新型コロナウイルスに便乗した製品やサービスにご用心
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が世界的に蔓延するなか、日本でも、緊急事態宣言が発令され、不要不急の外出自粛や商業施設の短縮営業や休業が要請されるなど、国、自治体、企業、そして私たち個人も感染防止に懸命に取り組んでいます。
厚生労働省によると、新型コロナウイルス感染症は飛沫感染と接触感染により感染し、空気感染は起きていないとされています。飛沫感染は、くしゃみ、咳、唾液などと一緒にウイルスが放出され、ほかの人がそのウイルスを口や鼻などから吸い込んで感染するものです。接触感染は、感染者がくしゃみや咳を手で押さえたあと、その手で周りの物に触れるとウイルスがつき、ほかの人がそれを触るとウイルスが手に付着し、その手で口や鼻を触ると粘膜から感染するものです。
感染防止には、日常生活における手洗いが大切です。外出先からの帰宅時や調理の前後、食事前など、こまめに石けんやアルコール消毒液などで手を洗う。そして、マスクを着用するとことが推奨されています。
病院やスーパーなど商業施設では必ずアルコール消毒液が設置されていて、多くの人が入る時と出る時に使っています。また、より殺菌が必要となる施設や食品加工工場では、除菌能力が高い次亜塩素酸水、耐性菌をつくらせないオゾン水などを直接噴霧したり、触れる場所などを拭くなどして衛生管理を徹底しています。
ペットと暮らす私たちにとって「除菌・消臭」は日常的なもので、空気清浄機や除菌消臭機などの機器、次亜塩素酸水などの溶液が一般的です。これらは、インフルエンザウイルスやパルボウイルスにも有効とされており、いろいろなメーカーから、たくさんの製品が発売されているので、皆さんはどれが良いのか試行錯誤しながら使っているのではないでしょうか。
ただ、今回の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は飛沫と接触により感染するとされているので、空気清浄機などの効果はあまり期待できないといえます。アルコールや次亜塩素酸水などの溶液も飛沫感染には対応できませんが、接触感染の防止にはなります。店頭ではアルコール消毒液は品切れが目立ちますが、次亜塩素酸水などはネットでも購入することができるので、こうした溶液を使うことで感染のリスクを低減させることができます。
そんななか、新型コロナウイルスおよび新型コロナウイルス感染症への効果効能について、厚生労働省と消費者庁からの注意喚起が行われています。現在、新型コロナウイルス感染症の予防に効果的な物質は実証されていません。なので、医薬品以外において特定疾患に対する身体的効果効能を謳うことは薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)によって禁止されています。
しかし残念なことに、ネットなどでは「新型コロナウイルス予防に効果あり」などを標ぼうする製品が、溶液だけでなくマイナスイオン発生器やイオン空気清浄機、 食品やサプリにいたるまで溢れかえっています。
消費者庁では、一般消費者が当該商品の効果について誤認し、新型コロナウイルスの感染予防について誤った対応をしてしまうことを防止する観点から、すでに30事業者(46商品)に対して改善要請等を行いました。 不安や心配に便乗するようなやりかたは許せません。要注意な表示については、消費者庁「新型コロナウイルスに対する予防効果を標ぼうする商品の表示に関する改善要請等及び一般消費者への注意喚起について」で詳しく説明されていますので、一読ください。
ペットと暮らしていると、除菌・消臭は日常だと思います。今回の新型コロナウイルスについては、まだ効果についてのエビデンスがないので、厚生労働省や消費者庁が注意喚起するのは当然です。しかしだからといって、効果がないということではありません。飛沫感染はマスクで防ぐしか方法がありませんが、接触感染はこれまでどおりの掃除で十分に防ぐことができます。
大切なのは、まずは自身が感染しないように、マスクの着用や手洗いを徹底することです。これまでの情報から、人からペットへの感染は確認されていますが、ペットから人への感染はないということを世界中の公衆衛生機関が見解を示しています。外出自粛で家にいる時間が増えた人も多いと思います。WSAVA(世界小動物獣医師会)などのアドバイスも参考にしつつ、正しい情報を得てご自身と愛するペットが健康に過ごせる環境をつくりましょう。
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