【太鼓判ブリーダー奮闘記】“やきものの里”信楽に移住した「Cattery Amangroup」

[2021/09/18 6:01 am | 編集部]

千葉県八千代市にあった「Cattery Amangroup(キャッテリーアマングループ)」。世界最大の猫種であるメインクーンを専門に繁殖する猫舎です。よりよい環境を求めて、愛猫たちとともに“焼き物の里”信楽にある高台の家に移住しました。ブリーダーの阪根 美果さんは、1年前に中古の戸建てを購入し、滋賀県に度々通い、自らDIYで物件をリフォーム。愛猫と愛犬が快適に過ごせる環境を整えながら、移住の準備を進めてきました。しかし、千葉県から滋賀県への移住は一筋縄ではいきません。今回はその奮闘ぶりをお聞きしました。

縁を結ぶのれんがお出迎え

信楽に移住を決めたワケ

阪根さんは2000年にキャッテリーをスタート。その当時は滋賀県草津市に住んでいました。仕事の関係で関東に引っ越しましたが、もともと賑やかな場所が苦手だったので、もし移住をするならまた滋賀県へと考えていたそうです。滋賀県は災害が比較的少ない地域で、1000年以上前の寺社仏閣が多く残っています。その点も大きなポイントでした。

新しいキャッテリーの条件は、自然が豊かで愛猫・愛犬たちが快適に暮らせる広さがあること、ドッグランをつくる広さの庭があること、鳴き声が気にならない程度に隣の家が離れていること、駐車場付きであることでした。

情報サイトをリサーチをしていて、希望に近い物件があれば足を運びました。しかし、実際に見てみると、経年劣化が激しかったり、大規模な修繕が必要であったりと、想像以上にリフォームが必要な物件ばかりでした。諦めかけていたところ、陶芸をされている方が住んでいた家に出会いました。すぐに問い合わせをして見にいくと、すべて希望どおりで即決したそうです。

石段のアプローチが美しい高台の家

阪根さんが購入したのは、築45年の鉄骨造8DKの物件でした。そのうちの離れ(3部屋)はあとから増築されたもので、日本建築のしっかりとした建物でした。駐車場から玄関まで続く美しい石段のアプローチや、その左右にある竹林はとても風情があります。

石段のアプローチが美しい
秋には楓が紅葉する

「玄関や縁側から眺めるこの景色が気に入っています。青々とした竹林も秋には真っ赤に染まる楓も本当にキレイです。もちろん、石段のアプローチも。見てすぐにここにしようと決めました」と阪根さんは話します。中古の場合は、なかなか希望条件に見合う物件を探すのは大変なのですが、タイミングよく見つけることができたようです。

古い物件ではありましたが大規模な修繕が必要なく、そのままでも問題なく住める物件ではありましたが、愛猫や愛犬とともに快適に住むためにリフォームをすることにしました。

約1年かけてDIY

素人には難しい水回りなどのリフォームはプロにお任せしましたが、自分の手で思いどおりの家にしたいと考えていたので、DIYにチャレンジしようと計画していました。しかし、移住をするためには、まずは愛猫たちの部屋を整える必要があります。遠方からの移住なので、DIYするにも苦労したと阪根さんは振り返っています。

愛猫の部屋。初めての漆喰壁
もうひとつの愛猫の部屋。隣とは格子扉で繋がっている

まずは、2階の和室を猫仕様にリフォームすることからスタート。壁は漆喰壁にすることにしました。漆喰は調湿性能が高く、湿気の多い時期には余分な湿気を吸い込み、乾燥する時期には湿気を吐き出してくれます。また、乾いた漆喰は固く、猫の爪とぎなどにも強いのです。汚れたり、削れたりした場合には、メンテナンスとして塗り重ねることが可能です。また、漆喰には消臭効果もあり、ペットのニオイなどにも効果を発揮するので、オススメの壁材だといいます。

左官というプロがいるくらいですが、今は簡単に塗れると宣伝して販売されている漆喰が数種類あります。それぞれに特徴があり、和室でも洋室でも対応できます。完成した雰囲気は抜群によく、メリットも多いので、ペットのいるご家庭は検討する価値がありそうです。

押し入れはふたつの部屋を繋ぐように両側に襖がありましたので、その襖を外し、代わりに大工さんにつくってもらった格子扉をはめ込みました。押し入れの床と棚にもクッションフロアを貼りました。格子扉を開ければふたつの部屋を行き来できます。そのほかのドアや引き戸、天袋には雰囲気の合う壁紙を貼ることにしました。

猫部屋の窓の外には自然が広がる

床は畳を剥がし、下地をつくり、クッションフロアを貼って洋室仕様に変更しました。クッションフロアは傷や汚れに強い店舗用を選択しました。住居用より厚みがあるので愛猫の足にもより優しいのです。

ストレスなく過ごせるように

基本的に愛猫たちはフリーで過ごします。キャットタワーの代わりに4段の木製ケージの扉を開けて置いています。なかには麻縄が巻かれた爪とぎも付いています。ケージとケージの間に板を渡して、キャットウォークも作成。また、窓にも桟を利用してキャットウォーク取り付けました。ケージをうまく使うことで、上下運動をしたり休んだりするスペースになっています。

ケージをキャットタワーとして利用
数値規制に見合ったケージを自作

体調不良などでケージが必要な場合もあります。万が一のときに使用できるように、動物愛護法の数値規制に見合ったケージも各部屋に1台ずつ用意。大型猫種用のケージが見つからなかったので自作しました。犬用の1段のケージを積み重ね、左右の間に板を挟み込み2段ケージのようにして金属プレートで固定。屋根も板でつくり、床とお揃いのクッション風フロアを貼りました。

トイレも新調しました。大型の猫種であるメインクーンに合うトイレは少なく、いつも猫砂の飛び散りが激しかったのですが、新しく採用したトイレはかなり快適です。海外メーカー製のトイレで、ペントナイトの猫砂を使うように考えられていますが、じつは使い方を工夫するとシステムトイレ用の猫砂でも快適に使用できるのです。猫砂の飛び散りもほとんどなく、とても満足しています。もちろんデザインも秀逸です。日本メーカーにはない形状やカラーリングがとても気に入っています。

ベルギーのペットブランド「SAVIC(サビッチ)」の猫トイレ
信楽焼のフードボウルとウォーターボウル

猫たちの食器は陶器にしました。近所にある信楽焼の窯元から直接購入したそうです。陶器は清潔を保てるので、ペット用として使用するのには最適です。これまでは、ステンレス製でしたが、部屋の雰囲気にあわせました。「信楽焼のうつわが欲しい方は、ぜひご相談ください(笑)」とのこと。

空気環境にも手抜きなし

部屋にはエアコンが設置され、サーキュレーターの代わりにファンが付いたシーリングライトを新設し、部屋の空気を循環させることにしました。ほとんどのサーキュレーターは床置きの電源コードタイプで、ペットを飼う家庭では不向きでした。

灯りと心地よい風を融合させた次世代照明器具「CIRCULIGHT」
ファンがスイングするモデルは3色から選べる

しかし、天井のファンは電源コードがなく、均等に部屋の空気を循環させることができるので温度管理も容易になります。「このシーリングライトは本当に優れモノだと思います」と阪根さん。カラーも3種類あるので、部屋の雰囲気に合わせて選べるそうで、左右の部屋は違う色味のファンが稼働していました。

空気清浄機も使っていますが、信楽は空気がよいので、できる限り換気をして新鮮な空気を取り入れるようにしています。ただし、除菌消臭にはオゾンを使用しています。低濃度オゾン発生器はペットの部屋でも安心して使えます。高機能でありながら小さくてオシャレな形なので、部屋の雰囲気を邪魔しません。最近では、新型コロナウイルスにも効果があるという検証結果もあったようなので、飼い主である自分の身を守るために、リビングや玄関などにも設置しているようです。

ペットにも安心な低濃度オゾン除菌消臭器「OZONEO」
リビングにも設置。部屋つがりの愛犬の部屋も除菌消臭してくれる

Webカメラで愛猫たちを見守る

どこにいても愛猫たちの様子をスマートフォンやタブレットで確認できるように、見守りカメラを各部屋に2台ずつ設置しました。完全ワイヤレスで直接Wi-Fiに接続され、高画質なのでペット用には最適です。

外出中はもちろん、別の部屋にいても愛猫たちの様子を確認できますし、動きがあればお知らせが届くように設定することも可能です。こちらから話しかけることもできるので、楽しみながら見守ることができます。

昨今話題の「ペットテック(PetTech)」とは、まさにこのような環境整備や支援のことをいうのではないでしょうか。ひとつの目的に特化するのではなく、全体を俯瞰して、何か気になることや変化を見逃さず飼い主にアラートや気づきを促す。そうすることで、飼い主はすぐにアクションを起こすことができます。

完全ワイヤレスの見守りカメラ「「Arlo Essential スポットライトカメラ」」
防水なので屋外でも使用できる。ソーラー充電にすれば電池切れの心配もない

ちなみに、見守りカメラは愛猫の部屋のほかにも愛犬の部屋、さらには玄関と裏庭にも設置しました。防水なので、屋外でも問題なく使えます。さらにソーラーパネルから充電するようにしたので電池切れの心配はありません。また、目立つ場所にあるのでセキュリティ効果もあります。このように24時間365日、キャッテリーを見守ってくれているようです。

居住スペースや愛犬の部屋もDIY

1Fはキッチン・ダイニングのほかに、リビングと愛犬の部屋、そして阪根さんのオフィス兼プライベートルームがあります。この3部屋の壁は、もともとクロスを貼る予定だったのですが、漆喰にした猫たちの部屋が想像以上の仕上がりで、リフォーム中に泊まったときの空気感がよかったので、自分たちの過ごす部屋も漆喰にすることにしたそうです。

リビングも漆喰壁にした
愛犬の部屋は1面だけ色を変えた

ただ、この3部屋は猫たちの部屋とは異なり、かなりしっかりした繊維壁でした。メーカーさんに相談したところ、下地を作り直す必要がなくそのまま直塗りできるとのことで、さっそくチャレンジ。仕上がりは写真のとおり、まったく別の部屋に生まれ変わりました。

ちなみに、愛犬の部屋はソファースペース(元床の間)の1面だけあえて違うカラーに。爽やかなブルーが清々しい雰囲気です。床は猫の部屋と同様に、足に優しく、汚れにも強いクッションフロアにしました。

より理想的な愛猫・愛犬住宅にすべく進化中

1Fの離れには洋室と和室が2部屋あります。洋室は猫たちの部屋にしました。床はフローリングの上にクッションフロアを敷きました。壁にはキャットステップを設置して上下運動をしたり休憩したりする場所をつくるそうです。

また、隣の和室は客間にするので、引き戸を窓付きの壁にリフォームする予定とのこと。窓があるので、猫を眺めながら話ができるようになるそうです。その奥の和室は、ゆくゆくは宿泊もできるようにするなど夢は広がります。

洋室も愛猫の部屋にリフォーム
壁にはキャットステップを設置予定

愛犬たちが走り回れるように、庭にはドッグランをつくる計画だそうです。まだまだ進化を遂げそうなキャッテリーアマングループ。動物愛護法改正におけるモデルキャッテリーともいえそうです。

まとめ

時間があるときに滋賀県に通い、上記のようにDIYをしていたのですが、できる範囲で少しづつリフォームしていたので引っ越すまでに約1年を要しました。また、滋賀県までの愛犬・愛猫との移動は、とても大変だったそうです。しかし、移住後は毎日ストレスフリーで楽しく、快適に過ごしているそうです。愛猫や愛犬たちがのびのびと過ごす姿を見て、移住をして本当に良かったと日々感じているとか。

「私自身も穏やかな毎日を送れていて、その気持ちの状態が愛猫や愛犬の様子にも表れているように思います。彼らは敏感に察知するので、私が心を穏やかにしていることはとても大事な要素なのです」と阪根さんは話します。

よい環境で穏やかに過ごし、愛情を込めて育てられているキャッテリーアマングループの猫たち。今後、ますます魅力溢れる子猫たちが誕生するのではないかとワクワクします。今後も注目のキャッテリーです。

[編集部]