賢者の目 Vol.4

「一般財団法人日本ヘルスケア協会」の設立は、ペット産業にどのようなインパクトを与えるか?

[2015/11/19 6:00 am | 越村義雄]

先日、平成27年11月2日の日本経済新聞夕刊一面に、一般財団法人日本ヘルスケア協会が設立されるとの記事が紹介された。翌日の日本経済新聞には、設立総会の様子が詳しく紹介されたとおり、私もペット関連業界を代表して、発起人並びに設立時理事として名を連ねさせていただいた。政治家の先生方、行政、大学、学識者、企業、団体が名を連ね、業界横断でヘルスケアを推進しようという考え方である。

一般財団法人日本ヘルスケア協会は、英文では、Japan Association of Health care Initiative (JAHI)と表記する。英文のInitiativeが示すとおり、単なる協会ではなく、率先して事業を展開することを意味する。

当法人の目的は、国民の健康を将来にわたって維持し、増進させるための仕組みの構築に関する事業を行い、わが国社会の健全な発展に寄与することを目的としている。

日本ヘルスケア協会は、下記の名称の一部が変更になる場合もあるが、さまざまな部会、委員会、プロジェクトを設置し、日本ヘルス学会と連携を図り、事業の普及推進を行っていく。


    日本ヘルスケア協会が今後取り組む普及推進事業
    1.セルフバイタルチェック普及推進事業
    2.機能性表示食品普及推進事業
    3.スマイルケア食普及推進事業
    4.健康体操、運動普及推進事業
    5.突然死撲滅とAED機器普及推進事業
    6.ペットケア普及推進事業
    7.受信勧奨GL作成普及推進事業
    8.OTC医薬品、漢方医薬品普及推進事業
    9.在宅介護・高齢者対応普及推進事業
    10.地域における在宅介護支援普及推進事業
    11.情報提供システム構築と普及推進事業
    12.街の安全・安心普及推進事業
    13.事業者間(BtoB)、事業者・生活者間(BtoC)健康情報システムの構築と普及推進事業
    14.健康ハブステーション機能普及推進事業
    15.その他、健康寿命延伸に関わる普及推進事業

上記の項目6にペットケア普及推進事業が入っている。このことが意味することは一体どういうことか?

それは、ペットと暮らすことがヘルスケアに貢献しうる、ということが社会的に認められたということだ。これは大きな一歩であると言える。

従来、ペット産業は、単なるペットを飼う趣味としか受け取られていなかったが、日本ヘルス協会の事業の中に明記されることで、ペットとの暮らしが、社会的意義があるとの考えにつながる。ぜひこの機会をペット関連業界は大いに活用すべきである。

健康寿命延伸や認知症の予防に体を動かすことや、週3回30分早足の散歩も効果があるという研究が先日発表された。しかも、いろいろなことを考えながら散歩することが脳を活性化し、認知症の予防につながるようである。この点、犬との散歩は犬のケアを考えながらの散歩になるし、近所の方々とのコミュニケーションの推進にも繋がるので、これほど推奨できる運動はない。

上記の項目4に関連して、犬と一緒に楽しむラジオ体操の開発や、従来のドッグダンスの進化などバリエーションも考えられる。項目9に関連しては、高齢者のケアワーカーと同時に、ペットのケアワーカー制度の確立などは、ペット関連業界が提案・実行できることである。さらに項目12では、犬の力を借りてのワンワンパトロールを行うことで、児童が安心して通学、下校できるように、子どもを見守る事業も考えられる。

いずれにしても、日本ヘルス協会の設立に関連して、その事業に参画することで、ペット関連業界が一丸となって、人間の心と体の健康に寄与することを推進し、ペットケアの社会的意義を高めたい。

[越村義雄]