Lecture 04

【みんなで防災:第4回】災害に備えたペットのしつけと健康管理

[2021/10/15 6:01 am | 編集部]

突然に起こる災害は人にもペットにも大きなストレスがかかります。特にペットはパニック状態に陥ると、普段とはまったく違う行動を取る可能性があります。避難所で生活することになれば、慣れない場所で大勢の人や見知らぬ犬と対面しながら過ごさなければなりません。環境の変化から体調を崩すこともあります。普段から健康状態を良好にしておくことが大切です。また、避難所で迷惑にならないように、むやみに吠えないようにしっかりとしつけをしておくことが大切です。

災害に備えたしつけとは?

これまでの災害では、動物がいることによって辛い避難生活のなかで安らぎになったという声がある一方で、「鳴き声がうるさい」「咬まれた」「毛が飛んで不衛生」「ニオイがくさい」などトラブルになることも多々ありました。避難所にはさまざまな人が集まります。動物が好きな人ばかりではなく、嫌いない人もいます。また、動物アレルギーを持つ人、動物に不用意に手を出しかねない幼い子どももいます。そういう場所ですから、飼い主は普段よりもさらに周りに配慮することが求められます。

しかし、災害に備えたしつけといっても、特別なことはありません。前述したように、しつけは周囲の人に迷惑をかけないようにすることが前提にありますが、ペット自身のストレスの軽減にも繋がることです。下記を参考にして、しつけを普段からしておきましょう。

【犬の場合】
・基本的なしつけ「待て」「お座り」「伏せ」などができる
・ケージのなかに入ることを嫌がらない
・不必要に吠えない
・人を怖がったり攻撃的になったりしない
・決められた場所で排泄ができる

【猫の場合】
・ケージやキャリーバックに入ることを嫌がらない
・人やほかの動物を怖がらない
・猫用トイレでの排泄ができる


また、避難所では、ペットは基本的にクレートやケージ内で過ごすことになります。放し飼いにすることはできません。慣れない環境でもケージ内でおとなしく落ち着いていられるように、普段からクレートやケージに慣らしておきましょう。普段から入っていて、また自分のニオイが付いている囲われた場所であれば、ペットも心を落ち着かせることができます。

快適で安全な自分だけの場所と思うように慣らしていきます。クレートやケージの大きさは、ペットが寝そべることができて、広すぎず狭すぎないもの。柔らかいソフトケージではなく、固い材質で安全性の高いものを選択しましょう。日常生活においても留守番、来客、車での移動の際などに役立ちますので、積極的に取り入れることをオススメします。

【ケージに慣らす方法】
・普段から休めるスペースとして扉を開けておく
・なかでリラックスしていたら褒める
・フードやおやつはなかで与える
・閉じ込められるなど悪い印象を与えないようにする
 (急に扉が閉まらないように固定しておく)


日ごろから健康管理をしておきましょう

避難所での生活は、ペットの免疫力が低下したり、ほかの動物との接触が多くなることも考えられます。ペットも体調不良や病気が発生しやすくなります。日ごろから健康管理に留意し、予防接種、ノミ・ダニ駆除、外部寄生虫駆除などを行い、ペットの健康と衛生状態を保つようにしましょう。避難所で生活するには、必要な予防接種をしていることが条件になります。預ける場合にも必要となる条件ですので、定期的に予防接種をしておきましょう。

また、避妊・去勢手術をしておくことは、不必要な繁殖を防止するために役立ちます。万が一、ペットが逃走し繁殖をしてしまうと、野良犬や野良猫を増やすことにもなってしまいます。さらに、マーキングなど性的ストレスの軽減、無駄吠えの防止等、問題行動の抑制にも効果が期待でき、飼い主も管理がしやすいといえます。

【犬の場合】
・体を清潔に保つ(ブラッシング等)
・狂犬病予防接種と各種ワクチン接種をする
・犬フィラリア症の予防と駆除をする
・ノミ・ダニ等の寄生虫の駆除をする
・健康診断を定期的に受ける(検便含む)

【猫の場合】
・体を清潔に保つ(ブラッシング等)
・各種ワクチン接種をする
・ノミ・ダニ等の寄生虫の駆除をする
・健康診断を定期的に受ける(検便含む)


上記のようなペットの健康管理は、避難所で暮らす人への感染症防止のためにも必要なことです。そのことを日ごろからしっかりと考え、健康管理をしておきましょう。

まとめ

ペットを日ごろからしつけておくことは、避難所での生活に非常に役立ちます。周囲の人に迷惑をかけないように飼い主が管理しやすくなるだけでなく、ペット自身のストレスの軽減に繋がります。また、健康管理をしっかりとしておくことによって、飼い主がペットの体調の変化をすぐに見つけることもできます。

そして、避難所では普段と同じフードやおやつが手に入るとは限りません。偏食をしないように育てておくのも健康管理のひとつです。しつけや健康管理は、急にできることではありません。突然に起こる災害に備えて、日ごろから準備をしておくことが大切です。

第5回は「ペットが行方不明にならないために必要な対策」をテーマに話を進めます。

[編集部]