「消防記念日」に考える家族とペットの命を守るための災害対策 ~3日で助けは来ないかもしれない

本日、3月7日は「消防記念日」です。日本の消防に関する理解と認識を深めるために制定された記念日です。これは、消防組織法が施行された1948年(昭和23年)3月7日にちなみ、1950年(昭和25年)に国家消防庁(現・総務省消防庁)により定められました。

この日は、空気が乾燥し火災が発生しやすい時季を迎えるに当たり、火災予防思想の一層の普及を図ることで、火災の発生を防止し、火災による死傷者の発生や財産の損失を防ぐことを目的に毎年実施されている「春季全国火災予防運動」の最終日でもあります。

この期間に、NHKスペシャル「南海トラフ 巨大地震」が3月4日(土)と3月5日(日)の2夜連続で放送されました。ご覧になった人も多いのではないでしょうか。

第1部(4日夜)は前・後編に分かれたスペシャルドラマが放送されました。和歌山県南方沖を震源地とするマグニチュード8.9の巨大地震が発生し、大阪の中心地を津波が襲うシーンや、救助や物資の支援が届かない地方の避難所の様子がリアルに描かれていました。

ドラマのなかで、救助や物資の支援が十分に届かない避難所のシーンがありました。ある避難所では、人々は床で雑魚寝し、配給される食料は少ない状況でした。そのなかで男性が発した「3日で助けなんか来るわけない」という言葉にハッとさせられました。

ひとたび巨大地震が起きると、時間差で巨大地震が発生する可能性が高まるため、「南海トラフ地震臨時情報」が気象庁から発表されます。その内容が「巨大地震警戒」であった場合は、1週間の事前避難を行う必要があります。

こうした状況では、「次の巨大地震のおそれ」があるため、被害がそれほど大きくなかった地域の消防部隊でも、被災地の救援に行けなくなる可能性があると指摘されています。

出典:総務省消防庁

総務省消防庁の「南海トラフ地震等における緊急消防援助隊アクションプラン」では、大規模な災害の際に全国から被災地に駆けつける「緊急消防援助隊」の役割や、派遣プランがあらかじめ決められています。しかし、南海トラフ巨大地震が発生した際には、周辺の重点受援県は、たとえ被害が少なくても次に来るかもしれない巨大地震に備えるため地元での活動にとどまることになっています。

NHKが実施した全国の都道府県へのアンケート調査によると、応援に向かう都道府県の72%が「地元の防災力を維持することが難しい」と回答し、72時間以内に被災地へ到着できる部隊数が全体の45%にとどまるという結果でした。

南海トラフ巨大地震が発生し、救助が来ない可能性が高い。そのときに備えて、私たちにどんなことができるのでしょうか。消防行政に詳しい関西大学の永田尚三教授はNHKの取材に対して、「巨大地震に備えてハザードマップの確認や、すぐに避難できる体制を整え、できる限り救助の手を借りずに難を逃れられる備えを進めておくことが大切」と答えています。

いざというときに、家族とペットが安全に避難し、その後も一緒に暮らせるようにするには、日ごろからの心構えと、備えが大切です。

ペトハピでは、家族であるペットの命を守るための災害対策を飼い主さんと一緒に考える「ペットも守る防災対策」を連載しています。

今年は、1923年(大正12年)に発生した「関東大震災」から、100年になります。死者・行方不明者は推定10万5,000人で、明治以降の日本の地震被害としては最大規模の被害となりました。その節目に、あらためて防災について考え、災害に備えましょう。

【第1回】想定しなければならない災害と過去の災害を知ることから始める
【第2回】災害発生時への備え-災害はいつ起こるかわからない
【第3回】住まいや飼育場所の防災対策
【第4回】災害に備えたペットのしつけと健康管理
【第5回】ペットが行方不明にならないために必要な対策
【第6回】ペットの避難用品や備蓄品の用意
【第7回】家族や地域での話し合いとご近所との連携の重要性
【第8回】災害時における「同行避難」の必要性
【第9回】災害が発生した際にどう行動する?
【第10回】避難場所でのペット飼育の心がけ