Masterpiece 08

愛犬も愛猫も家族みんな大満足!ペットと暮らす家が“漆喰DIY”で想像以上の快適空間になった話

[2021/12/21 6:01 am | Cattery Amangroup/阪根美果]

コロナ禍によるライフスタイルの変化で自宅で過ごす時間が増え、いままで気にならなかったことに目が向くようになりました。ペットと暮らす家庭では、部屋の汚れやニオイが気になるという方も多いと思います。

筆者は世界最大の猫種・メインクーンのブリーダーとして、2000年からキャッテリーを運営しています。今回、キャッテリーを“やきものの里”信楽に移転することになり、物件を自分の思いどおりにリフォームしたいと考え、壁材についてもいろいろリサーチしました。

その結果、安全で快適な空間をつくるという観点から、自然素材の「漆喰」にすることにしました。前回は、これまで使用してきた壁材(クロスや化粧板、アルミ複合板)の問題や、漆喰についての考察をお届けしました。今回は、猫の部屋だけでなく、愛犬の部屋も含めた生活空間すべてを漆喰DIYしました。愛犬や愛猫と暮らしている方の参考になれば嬉しいです。

漆喰「うま〜くヌレール」

「うま〜くヌレール」ってどんな漆喰?

今回試したのは、日本プラスターの「うま〜くヌレール」です。日本プラスターは、創業90年を超える国産漆喰のトップメーカーで、昭和天皇も工場を視察されたこともある漆喰の有名企業です。

日本プラスターの漆喰は、「左官の技による純白な漆喰」から「バリエーション豊かな色鮮やかな漆喰」、「ヨーロッパ調の凹凸で温もりある漆喰」に「DIYで楽しく美しく塗れる漆喰」まで、あらゆるニーズに対応する高品質な漆喰が特徴です。

自然素材ならではの質感・温かみが漆喰の魅力です。また、壁紙・クロス、化粧板やアルミ複合板、塗料にはない数多くの機能があります。日本プラスターは、その機能性「7つの力」としています。

防止力:天然素材がカビを防ぐ
抑制力:湿気を調節し、結露を抑える
消臭力:気になるニオイを消す
不燃力:台所でも安心して使える
安心力:ホルムアルデヒドを除去する
反射力:部屋が明るくなる
快適力:冬は暖かく、夏は涼しい


この機能は、ペットと暮らす家庭だけでなく、一般の家庭でも嬉しいものばかり、まさに安心・安全な壁材といえます。筆者も愛猫・愛犬と暮らしているので、まさに最適な環境だと期待しています。

ただ、従来の漆喰は、水と練り混ぜる必要がありました。そのため、素人の私たちには、練り混ぜの「手間」と「調合の難しさ」という課題がありました。「うま〜くヌレール」は、練り混ぜ不要で、どんな下地にも塗れる高品質のペースト漆喰として開発されました。

愛犬の部屋も生活空間もすべて漆喰壁にしたい!

わが家は母屋と離れが続いたようなつくりになっています。母屋の1Fにはキッチンや洗面脱衣所、浴室、リビング、愛犬の部屋、さらに筆者のプライベートルーム(オフィス兼用)があります。今回は、リビング、愛犬の部屋、プライベートルームの3部屋を漆喰壁にしていきます。

使用した漆喰は「うま〜くヌレール」です。発売から17年の“老舗”漆喰ともいえ、全国のホームセンターなどで目にすることも多いと思います。そして2020年には「グッドデザイン賞」を受賞するなど、優れた漆喰として名実ともに認められました。

うま〜くヌレール コテ
うま〜くヌレール コテ板
うま〜くヌレール 角コテ
うま〜くヌレール 補強専用テープ

ほかのメーカーと異なるところは、漆喰だけでなく、作業道具もすべてオリジナル製品が用意されていることです。ホームセンターで一つひとつ購入するよりも、はるかに手軽です。特に初心者の方は、道具選びで迷ったり苦労するケースが多いので、ぜひオンラインショップで揃えることをオススメします。今回は漆喰の他ほかに、コテ、角コテ、コテ板、補強専用テープを購入しました。テーマカラーのオレンジが気分を盛り上げます。

古壁(繊維壁)でも問題なし!

今回施工する3部屋の壁は、すべて繊維壁でした。「うま〜くヌレール」はシーラーなど必要なく、そのまま塗れるのが特徴ですが、古壁なので、いちおうメーカーに問い合わせてみました。すると、「下塗り(1度目の薄塗り)でアクが出ても、2度塗りすれば問題ないですよ♪」との回答だったので、下地処理せずスタートすることにしました。

継ぎ目や穴などに補強専用テープを貼る
養生はお約束

繊維壁は、板の継ぎ目が目立つ部分がありました。そこに「うま~くヌレール テープ」を貼っていきます。粘着性があるので、繊維壁でも剥がれることなくしっかり貼ることができます。あとは、お約束の養生です。今回も床を畳からクッションフロアにリフォームするので、養生は柱や梁、コンセントにマスキングテープを貼っていきます。

養生が終わり、いよいよ漆喰を塗っていきます。「うま〜くヌレール」がほかの漆喰と異なる点は、蓋を開けるとすぐに使用できる手軽さです。容器に移す手間がありません。すでにペースト状になっているので、すぐに塗り始められます。ただ、私はあえて、はじめに容器(バケツ)内の漆喰を、手でかき混ぜました。そうすることによって、空気が入り体温によって漆喰がふわふわと柔らかくなります。この状態であれば、すぐに塗り始められます。コテ板のうえで練るよりも効率がよいのでオススメです。

まずは一度塗をどんどん進めていく
下地が見えても気にしなくてOK

漆喰の塗り方は、すでに2部屋を経験しているので、お手のもんです。ただ、石膏ボードと異なり、繊維壁は漆喰の水分を吸収し、表面がザラザラしているので漆喰の伸びは落ちます。伸びが悪いと感じたら、壁に軽く霧吹きしておくとよいかもしれません。わが家の場合は、その必要なく繊維壁であってもスルスル塗ることができました。まずは、薄く1度塗りしていきます。下地が見えていても気にせず塗るのがコツです。

端が曲げ加工されているので漆喰がこぼれない
「角こて」があると本当に便利

その後、半乾きになったら2度塗り(上塗り)します。1度塗りでかなりアクが浮いてきましたが、気にせず上塗りしていきます。6畳の部屋を半日くらいで仕上げることができました。慣れもありますが、専用の作業道具の効果も大きかったと感じています。専用コテは軽くとても使い勝手がいいです。コテ板も端が曲げ加工されているので、柔らかい漆喰がこぼれ落ちません。さらに秀逸なのは「角こて」です。入隅(コーナー凹部)と出隅(コーナー凸部)両方がついているので、1本で壁のコーナーをキレイに仕上げられます。さすがオリジナル製品、よく考えられています。一部屋仕上げて1日目は終了です。

よく見るとアクが浮いていた

ただ、翌朝に壁を見てビックリ! なんと2度塗りした壁に若干アクが浮いてきている部分があったのです。どうも、1度塗りの乾燥が足りなかったようです。古壁に塗る時は、半乾きではなく、ある程度乾いてからのほうがよさそうです。今回は完全に乾いていましたが、薄く3度塗りしました。これで美しい漆喰壁ができあがりました。

生まれ変わったリビング
プライベートルームのビフォー
プライベートルームのアフター

愛犬の部屋は、床の間もリフォームしました。犬は窪みを寝ぐらにする習性があります。背後や左右からの攻撃から逃れられるからです。この部分には、大好きなソファを置いてあげます。うま~くヌレールは、白だけでなく、14色のカラーバリエーションがあり、部屋を好きなカラーで仕上げることができます。せっかくなので、1面だけ「みず色」にしてみました。仕上がりは予想以上で、こういった使い方もいいなと思いました。壁をキャンバスのように虹を描いている方もいらっしゃったり、アイディア次第でいろいろな使い方ができます。

愛犬ルームのビフォー
愛犬ルームのアフター

3部屋すべてを漆喰にしたところ、ニオイ(カビ臭)だけでなく、湿度も調整されたのか、清涼な空気感になりました。また、漆喰は反射率が高いのですが、白色にしたのでより部屋が明るくなりました。いままでは、暗い繊維壁だったので日中でも照明が必要でしたが、施工後は照明なしでも十分に明るい室内です。

離れの洋室も猫部屋にすることに決定

次にとりかかったのが離れの洋室です。10畳あるので、現在2Fにいる猫たちの半数がこの部屋にお引越しです。ただ、隣の和室とは引き戸で繋がっているのでこれを壁にしてひとつの部屋にする必要があります。

引き戸を壁にリフォームする

まず、引き戸を撤去して空いたところに壁の下地をつくります。木材で枠組みをつくり、石膏ボードを貼ります。単なる壁では面白くないので、隣の客間から猫が見られるようにアクリル板で「FIX窓(はめ殺し窓)」を造作しました。

引き戸を外して壁の下地をつくる
アクリル板で窓を作った

今回は、ウッド調の部屋の雰囲気にあわせて「パウダーグレー」にすることにしました。まずは、お約束の養生です。石膏ボードの継ぎ目や隙間に「うま~くヌレール テープ」を貼ります。さらに、施工箇所以外への漆喰の付着を防ぐためマスキングテープで養生します。今回は、すでに床を仕上げているので床も養生する必要があります。そんな時に便利なのがマスカーです。

完成度の高さは養生にあり
床はマスカーがあると便利。後片付けも楽ちん

いよいよ漆喰を塗っていきます。蓋を開けると、グレーというよりは石膏ボードと似た黄色に近い色合い。ただ、乾燥してくると色が変わります。まずは、バケツの中で直接こねていきます。はじめは若干粘土のように感じますが、すぐにフワフワと軽くなります。これをやっておいたほうが、どんどん漆喰が塗り進められるのでオススメです。

はじめは少し硬く感じる
すぐに、ふわふわの漆喰になる
ポテっとた漆喰。コテ板には乗せすぎないこと
スーッと伸びていく

前の3部屋と違い石膏ボードへの施工だったのですが、これが塗りやすい。漆喰がふわふわでポテっとしているので、滑らかにスーッと伸びていきます。まずは薄く1度塗りして乾燥させます。前回と違いアク浮きの心配はないので、しっとり乾いた時点で2度塗りしました。慣れもありますが、やっぱり塗りやすいのであっという間に施工完了。

そして、乾いた後の表面は光沢があり、かなり硬くなります。猫が爪を立てても、深く削れることがありません。爪研ぎには硬すぎるのか、この部屋では爪研ぎ被害は皆無です。塗りやすさ、そして美しさと強さをもった漆喰だと思います。

「パウダーグレー」は白にはない表情がある
猫たちも大満足の様子でのびのび暮らしている
反対側には白木で壁を造作してキャットステップを設置

隣の客間では、窓をとおして猫たちがくつろぐ姿を見ながらお話したり、お茶したりできます。ちなみに客間の奥にも和室があり、ゆくゆくは宿泊できるようにします。両方の部屋の壁は土壁です。雰囲気はあるのですが、古さを感じさせ若干暗いトーンなのが気になっています。いずれは、この2部屋も漆喰にしたいと思っています。「うま〜くヌレール」は14色のカラーがあるので、どんな雰囲気にするか今からワクワクしています。

漆喰にして生活にも潤いができた

このように、室内の壁を漆喰という自然素材でリフォームしたことで、私だけでなく、愛猫・愛犬にとっても快適に安心して暮らすことができています。また、自然に囲まれているので、周辺の環境にもあっていると思います。心から漆喰にしてよかったと思います。

自然とも調和する漆喰

繰り返しになりますが、「うま〜くヌレール」は本当に簡単に塗ることができ、誰でも美しい漆喰壁をつくることができます。女性の私でもできましたし、お子さんのいる家庭では工作気分で楽しんで塗れると思います。また、専用の作業道具も用意されているので、用具選びで迷うこともありません。DIYで仕上げた漆喰壁は、部屋の雰囲気だけでなく空気環境さえ変わります。さらにお家に愛着がわくと思います。

なお、本当にうまく塗れるか心配という方は、実際に塗り体験をオススメします。日本プラスターでは、東京と京都に「うま〜くヌレールLABO」という漆喰を体感・体験できる施設を持っています。ここでは定期的に「漆喰DIY教室」が開催されており、無料で専門スタッフに教えてもらいながら漆喰体験ができます。さらに全国のホームセンターでも「実演・お試し塗り会」を開催しています。興味がある方は、ぜひ体験してみてください。

[Cattery Amangroup/阪根美果]