開催される予定である。これにより、ドイツを訪れた海外からの人々が土日にリラックスして観光などができるようにとの配慮もある。

また、11月10日~13日までは、アジア太平洋地域最大の第20回チャイナ・インターナショナル・ペット・ショー(CIPS 2016)が広州で開催される。CIPSでも前日の9日にビジネスフォーラムが開催される。そこでのプレゼンとフォーラムを通じての座長・進行役を仰せつかった関係で、主催するCIPSの社長およびビジネスフォーラムを運営するオランダの会社の代表とInterzooの会場で打合せを行ってきた。読者のみなさまもお時間が許せば、このビジネスフォーラムにもご参加いただけることを願っている。

次回は、米国ラスベガスで8月2日から4日まで開催された「SuperZoo2016」の様子を報告したいと思う。

[越村義雄]