「ペット産業は幸せ創造産業」と認識すると無限の可能性を持つ!

私は1978年に電気通信のコンサルティングの会社に8年間勤め、主に国内および発展途上国(ヨルダンやバングラデシュ)の電気通信の発展に従事した。その後、ペット関連業界に入り、今年で37年が過ぎた。これまで、ペットビジネスの発展に関与してきたが、ペットと暮らすことは、人間にさまざまな効用をもたらしてくれることが欧米を中心に証明されてきた。

今月の10月2日に、厚生労働省が2014年度の日本の医療費が初めて40兆円を超えたと発表した。増加は12年連続とのことである。日本の高齢化率(65歳以上の人口)が26.7%になったことで、治療を受ける人が増えていることが主因だ。試算では、団塊の世代が75歳以上になる2025年度には54兆円になる。

少し古いデータにはなるが、ペット飼育による医療費抑制について、ドイツでは年間7547億円、オーストラリアでは、年間3088億円の節約効果が報告されている(ヒーディらの研究:1985年)。

 また、日頃「ストレスを感じている人」の通院回数が、犬と暮らしていない人が年10.37回に対して、犬と暮らしている人は年6.2回にとどまっている(シーゲルの研究:1990年)。昨年ペットフード協会では、政府が現在推進している健康寿命(日常的に介護を必要とせずに自立した生活ができる年数)の延伸に関連して、外部調査機関を通じて、健康寿命を調査したところ、興味深いデータが明らかになった。

「犬と暮らし、散歩に行く人」の健康寿命は「ペットと暮らしていない人」に比べて、男性は0.44歳、女性は2.79歳も健康寿命が長いことがわかった。女性の健康寿命が長い理由は、女性は高齢期に関節炎などを患う方が多いが、犬との散歩で予防できていると推測される。

ペットと暮らすことが健康にいいことは、ほかにも多くある。この意味で、ペット産業は「健康産業」である。加えて、「平和産業」、「教育産業」、究極的には「幸せ創造産業」と言っても過言ではない。それらを証明する研究データもあり、後日紹介させていただきたい。ペット産業を幸せ創造産業と捉えると、人にとっても動物にとっても無限の可能性が見えてくる。

人とペットの幸せ創造協会では、日本において、人とペットが幸せに暮らすことができるインフラ整備を目指したいと考えている。私が実行委員長を拝命している、今年の第4回ペットとの共生推進協議会のシンポジウム(11月14日:大阪、11月15日:東京)では、「ペットとの暮らしと社会のインフラはどうあるべきか」をテーマとして、それぞれの分野の先生のご登壇いただく。

また、人とペットの幸せ創造協会では、人にとっても動物にとっても世界で最も幸せな国にしていきたいと考えている。この目的の一部を達成するため、「高齢者とペットの豊かな共生」の先進事例を学ぶアメリカ視察ツアー、11月30日~12月5日(全米屈指のペット共生高齢者住宅「Tiger Place」と高齢者ケア視察)を企画している。ご興味のある方は、協力先の一般社団法人ふくしまプロジェクト(電話:0242-85-8325またはメール:info@fukushimaproject.org)までお問い合わせください。このツアーのレポートについても、いずれ記事でご紹介したいと思う。