新造船の「さんふらわあきりしま」で行く九州の旅~5泊6日の船旅レポート
2018年9月15日に就航したフェリーさんふらわあの所有する「さんふらわあきりしま」は、大阪~志布志(鹿児島)を結んで航行しています。船の旅を単なる移動手段としてではなく、航海そのものを楽しむ「カジュアルクルーズ」と位置付け、個室の割合を8割以上までに増やして快適な旅ができるように進化させているのです。ペットと一緒に旅ができるこの船は、「デラックスルームウィズペット」としてペットと過ごせる客室もグレードアップ。もちろん、客室ではペットがケージ不要で自由に過ごせます。
そのほか、これまで考えられなかった船上ドッグランやトイレコーナーまでパブリックスペースに完備。飼い主はさらなる感嘆の声をあげること間違いなしでしょう。前回の船旅に引き続き、そんな「デラックスルームウィズペット」を使用しながら、5泊6日(船中2泊)の旅をした滋賀県在住のラブラドールレトリーバーのもゆちゃんと飼い主の吉田ご夫妻に旅のレポートをお願いしました。
ペットゾーンでラクラク乗船
滋賀県からクルマで出発。高速道路を走り、大阪港に向かいました。乗船時間の90分前を目安に港に到着します。さんふらわあの発着する第2ターミナルには、乗船前のお散歩や排泄等に利用できるペットのお散歩スペースが用意されています。これがとても便利で、乗船前に「どこで排泄させたらいいの?」と慌てなくて済みます。乗船手続きは16時に開始。乗船名簿と車検証を提示し、「ペット同伴の乗船に関する誓約書」に署名をしました。この船は下記のようなペットの乗船ができませんので、事前に確認する必要があります。
(ア) 予防接種(狂犬病・各種ワクチンなど)を1年以内に受けていないペット (証明書のご提示がなき場合、ご乗船いただけません) (イ) 生後6カ月未満のペット (ウ) 無駄吠えやほかのお客様へ迷惑及び恐怖心を与えるペット、飼い主の指示に従わないペット (エ) 発情中及び妊娠状態のペット (オ) 伝染性の病気、下痢など体調のすぐれないペット (カ) ケージに入らないペット
その後、クルマでフェリーに乗船し、ペット同伴の車両の指定場所に停車します。今回の船はペットゾーンが設けられており、犬もリードを装着すれば廊下を歩くことができます。ケージやペットカートで移動する場合には、乗船手続きの際に申し出れば船内車両甲板で貸し出してもらえます。
じつは、このペットゾーンにはドッグランが完備されています。パステルカラーで「DOG RUN」と犬や猫の絵ととみにペインティングされているのですぐにわかります。そして、タイル素材でつくられたペット用のトイレやシャワーもあるので、万が一汚れてしまっても清潔に保つことができます。デッキの一部につくられているので、ペットも客室だけでなく外の空気も吸うことができます。自由に動けるだけでなく、ほかのワンちゃんとも遊べて、ストレスフリーで過ごせること間違いなしです。もゆも客室内のトイレよりこちらのほうがよいらしく、2回ほど利用しました。気分転換もできて本当に快適でした。
ペットと一緒に過ごせる「デラックスルームウィズペット」
「デラックスルームウィズペット」は船内の専用エリアにあり、乗船~下船までペットと一緒に過ごすことができます。ケージを使用する必要がないので、ペットもストレスフリーなのです。客室の仕様は洋室で、シングルベッドが2基とソファベッドが2基。合計4名まで利用できます。客室は落ち着いたカラーで統一され、嫌なニオイもなくとても清潔。かなり広いうえに、窓があることで開放感がありました。航行中に外の景色が見られるのも楽しみのひとつでした。客室の設備や備品は下記のものがありました。
■設備
シャワー・トイレ・洗面台・エアコン
■備品
テレビ・冷蔵庫・電気ケトル・ドライヤー・空気清浄器・バスタオル・フェイスタオル・ナイトウェア・ティッシュBOX・エサ皿・水皿・トイレマット
レストランにはペットは同行できませんので、私たちの食事ももゆの食事も持ち込みました。乗船後に船内のレストランでテイクアウトができると聞き、さっそくカレーライスを試してみました。これがなかなかおいしい。「次回はオムライスも加えて船内でテイクアウトしよう」と思いました(笑)。
食事のほかに持参したものは、ペットシーツ・排泄物処理用にビニール袋、万が一もゆの体が汚れたときに拭けるように、タオルやウエットティッシュなど。もゆの好きなおもちゃも必需品でした。
さすが新造船だけあって、客室は防音壁&防音床になっています。ほかの客室のペットが吠えたり、鳴いたりする声はほとんど気になりませんでした。ただし、飼い主は夕食・朝食ともに船内レストラン、お風呂も湯船につかりたいなら船内の大浴場を利用することになるので、分離不安があり、ひとりになると鳴き続けてしまうペットの場合は、飼い主が交代で利用するなど配慮は必要かもしれません。
※べッドの上にペットを上がらせることはできません。
「さんふらわあ きりしま」は揺れないの!?
この船は大阪港を出港してから、外海である太平洋を通って志布志に向かいます。瀬戸内海のような内海を通るフェリーと違って、天候などの影響を受けやすいので揺れを覚悟していたのですが、それほど大きな揺れはありませんでした。ベッドに横になり、「ああ、少し揺れているなあ」と思っているうちに寝てしまいました。もゆにも問題のない揺れだったようです。家族でゆっくりと休みました。ただ、港に係留中はフェリーのエンジン音が大きく、気になることがありました。気にするペットもいるかもしれませんが、それはすぐに慣れることでしょう。
到着時間までゆっくり船旅を楽しむ
海の上を移動しながら、ゆっくりと過ごし、目覚めればそこは目的地の志布志までもうすぐ。船旅は「寄港地が向こうからやってくる」と以前から聞いていましたが、それを実感した瞬間です。楽しんでいる間に志布志に到着するのですから、こんなにもラクで旅の楽しい時間を有効に使える手段はありませんよね。もゆは客室で、私たちは海の景色を眺めながら船内レストランで朝食をいただき、その後は下船の準備をしました。定刻通り9時前に志布志港に着岸。ペットを連れている場合の下船は、ほかの乗客が降りたあとになります。さあ、いよいよ鹿児島県に上陸です。
パワースポットの霧島神社へ
下船後、まずは志布志港の横にある公園で散歩をしました。もゆのトイレもそこで済ませ、その後、私たちは鹿児島県霧島市にある霧島神宮へ向かいました。ここは、欽明天皇の時代に慶胤(けいいん)という僧侶に命じて高千穂峰と火常峰(御鉢)の間に社殿がつくられたことが始まりといわれている神社です。火山の麓に位置するため、たびたび火災にあい、再建を繰り返して現在に至るそうです。パワースポットとしても有名な神秘的な神社です。ペットを連れて入ることができるので、パワーをいただきに散策を兼ねてお参りをしました。
そして、お昼ごはんのお店に向かう高速道路でちょっと休憩。利用した霧島SAにはドッグランはありませんでしたが、広い芝生がありました。ここでもゆもひと息つきました。とても楽しく過ごせました。休憩するなら、この霧島SAをオススメします。
意気揚々と昼食を考えていたうなぎ屋さんに向かったのですが、なんとお休み。不定休なのでいつがお休みかわからないのですが、運悪くその日に当たってしまいました。急遽変更したのは、熊本県人吉市で人気のお蕎麦屋さんの「丸一そば屋」。ここは、明治31年創業の老舗で、創業以来変わらない味が多くのお客さんの心をつかんでいるお店です。残念ながらペットは入店不可なので、もゆはクルマでお留守番でした。
今夜のお宿は思い出がいっぱい
その後、宿泊予定の熊本県にある「狗の郷(くのさと)」に向かいました。ここはペットと人がワンランク上の時間を過ごせる宿で、すべての客室に内湯と露天風呂を完備。プライベート空間を贅沢に楽しめるのです。温泉は「花房台温泉」から湧き出る湯を加水せずにそのままかけ流ししています。「美人の湯」といわれ、入浴後はお肌が若返ったように、瑞々しく活き活きとなります。宿常駐のトリマーがペットのお手入れをサポートしてくれたり、30分の基本コースのエステを宿泊者が無料で受けられたり、とても癒されるサービスが満載です。
残念ながら雨で使用しませんでしたが、ドッグランもあります。そのほか、ドッグスパやドッグ用品店も完備されています。お部屋に用意されているアルコールやお茶、コーヒー、紅茶も無料です。特に、露天風呂に入りながらのビールは格別。本当においしかったです。
そして、夕食はレストランの個室でいただきます。「オーダーバイキング形式」で、食べたいもの、飲みたいものを好きなだけ頼むことができます。熊本名産の「馬刺し」や「味彩牛」、高級食材の伊勢海老も思う存分に食べることができます。中庭を眺めながらの夕食は、食欲も旺盛になり、お腹いっぱい。本当に大満足でした。
じつは、このお宿を訪ねるのは2回目です。以前は亡くなった先代犬の「もも」と来た場所です。以前の思い出を回想しながら、もゆとともに楽しみました。「もも」も空から覗いているかなあ……。
「狗の郷(くのさと)」
住所:熊本県菊池市出田2121-185
電話:0968-25-7123
URL:http://www.kunosato.jp
悪天候で予定のコースを断念
朝から露天風呂に入り、おいしい朝食を食べてお宿を満喫。チェックアウトの11時までのんびり過ごしました。その後、私たちは先代犬の「もも」と行った阿蘇山や草千里を目指しましたが、残念ながら霧が発生していたので断念。昼食は阿蘇の山々に癒されながら過ごせる「ヒバリカフェ」でいただくことにしました。ここは併設しているヒバリ工房が作る、手づくりソーセージを挟んだホットドッグが人気のカフェです。じつはこのソーセージは、本場ドイツの食肉加工コンテスト“SUFFA”で金賞を受賞した最高のソーセージなのです。どおりでおいしはずだ!!(笑)。デッキならペットもOKなので、ぜひ立ち寄ってみてください。
「ヒバリカフェ」
住所:熊本県阿蘇市一の宮町中通640-1
電話:0967-22-1894
URL:http://hibariko-bo.com/
その後、私たちは宿泊予定の本格温泉宿「御宿 小笠原」に向かいました。前回の船旅でも訪れたお宿で、先代犬もゆとも何度も訪れた思い出深いお宿です。ここは、全室離れで天然温泉が付いており、ペットと楽しく安心して泊ることができます。阿蘇山のふもとに位置し、宿からは北外輪山の景観を一望できます。
敷地内には犬専用の温泉やドッグラン広場などのペット施設も充実していて、ペットも飼い主も温泉三昧で、癒しの時間を過ごすことができます。特に新しく併設された展望ドッグランは、広くて、とても走りやすく、もゆも楽しそうに遊んでいました。
その後はもゆも温泉へ。キレイに洗って温泉に浸かったら、美肌&フワフワになりました(笑)。夕食はお食事処でいただきます。このお宿はペット同伴OKなので、もゆも一緒にお食事処へ。おいしくいただきました。
「御宿 小笠原」
住所:熊本県阿蘇市黒川2323
電話:0967-34-2000
URL:https://onyado-ogasawara.com/
嬉しい再会!!
朝から天気は雨。昨夜の温泉でキレイになったもゆなので、ドッグランに行くかどうか悩みました。朝ごはんの最中も悩みに悩んだ結果、洋服着せてチェックアウトまで遊ぶことにしました。その後、大分県別府市に向けて出発です。途中、蕎麦街道の「千年家」というお蕎麦屋さんで十割蕎麦をいただきました。ここは以前にも来たことがありましたが、店主は同じですが店名が変わっていました。当然、味は同じです(笑)。
また、もう1か所。必ず立ち寄るところがあります。久住高原の胡麻アイスクリーム屋さん「九重高原菓房いずみや」です。本当においしいアイスなので、かなりオススメです。今回もアイス片手に高原の駅伝コースを散策です。人も少なく、のんびりできました。
「九重高原菓房いずみや」
住所:大分県竹田市久住町大字久住4048-15
電話:0974-76-0023
URL:https://www.kujukogenkabo.com/
そして今夜のお宿「ugo」に向かいました。ここは2018年1月にオープンした新しいホテルです。犬好きのオーナーが始めた「ペットとの時間を楽しみつくす宿」なのです。ここでは、2頭のラブラドールの看板犬が出迎えてくれました。そして、もゆと兄妹の「だんご」くんとそのお友達犬と合流しました。食事はついていないので、今夜は近くのスーパーでお惣菜を買い込み、大人数で使えるリビングをお借りしてみんなでパーティーです。もゆのブリーダーさんとママ犬のオーマちゃんも参加。ママに会えて最高に嬉しいもゆでした。やはりママのことは覚えているのですね。喜び方が違って、見ていて涙が出そうになりました。
「ugo」
住所:大分県別府市明礬5組−2
電話:080-8384-3150
URL:https://www.ugo.land/
復路は大分港からフェリーに乗船
翌日は朝からドッグランで遊び、そのままの勢いで朝ご飯に突入。みんなで食べると食欲も旺盛になります(笑)。食事後は「ugo」のオーナーさんの案内で、近くの山に散策に出かけました。別府の街が一望できるこの場所は穴場スポットかも。結構な傾斜を登るので飼い主は息を切らしますが、もゆたちは元気に駆け登ります。とっても楽しそうでした。
お宿をあとにして向かったのは、2年前にもゆがドッグカフェデビューした大分県宇佐市の「そらカフェ」です。とても広いドッグランが併設されたポップな雰囲気のかわいいドッグカフェで、料理もおいしいと評判。こちらには再びもゆのブリーダーさんとゴールデンレトリーバーのジーナちゃんが来てくれました。出発まで存分に楽しみました。そして、再会を願いながらみんなとお別れです。
「ソラカフェ」をあとにして、フェリーに乗船するため、別府港に向かいました。帰路のフェリーは前回の船旅で乗船したタイプの船なので、ペットはお部屋から出ることはできません。ですが、お部屋のなかではフリーで過ごせるので、旅の疲れを癒しながらのんびりと帰路についたのでした。今回も思い出に残る素敵な旅になりました。
「ソラカフェ」
住所:大分県宇佐市大字別府561-1
電話:0978-33-2203
URL:http://www.soracafe.jp/
まとめ
ペットと過ごせる快適な客室があり、さらにドッグランやトイレ、シャワーが用意されたフェリーはペットにも飼い主にとっても想像以上に快適でした。クルマで港まで行けて、現地でも自分のクルマを使用できることは荷物の移動も少なく、飼い主にとっても楽です。ペットも乗り慣れたクルマであれば安心して移動できます。みなさんもぜひフェリーの旅を楽しんでください。
コメントを送信