今年はどんな一年でしたか? 2022年のペット業界を振り返る
今年も大晦日を残すのみとなりました。読者のみなさんにとって2022年はどのような年でしたか?
3年目に突入した新型コロナウイルス感染、ロシアのウクライナ軍事侵攻、自然災害や異常気象など将来への不安を感じる出来事がありました。
そうした世相を反映してか、日本漢字能力検定協会が発表した「今年の漢字」は「戦」に決定しました。ウクライナ侵攻や北朝鮮の相次ぐミサイル発射、円安・物価高・電力不足による実際の生活における戦いなどが理由です。
ペット業界でもさまざまな出来事がありました。2022年を振り返ってみたいと思います。
2022年にみられた変化(法改正)
もっとも大きな動きは、改正動物愛護管理法(いわゆる数値規制)がさらに一歩進んだことです。第一種動物取扱業者においては、一人あたりの飼育頭数の上限が今年から段階的に5頭ずつ減らされ、最終的には24年6月に繁殖業が犬15頭・猫25頭、販売業が犬20頭、猫30頭となります。
この規制によって、誰もが悪質な事業者が排除されると期待しました。しかし、実際には目論見どおりには進んでいないことが明らかになっています。動物愛護法違反だけでなく、狂犬病予防法違反、不正競争防止法違反、所得税法違反などでの検挙がニュースになりました。
これらの出来事は法律には限界があること、そして取り締まる側の体制不備が表面化したともいえます。
▶「悪質なブリーダーを排除できず」法改正の問題点
▶犬・猫への愛情は? 「悪質」ブリーダーが狙う「動物愛護管理法」規制の抜け道とは
このような状況を変えることはできないのでしょうか。解決策がまったくないわけではありません。もっとも必要なのは、事業者の資質を問う教育や資格でしょう。獣医師や動物看護師と同様に、国家資格にすることも検討すべきでしょう。
ただし、その法改正には時間がかかります。今できることは、私たち飼い主が考え方や行動を変えることです。具体的には、悪質業者を見極め、そういった業者から子犬や子猫を迎えないことです。ペトハピでは、責任ある“真の”優良ブリーダーから迎えることを推奨しています。
次に、第二種動物取扱業者の問題点も顕在化しました。日本ではほとんどの保護団体が寄付で成り立っています。当然、安定的な運営ができず、存続が困難になった施設も存在します。
そんな状況のなかで、タレントの坂上忍さんが自ら「さかがみ家」という保護施設をつくりました。この施設は寄付ではなく、100%自己資金で運営されています。インタビューでも、現在の保護活動の実情と現状を憂いていることが伺えます。
▶坂上忍さん「保護活動を商売に」に込められた意地
▶坂上忍さんが危惧する「日本の保護活動の行く末」
欧米では、寄付以外にも、セミナーやオリジナル商品などの販売で運営資金を調達するのが通例です。イエローカラーで有名な「Dog Trust」のグッズはセンスもよく、自分で使うだけでなく、プレゼントにも喜ばれそうです。
来年6月には、第二種動物取扱業者にも同じように数値規制かかります。現状で超過状態の保護施設(シェルター)は、飼育頭数を減らす必要が出てきます。それに対応する動きが年末になって出現しました。のら猫バンクが始めた会員制サービス「ねこホーダイ」です。
月額380円の会員制サービスで、高齢者や単身者でも審査やトライアルなしに保護猫を無料で譲り受けることができます。また、飼えなくなった場合にも無料で引き取ってもらえます。
このサービスには各方面から批判の声があがりSNSで大炎上し、結局はサービスを停止しました。説明不足や体制不備を理由としています。もちろん問題の多いサービスですが、批判の内容は表面的なことばかりで、その背景(法改正や現状の保護活動の限界など)が抜け落ちています。
すでに多くの保護施設は、増え続ける保護猫でキャパオーバー状態です。そして譲渡の現状も、飽和状態=供給過多にあるといえます。里親となる人が限界に達しているとも考えられます。
第210臨時国会では「出産・子育て応援交付金事業」が創設されることが決定されました。これは少子化対策が目的ですが、少子化は出生率の低下が原因で、出生率の低下は未婚化の進展が原因とされています。
内閣府の「未婚化の背後にあるもの」によると、未婚化の進展のもっとも大きな要因となっているのが「経済的な不安」で、特に若年男性の経済力低下が挙げられています。雇用情勢、賃金低迷、物価上昇などで、保護であろうとペットを飼えるような状況ではないということです。
以上のことから、「ねこホーダイ」は対象を広げたとも考えられます。実際に多くの保護団体が、高齢者や単身者に譲渡しないという条件を提示しています。この根本を考えない限り、保護問題は解決しないのではないでしょうか。そう考えると、このサービスは保護活動に一石を投じたともいえると思います。
2022年にみられた変化(制度改正)
新型コロナウイルス感染症による行動制限が解除され、リアルイベントが徐々に復活しました。国内最大級のペット総合イベント「Pet博」も復活し、各会場とも多くの来場者で盛り上がりました。ペットや飼い主さんに笑顔が戻っていたのが印象的でした。
▶飼い主もペットも笑顔があふれた!! 大盛況の「Pet博2022 幕張」レポート
▶親ばかギャラリー 犬編 Vol.47(Pet博幕張 2022その1)
▶親ばかギャラリー 犬編 Vol.48(Pet博幕張 2022その2)
ペットとの生活環境を整える家電製品たち
コロナ禍でライフスタイルやワークスタイルが変わりました。リモートワークが推奨され、家で過ごす時間が増えました。ペットと過ごす室内環境を快適にする製品やサービスが発売されました。
ペットと暮らしていると汚れが気になります。抜け毛やフードの食べカス、猫砂の散らかりです。それらは見栄えが悪いだけでなく、放置したままだと衛生面で問題があります。雑菌が繁殖し健康を害することもあるのです。
床の汚れは、気が付いたらすぐに掃除機で吸い取るのが効果的です。ペットと暮らす家庭の掃除機は、掃除能力が高いだけでなく、ブラシに毛が絡みにくく、ゴミ捨てが楽な製品が最適です。ペトハピがお薦めするのは、東芝ライツスタイルの「トルネオ」です。
▶ペットと暮らす家庭の掃除機選びのヒント ~エシカルブリーダーが長年愛用する掃除機とは
ふわふわと室内を舞う抜け毛もやっかいです。掃除機でおいかけるわけにもいきません。そんな時に活躍するのが空気清浄機です。ペットのいる空間では、空気清浄(集じん・脱臭)に特化した「単機能型空気清浄機」が最適です。
▶ペットと暮らす家庭の必需品! エシカルブリーダーが教える本当に使える空気清浄機の選び方
部屋の除菌・消臭には「盾」と「矛」が必要です。「盾」は空気清浄機です。「矛」は付着したウイルスや菌、悪臭成分を清浄する「除菌消臭機」が有効です。効果が高くペットにも安全なのが低濃度オゾンです。
ただし、オゾン発生器(オゾン除菌脱臭器)を購入する際には、必ず店頭やメーカーホームページで「小型オゾン発生装置認定マーク」がついているかを確認しましょう。
▶健全なブリーダーがペットと暮らす家庭の除菌・消臭に「オゾネオ」を薦めるワケ
内装を見直すのも効果的です。ペットが壁紙をボロボロにしてしまい、見栄えも悪くて……というのはペットあるあるでしょう。そこでオススメしたいのが「漆喰」です。日本はもちろん、世界中の家屋で古来から使われてきました。漆喰には、耐久性・抗菌性・調湿性・防汚性などたくさんの効果があります。
▶愛犬も愛猫も家族みんな大満足!ペットと暮らす家が“漆喰DIY”で想像以上の快適空間になった話
ペット業界にもサステナブルな商品や取り組みが浸透
ペットが家族の一員となり、私たち以上に安心・安全な製品が求められるようになりました。例えば「食」。アレルギーに配慮し、ヒューマングレードの素材を使うものが増えましたが、規格外の素材を取り入れたサステナブルなフードも登場しました。
▶鹿の生肉を贅沢に使用。総合栄養食「大自然で育った鹿の肉ごはん」の新製品
▶私たちが食べても旨いエゾシカ肉は、愛犬・愛猫にとって最高のご馳走になる!
さらに、服やグッズにもその流れは見られます。残布・残反を活用したドッグウエアや再生紙を活用したペットグッズなども持続可能な社会の実現に向けた取り組みでしょう。
▶ペット衣料品として初となる「残反」を活用したサステナブルなフレンチ・ブルドッグ犬専用服
▶イタリア老舗生地メーカー「REDA」の高品質メリノウールを使用したペットウエア
▶特別な猫の日に「ねこアースプロジェクト」本格始動。猫のおもちゃとおやつを発売
▶再生紙から生まれたサステナブルな猫用遊具「neuneko BOX」がリニューアル
エシカルというキーワードも
「サステナブル」という言葉に加え、「エシカル」という言葉もペット業界に広まりつつあります。エシカル(ethical)とは、「倫理的な」という意味の英単語です。人や社会、地球環境、動植物、材料や生産者にまで配慮した考え方・行動のことを指します。ペット業界にとって、もっとも大切な概念ではないでしょうか。
▶脱塩素! ペット・人・環境すべてに優しい天然由来成分100%のエシカルな除菌消臭クリーナー「ソイカーム」
今年もいろいろなことがありましたが、みなさんは愛犬・愛猫と楽しく潤いのある毎日を送られたことと思います。
ペトハピは来年も、愛犬・愛猫との暮らしが豊かになって、飼い主のみなさんがちょっと楽しくなるような情報をお届けしたいと思います。今年もご愛読ありがとうございました!
良いお年をお迎えください。
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