【犬飼いTIPS】4本足ロボットが盲導犬に取って代わる可能性〜AIで仕事を失うのは人間だけではない
近年、急速な技術革新により、AI(人工知能)がますます進化し、私たちの生活や仕事のあり方に大きな影響を与えています。
例えば、対話型テキスト生成AIのサービスであるChatGPTは、ユーザーが自然言語で使えるチャットボットとして、コミュニケーションや情報処理の分野で驚異的な成果を上げています。
このようなAIや自動化技術の進歩によって、一部の業種や職種で労働需要を減少させ、人間の労働者を置き換える可能性があります。
しかし、ロボットが奪うのは人間の仕事だけではなさそうです。AIを搭載した新しいロボット盲導犬が登場したことで、盲導犬が新しい仕事を探すことになるかもしれません。
RoboGuideと名付けられた盲導犬ロボットは、英国(スコットランド)の国立大学であるグラスゴー大学で誕生し、”飼育”されました。開発した研究チームによれば、RoboGuideは視覚障害を持つ人々が屋内空間をより自由に移動できるよう手助けできると述べています。
研究チームによる新しい設計は、支援技術におけるもっとも一般的な問題のいくつかを解決しています。
現在の多くの4本足ロボット、2本足ロボット、車輪付きロボットが開発されていますが、致命的な欠点は、経路を見つける技術が視覚障害者にとっての利便性を狭めてしまうことです。
例えば、GPSを使って誘導するロボットは屋外ではうまく機能しますが、衛星からの電波が天井や壁に遮断されてしまう屋内では正確な位置情報を把握することは困難です。
また、カメラを使って誘導するロボットは視界が制限されるため、対象物の周りや曲がり角で人を安全に誘導することが難しくなります。
これらの問題を解決するために、RoboGuideは周囲の状況を分析するべく複数のセンサーを搭載しています。研究チームが作成したプログラムによりRoboGuideは場所間の最適なルートを見つけ、センサーが収集したデータをリアルタイムで解析し、障害物にぶつかるのを避けながら目の不自由な人を誘導できるとのことです。
RoboGuideは飼い主に従順です。大規模な技術のおかげで、飼い主の音声を理解し、会話することもできるのです。
RoboGuideのプロトタイプは、昨年の12月にスコットランド最古の博物館であるハンタリアン博物館でボランティアとともに初めてテストされました。テスト中、RoboGuideはボランティアに館内を案内し、6つの異なる展示物について対話型の解説を行いました。
大学の先端研究センターにも展示されました。チームによると、プロトタイプにはいくつかの革新的な技術が使われており、数年後には完全版をリリースするのが目標だといいます。
世界には、何らかの視覚障害を持つ人が22億人いると推定されており、研究チームは、視覚障害者を屋内で誘導するのに役立つ製品を開発したいと考えています。
このプロジェクトは、Forth Valley Sensory Centre Trust(FVSC)と英国王立盲人協会(RNIB)の2つの主要な慈善団体によって支援されています。
「移動は視覚障害者にとって大きな問題であり、RoboGuideはその問題に対する素晴らしい解決策になる。視覚障害者や弱視の人々が自信を持って生活できるようにするための研究開発を支援できることをうれしく思う」とコメントしています。
2022年2月には、アメリカ合衆国国土安全保障省が、メキシコとの国境で犬型ロボットを国境警備のパトロールに用いる研究をしていることを公表しました。
そのほかにも救助犬ロボット、(麻薬、爆発物、地雷)探知犬ロボット、警察犬ロボット、軍用犬ロボットなども実用化に向けて研究されているようです。
日本では使役目的というよりも、aibo(アイボ)に代表されるように、コンパニオンアニマルや娯楽に特化した開発が多いようです。
盲導犬のほかにも、聴導犬や介助犬といった補助犬が活躍しています。しかし、その数は少なく、社会的認知が進んでおらず、利用者が施設やサービスの利用を拒否されることもあり、導入が進んでいません。
日本でも、障害者の方々が生活しやすい環境の実現を目標に、障害者をサポートするような使役犬ロボットの研究が進むことを期待したいものです。