南海トラフ巨大地震に備える! ペットの命も守る防災対策まとめ

[2024/08/13 6:01 am | 編集部]

近い将来、南海トラフ巨大地震が発生する可能性が懸念されており、その影響は広範囲におよび多くの地域で甚大な被害が予測されています。私たちだけでなく、大切なペットたちもその脅威にさらされることになります。

災害時にペットの安全を確保するためには、事前の準備が欠かせません。この記事は、連載「ペットの防災」をまとめたものです。詳しい内容については、各記事をご確認いただき、ペットの命を守るための備えを再確認して今からできることを始めましょう。

 ▶内閣府  南海トラフ地震対策
 ▶地震本部 南海トラフで発生する地震
 ▶気象庁  南海トラフ地震について


過去の災害から対策と避難計画を考える

日本は災害が多発する国であり、近年は地震だけでなく、集中豪雨や台風による自然災害が増加しています。災害は突然発生するため、家族やペットが安全に避難できるよう、日ごろからの備えと心構えが大切です。

阪神淡路大震災や東日本大震災以降、国や自治体は災害対策の必要性を認識し、被害予測を公表するなどの対応をしていますが、避難所におけるペットの受け入れ態勢にはまだまだ課題が残っています。

飼い主は過去の災害事例から教訓を得て、自分の住む地域の災害リスクを把握し、危機管理能力を高める必要があります。災害発生時には迷わずペットと同行避難することが何より重要であり、はぐれた場合の再会は困難であることを認識しましょう。

災害発生時への備え

災害が発生したときに大切なペットを守るために、飼い主は平常時から心構えと災害への備えが必要です。

災害発生時には、自治体などの公的支援は人命優先のため、当初は飼い主自身の「自助」が求められます。ペットとともに安全を確保するためには、日ごろからの準備が重要であり、「自分のペットは自分が守る」という意識を持つことが求められます。

具体的な準備としては、避難方法や経路の確保、避難先の確認、必要な物品の備蓄などがあります。また、家具やケージの固定、家自体や周辺の安全点検も必要です。

災害時には家族間での役割分担や地域との連携も重要であり、防災会議や避難訓練への参加が推奨されます。

さらに、災害発生時には飼い主自身が冷静であることが求められます。緊急時のパニックを避けるためには、ボックス呼吸など普段から冷静を保つ訓練をしておくことが有効です。

災害時には自らの安全を確保することが最優先であり、それには日ごろからの心構えや準備が不可欠です。そして、災害発生時から最低でも3日間は自力で対応する覚悟を持つことが推奨されます。

住まいの対策

災害時にペットを守るためには、まず飼い主自身の安全を確保することが重要です。そのためには住まいの耐震強度を確認し、必要に応じて補強することや、家具の固定や転倒・落下・移動防止対策を行うことが求められます。

特に耐震等級に基づいた建物の耐震性の確認(耐震等級は1から3まであり耐震診断で自宅の耐震性を調べることができます)と、家具の配置や固定の工夫が大切です。

さらに、ペットの飼育場所の安全確保も必要です。室内で飼っている場合は家具やキャットタワーの固定、ケージの強度確認を行い、屋外で飼っている場合はブロック塀やガラス窓の下を避けるなどの対策が求められます。

また、ペットの避難場所を予め確保しておくことも重要です。日常的な災害対策が、飼い主とその家族、ペットの安全に繋がるため、備えることが推奨されます。

ペットのしつけと健康管理

災害時には人だけでなくペットも大きなストレスを受け、パニック状態に陥ることがあります。避難所では不慣れな環境や大勢の人、見知らぬ犬との共存が求められるため、普段からのしつけと健康管理が重要です。

まず、避難所ではペットの鳴き声や攻撃性がトラブルを引き起こすことが多いため、吠えない、噛まない、決められた場所で排泄するなどの基本的なしつけが必要です。特に犬は「待て」「お座り」などのコマンドに従うこと、猫はケージ内で落ち着いて過ごせることが求められます。

また、ペットは避難所でクレートやケージ内で過ごすことが基本ですので、普段からそれらに慣れさせておくことが重要です。クレートやケージにはペットの体に合ったサイズで、固い材質のものを選び、普段から入ってリラックスできるようにしておきます。

健康管理も欠かせません。避難所では免疫力が低下し他の動物との接触が増えるため、予防接種やノミ・ダニ駆除、定期的な健康診断が必要です。特に犬は狂犬病予防接種やフィラリア予防も行い、猫も同様に清潔を保ち、各種ワクチンを接種します。

避妊・去勢手術も繁殖防止や問題行動の抑制に役立ちます。これらの健康管理は避難所での感染症防止にもつながります。

ペットのしつけと健康管理は日ごろからの準備が重要です。避難所では普段と同じフードやおやつが手に入らない場合もあるため、偏食をしないように育てることも必要です。

しつけと健康管理は急にできることではないため、日ごろからの準備が重要です。

迷子対策

災害発生時にはペットを自宅に残して避難したり、はぐれてしまうことがあるため、普段から身元を示すものを付けておくことが重要です。具体的には、迷子札を付けるとともに、マイクロチップを装着するなどの二重の対策が推奨されます。

過去の災害では、室内飼いの犬や猫がパニックになって逃げ出すことが多々報告されているので、日ごろから首輪や迷子札、マイクロチップの装着を怠らないようにしましょう。

犬の場合、首輪、迷子札、鑑札や狂犬病予防注射済票、マイクロチップを装着することが推奨されており、鑑札の装着や年1回の予防接種及び注射済票の装着は法的に義務付けられています。

猫の場合は、首輪が引っ掛からないように力が加わると外れるタイプの首輪を使用することが望ましいです。

迷子札や鑑札だけでなく、マイクロチップの装着と登録を行うことが重要です。マイクロチップは脱落の心配がなく、確実な身元証明ができるため、迷子になった場合に飼い主と再会できる可能性が高まります。

2022年6月からは販売された犬や猫にはマイクロチップの装着・登録が義務化されています。それ以外のペットについては努力義務ですが、装着が推奨されています。

災害時にペットが行方不明にならないようにするためには、飼い主が事前に対策を講じることが重要です。愛犬が行方不明になったことを想像するだけで辛い気持ちになることでしょう。誰にでも起こり得る事態であるため、できる限りの対策を講じておくことが大切です。

ペットの避難用品や備蓄品

災害発生時には、ライフラインの寸断や緊急避難が予測されるため、必要な物資の備蓄が重要です。特にペットに関しては、飼い主が必要な避難用品や備蓄品を準備する責任があります。

最低でも5日分(できれば7日分以上)のフードや水、療法食や薬などを用意し、優先順位を付けて最低限必要なものを選び出しておくことが求められます。

優先順位の高い備蓄品には、療法食、フード、水、首輪、リード、食器、ガムテープ、飼い主とペットの情報、写真などがあります。

その他にもペットシーツや毛布、排泄物の処理用具、トイレ用品、タオルやウエットティッシュ、おもちゃ、爪切りやハサミ、除菌・消臭剤、洗濯ネット、マナーベルトやオムツなどが含まれます。

さらに、備蓄品はすぐに持ち出せる場所に準備しておくことが重要で、複数の場所に分散して保管することが推奨されます。

災害時には、ペット用の救援物資が届くまでの間を飼い主が責任を持って乗り切る必要があり、「自分のペットは自分で守る」という意識が大切です。

家族や地域との連携

防災において重要なのは、個々人が日常的に防災意識を持ち、家庭や地域で災害対策について話し合うことです。

月に1回は家族会議を行い、緊急時の役割分担や避難場所や連絡方法の確認、家屋の危険箇所チェック、非常持ち出し袋の準備などを行いましょう。

ペットの同行避難対策も検討が必要です。防災訓練などにはペットを連れて参加し、危険個所や所要時間などを確認しましょう。

さらに、ご近所や飼い主仲間との連携を強化し、災害時の助け合いや情報共有を行いましょう。これにより、避難所での混乱や物資不足などの問題を効果的に管理し、ペットと共に安全に避難することが可能となります。結局のところ、「防災は家庭から」が基本なのです。

同行避難の必要性

同行避難とは災害時に飼い主がペットと共に指定緊急避難場所まで避難する行動を指します。これはペットの保護のみならず飼い主の心のケアや公衆衛生の観点からも重要です。

過去の震災では、ペットのために自宅に戻り被災したり、ペットと離れられず避難が遅れるケースが見られました。そのため、同行避難を推進し、飼い主がペットとともに安全に避難できる体制を整えることが必要とされています。

避難後の生活には、避難所での共同生活、自宅での生活、車内での生活、ペットを施設に預けるなどの選択肢があり、それぞれに対応する準備が求められます。

避難所ではアレルギー、排泄物や鳴き声のトラブルを避けるため、衛生管理やルール遵守が重要であり、自宅での生活では情報や物資の受け取り、車内での生活ではエコノミークラス症候群や熱中症のリスクを見極める必要があります。

ペットを施設に預ける場合は、条件や期間、費用を確認し契約書を交わすことが重要です。環境省を中心に各自治体が同行避難の推奨を進めており、飼い主は日常から様々な状況を想定し、具体的な準備と心構えを持つことが求められます。

災害の行動

災害が発生した際には、ペットと一緒に避難することが原則です。飼い主はまず自身の安全を確保し、その後ペットの安全を確保します。ペットがパニックにならないように、飼い主が落ち着いて行動することが重要です。

犬にはリードと首輪を装着し、猫はケージに入れますが、ペットの興奮状態を見極めて慎重に行動します。避難のタイミングは地震発生後の5分程度が目安で、屋内外の安全を冷静に判断します。

非常用持ち出し袋を用意し、電気のブレーカーやガスの元栓を確認します。ペットに名札や鑑札が付いていることを確認し、ペットが逃げ出さないように注意します。ペットを保護できなかった場合は、家の戸締りをし、「ペットが家のなかに残っています」などの張り紙をして避難します。

避難所へ向かう際には、安全な経路を使用し、倒壊した建物や切れた電線に注意します。避難所での受け入れがスムーズになるよう、ペットのしつけや必要な準備を日ごろから行います。

地域によって受け入れ条件が異なるため、事前に自治体に確認することが大切です。飼い主が普段どおりの行動をすることで、ペットも落ち着き、速やかに避難の準備ができます。

避難場所での心がけ

避難所でのペットとの生活は、飼い主にとって安らぎをもたらす一方で、鳴き声やニオイ、抜け毛、ノミなどがトラブルを引き起こすことがあります。

避難所には動物が好きな人、嫌いな人、アレルギーを持つ人が集まるため、飼い主は周囲に対して普段以上の配慮が求められます。

過去の事例では「飼い主の会」をつくり、飼い主同士で協力して飼育可能なエリアと禁止エリアを分けルールや役割分担を決めたり、キャリーバックやケージの使用、散歩時のリード装着、排泄物の処理などを周知して理解を得ました。また、支援物資の公平な分配にも寄与することになります。

飼い主はペットの健康管理にも注意を払う必要があります。特にストレスによる体調不良に気を配り、衛生管理を徹底することが求められます。

車中泊で避難する場合には、エコノミークラス症候群、熱中症や低体温症に注意し、定期的な運動や水分補給、換気を心がけることが重要です。

過去の災害では避難所ごとの対応の違いも問題となりましたが、共通して言えることは、周囲の人への配慮が大切だということです。飼い主同士で共通のルールをつくり、責任を持ってペットの飼育管理を行うことが求められます。

ペットが迷子になってしまったら

過去の災害では、室内飼育の犬や猫がパニックになり、逃げ出して行方不明になる事例が多数報告されています。災害は予測不可能で、ペットと離れ離れになる可能性があります。

まず、ペットの特徴がよくわかる写真やチラシを日ごろから避難用品に入れて準備しておくことが重要です。迷子になった場合、近隣で確認したり写真を貼らせてもらうなどしましょう。

必要に応じて、管轄の保健所・動物管理センター、警察署などに確認することも大切です。収容動物の情報を確認や登録もできる自治体もあります。

迷子の犬は無目的に歩き続け、同心円状に範囲を広げて探すのが効果的です。一方、猫は臆病で身を隠す習性があり、家の周りの狭く暗い場所を重点的に探します。

迷子の動物を見かけたら、できる限り保護し、フード・水を与え、鑑札やマイクロチップで身元を確認します。保護したら管轄の行政機関に連絡します。

まとめ

自然災害は予測できないものですが、災害時にペットを守るためには、日頃からの備えや事前の対策が何よりも重要です。大切な家族であるペットが、災害時にも安心して過ごせるよう、この記事を参考にしていただき、しっかり準備を始めましょう。


[編集部]