東海道新幹線のスタッフさんの粋な計らいに感動

先日、東京の知人ブリーダー宅に子猫を届けるために、米原駅から新幹線を利用しました。そのころは日航機接触事故があったばかりで、ペットの同伴搭乗に対しての議論が沸騰中でした。

公共の交通機関の利用をためらいましたが、クルマの調子が悪かったことや時間的な制約もあり在来線と新幹線を乗り継いで行くことにしました。

在来線のなかでは案の定、4人掛けに座った乗客がペットの同伴搭乗について議論していました。4人でも賛否両論で、子猫を連れて乗車している私にとっては肩身の狭い思いでした。

米原駅に着いて新幹線乗り場に向かって歩いていると、「あの人、ペットを連れているね」という声が聞こえてきました。以前は感じなかった批判的な視線を感じました。同伴搭乗について意見を語るのはよいのですが、ペットが苦手な人のことを配慮した意見でないと、逆にペットを飼う人の首を絞めることになるなぁと思いました。

新幹線の改札口でペットを連れている旨を伝え、切符を購入して新幹線のホームへ向かいました。今回はより周囲の人に配慮が必要だと感じていた私は、16号車の最前列のA席を予約しました。進行方向の一番前の席です。子猫の入ったキャリーバックの重さを感じながら、ホームの先頭まで歩きました。

乗車すると女性の乗務員さんが声をかけてきました。「A席のお客様でしょうか。ご覧いただいたように外国人の団体の方がその周辺の席を予約されて、椅子を向かい合わせに座られている状態です。なので、ほかの列のA席を押さえましたので、そちらの席に移動していただいてもよろしいでしょうか」というのです。

私はペットを連れていたので、この席をあえて予約した旨を伝えました。すると、「ほかの方へご配慮を頂いたのに、ほかの席へと移ってほしいなどと申し上げて大変失礼いたしました。今から同様の席を探してみますので、とりあえず押さえさせていただいた席に座ってお待ちいただけますか」と丁寧に対応してくれました。私はとりあえず車両のなかほどのA席に座って待つことにしました。

連れていた子猫は鳴くこともなくおとなしくしています。その席の周囲も空いていたので、無理ならこの席でよいかなと思っていました。10分ほどしてまだ回答がなかったので、私は「この席でよいですよ」と伝えにいきました。すると「大変申し訳ないのですが、同様の席が空いていませんでした。車掌と相談しまして、お客様が現在座っていらっしゃる席の隣のB席・C席には誰も座らないようにこちらで押さえておきますので、現在の席で何とかご理解いただけますでしょうか」と乗務員さん。

私は「そうしていただけるなら助かります。ありがとうございます」と伝えて席に戻りました。なかなか気の利く方だなあと、嬉しい気持ちになりました。

新しい席で落ち着いていると、今度は男性の乗務員さんがやってきました。すると「車掌の○○と申します。この度はほかのお客様のためにご配慮いただいたにも関わらず、ご予約いただいたお席にご案内できずに大変申し訳ありませんでした。こちらの2席は誰も座らないように押さえさせていただきましたので、どうぞごゆっくりお過ごしください」と膝をついて丁寧に伝えてくれました。

その後も、女性の乗務員さんがグリーン車で配られるおしぼりを持ってきてくれて「ごゆっくりお過ごしください」と丁寧にお辞儀。私は心のなかで「すごいぞ新幹線。すごいぞJR東海」と一連の粋なサービスに感激したのでした。

ますます新幹線が好きになりました。これからもよろしくお願いします!