【犬飼いTIPS】犬は郵便配達員が苦手!? 海外では咬傷事故が多発しているらしい
オーストラリア郵便公社が、飼い主の意識向上のためのキャンペーンを開始しました。今年はすでに1100件以上の咬傷事故が発生しており、昨年の400倍にもなっているようです。もしかしたら、日本でも同じことが起こっているかもしれません。今回は、郵便配達員が犬に噛まれてしまうという事例から、対応策などを考えてみたいと思います。
噛むという行動は犬の本能
大半は噛まないということを覚えておくことが重要です。攻撃してくる犬は、通常は攻撃というより恐怖や不安から行動しているのです。
私たちが初めて犬をペットや仲間として飼い慣らし、訓練して以来、何世紀にもわたって、私たちの生活や家庭、環境をともにできるように、犬の自然な行動を形成してきました。しかし、犬本来の本能のすべてを繁殖や訓練で取り除くことはできません。多くの犬は自分の居場所を守ろうとし、身の危険を感じるとその対応をエスカレートさせます。
環境省の統計資料「動物愛護管理行政事務提要(令和3年度版)」の犬による咬傷事故状況によると、国内の犬による年間咬傷事故数は減少傾向が続き、平成20年に5000件を下回ってからは年間4000件程度で推移していました。しかし令和2年度には再び増加しています。これは、コロナ禍によるペット飼育頭数の増加と比例しています。
オーストラリアのコンパニオンアニマルカウンシルのレポートによると、毎年10万人以上が犬に襲われ、そのうち約1万2000〜1万4000人が怪我の治療を必要とし、そのうちの約10%が入院していると報告されています。
また、米国疾病管理予防センター(CDC)のレポートによると、咬傷事故は4~9月の春夏に多く、10~3月の秋冬に少ないという傾向があるようです。月別で見ると一番多いのは7月で、次いで4月でした。反対に一番少ないのは1月でした。肌の露出が多いかどうか、薄着か厚着か、犬の発情期かどうかなどが、季節的に影響していると考えられ、これは日本でも同様の傾向と想定できます。
職業上の咬傷事故を見ると、郵便配達や荷物の宅配、食品の宅配、動物病院や動物の保護施設での仕事、電気・ガス等のメーターを読む仕事、家屋の修繕や設備の取り付けなどの比率が高いようです。
他人が犬に襲われているときにすべき3つのこと
多くの人は、特定の犬種を攻撃的な犬としてイメージしていますが、これは誤った先入観です。実際には、どんな犬種であっても、噛む可能性があるのです。もし他人が犬に襲われているのを見つけたら、どうしたらいいのでしょうか。
1)自分の身の安全を確保する(手を出すと噛まれる可能性があるため)
2)犬の注意をそらす(安全な場所から呼びかける、クラクションを鳴らす、ホースで水をかけるなど)
3)必要に応じて救急車を呼ぶ
また、万が一犬に襲われてしまったきには、次のふたつの行動が大切です。
1)傷の治療や感染症予防のため、早急に医療機関を受診する
2)被害届・事故発生届出書を出す。ほとんどの自治体では、犬に噛まれた場合、報告することが義務付けられています。自治体は証拠を集めたり、当事者や目撃者から話を聞くなどフォローアップをすることがあります。また、危険性を判断し、フェンスの設置や修理などを飼育環境の改善を指示する場合もあります。野犬や放し飼いの犬も報告され、自治体に保護されることもあります。
もしあなたが犬に攻撃されたら
犬が興奮した様子でこちらに走ってきたら、反応したり叫んだりしないことがもっとも重要です。できるだけ落ち着いて、目を合わせないようにして、慌てずその場を離れてください。
犬が飛びかかってきた場合は、直立したまま動かずに助けを呼ぶのが一番です。もし余裕があれば、あなたと犬の間に何かを置くとよいでしょう。公園であればベンチやゴミ箱、なければ鞄や上着でも効果はあります。もし、地面に倒れてしまった場合は、できるだけしっかりと体を丸めてください。その際、首や耳をしっかりガードすることも大切です。
ほとんどの犬は「噛みつき抑制」が備わっています。幼いときに兄弟や親との遊び行動の一部として学習されます。お互いを噛むことによって噛む強さを学ぶのです。これはペットにとって重要な社会化です。
犬が本当に怖がっていて、人がそのサインを認識できない場合、警告や反応として一度は噛むでしょう。しかし、あなたが離れられるなら必ずしも噛み続けることはありません。
なぜ郵便配達員は嫌われるの?
犬は郵便局員を特に嫌っているわけではありませんが、多くの犬は追いかけることが好きです。最近は少なくなりましたが、自転車に乗っている郵便局員を追いかけて、興奮しすぎてつい噛んでしまう子もいます。
また、見知らぬ人が突然自分のテリトリーに入ってくるのを嫌がる犬もいますし、訪問が予測できないことも事態を難しくしています。
ただ、世界の郵便局も対応策を練っています。イギリスでは、郵便局員がドアポストに手紙を入れる時に指を噛まれることが多いので、「Posting Pegs」という大きなピンセットのようなもので手紙を押し入れるそうです。アメリカでは、郵便局員に犬がいることを知らせるために、肉球のステッカーが使われています。
まとめ
郵便局員が来たら、犬を別の部屋に入れるか、リードで繋いでおく、もしくは、おやつやおもちゃで気をそらすことをしてみましょう。また、犬が庭にいる場合は、郵便受けから離しておく必要があります。
何度か見慣れるうちに、犬は状況を理解し、自分に害を及ぼさない人という認識をしてくれるでしょう。
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