犬との絆が健康寿命を伸ばす! 科学が解明する心と体への効果
古来より、犬は人間の最良の友として喜びや悲しみを分かち合い、生活をともにしてきました。その絆は単なる友情を超え、私たちの心身に計り知れない恩恵をもたらすことが、近年の科学的研究によって明らかになっています。
犬との生活は、私たちの身体にさまざまなプラスの効果をもたらします。犬との散歩は自然と運動習慣を促し、心臓病や高血圧のリスクを低下させます。実際に、犬の飼い主は、そうでない人と比較して、心血管疾患による死亡リスクが低いという研究結果も報告されています。
犬との触れ合いは、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌を抑制し、血圧を下げる効果も期待できます。ウォーキングやジョギングといった適度な運動は、有酸素運動の機会を増やし、運動不足の解消や肥満予防にもつながります。特に、高齢者や運動習慣のない人にとって、犬との散歩は無理なく続けられる運動習慣としてオススメです。
また、幼少期から犬と生活することで、アレルギーや喘息のリスクが低減するという研究結果があります。犬との触れ合いは、私たちの免疫システムを適度に刺激し、免疫力を高める効果が期待できます。

犬と触れ合うことで、愛情ホルモンと呼ばれるオキシトシンの分泌を促進し、ストレスを軽減します。犬の温かい体温や柔らかな毛並みに触れることで、心が安らぎ、リラックス効果が得られます。彼らは、私たちの心に穏やかな癒しと活力をもたらすのです。
犬は無条件の愛情を与えてくれる存在であり、心の支えとなって孤独感を和らげてくれます。特に、ひとり暮らしの人や高齢者にとって、犬はかけがえのないパートナーとなるでしょう。
さらに、うつ病や不安障害などの精神疾患の症状を緩和する効果があることが、多くの研究で示されています。動物介在療法(AAT)では、セラピードッグが患者の心のケアに貢献しています。特にPTSD患者に対するセラピードッグの有効性は、アメリカ退役軍人省でも認められています。
犬は、私たちの社会生活にもよい影響を与えます。犬の散歩やドッグランは、飼い主同士の交流の場となります。犬を介したコミュニケーションは、新たな友情やコミュニティを育むきっかけとなるでしょう。犬は、人との会話のきっかけを与えてくれます。犬を連れて散歩していると、自然と周囲の人との会話が生まれ、コミュニケーションが活発になります。
人と動物の絆に関する研究機関であるHABRI(Human Animal Bond Research Institute)は、人と動物の絆が人間の健康と福祉に与える影響について、多岐にわたる研究や支援をしています。
HABRIの研究では、犬との触れ合いがストレスホルモンの減少、血圧の低下、痛みの緩和などに効果があることが示されています。また、犬との交流が認知機能を向上させ、高齢者の認知症予防に寄与する可能性があるとも報告されています。
さらに、犬と暮らす子どもがアレルギーや喘息の発症リスクが低くなることや、犬の存在が自閉症スペクトラム障害(ASD)の子どもの社会性向上に役立つことを示した研究も発表しています。これらの研究は、犬との関わりが単なる癒しにとどまらず、長期的な健康や社会的な発展にも深く関与していることを示しています。
近年は、セラピードッグの効果に関する研究が注目されています。セラピードッグは、医療機関や介護施設で活躍し、患者のストレスや不安を軽減してQOL(生活の質)を向上させたり、リハビリの促進に貢献しています。特に、PTSD(心的外傷後ストレス障害)を抱える人々や認知症患者に対して、犬がもたらす癒しの効果が認められています。
オーストラリアのウーロンゴン大学の研究では、愛犬と触れ合うことで飼い主の気分が改善されるという結果が報告されています。研究では犬と触れ合うことによって、飼い主の脳内では幸福感や愛情を感じる時に分泌されるオキシトシンが分泌されていることが確認されました。
オキシトシンの分泌に関する研究は、日本国内の複数の研究機関においても盛んに行われており、人とセラピー犬の触れ合いによって、双方のオキシトシン分泌量が増加することが確認されています。これは、犬と人との間に相互的な愛情と絆が生まれていることを示唆しており、記事内で紹介した海外の研究結果を裏付けるものです。
犬との交流は、私たちの心身に多岐にわたる恩恵をもたらします。毎日の散歩、愛情のこもった触れ合い、そして信頼関係を築くこと。それは、私たち自身の健康を促進し、豊かな人生を送るための鍵となるでしょう。
ただし、犬を飼うことは楽しいことばかりではなく、責任も伴います。犬の健康管理、しつけ、経済的な負担など、事前にしっかりと準備をしておくことを忘れてはいけません。