スーパー猛暑を乗り切る! 電気を賢く使ってペットとジブンの快適空間をつくる
気象庁の発表によると、今年の夏は「スーパー猛暑日」が多くなるという見通しのようです。気温が35℃を超えると猛暑日になりますが、なんとスーパー猛暑日は37℃以上という定義です。熱中症、熱帯夜と私たちにとって過酷な夏になりそうです。そして、それは愛犬、愛猫にとっても同様です。日本は湿度も高いため、日本で人気のある海外の犬種や猫種にとって、日本の環境はかなりストレスが高いのです。
そんな夏を乗り越えるにはどうしたらよいのか……。昨年「残暑を乗り切り方」でお世話になった、“電気のプロ”中村チャンピオンに助けを求めました。
「ズバリ、エアコンで室内の環境を一定に保つことです」といきなり結論から切り出した中村チャンピオン。でも、エアコンってけっこう電気もくうし、お財布が……と思っていると、その理由を説明してくれました。
「“夏の電気代は高い”と感じている人は多いと思います。ただ、年間で見てみると、実際にはあまり多くはないんです」。家電量販店に行くと、店頭POPや各社のエアコンのカタログには、期間電力消費量が書かれています。じつは、各社が勝手に試算しているのではなく、JIS規格に基づいています。その基準は以下のとおりです。
エアコンの期間消費電力量について
【算出基準】
・外気温度:東京をモデル地域に
・設定温度:冷房時27℃/暖房時20℃
・期間:冷房期間(5月23日~10月4日)
暖房期間(11月8日~4月16日)
・時間:6:00~24:00の18時間
・住宅:JIS C9612による平均的な木造住宅(南向)
・部屋の広さ:機種に見合った部屋の広さ
広告などで、「10年前と比べて○○%省エネ」とかよく聞きませんか? でも、それはここ最近の話で省エネ率はそんなに変わっていません。実際に2016年の10年前、2006年と比較すると、約7.5%の省エネなんです。あまり向上していないように感じますよね。でも、20年前の1995年と比べると、なんと約45%の省エネとなるんです。電気代は半分近くになったということになります。「エアコンは電気代がかかる」という認識は、はるか昔の話で、実際にエアコンの省エネ率はどんどん向上し、すでに行き着くところまできたとも言えるのです。なので、テレビなどのAV製品のように「もう少し待ってみる」必要はなく、いつ買っても省エネ効果抜群のエアコンであることは間違いないようです。
では、エアコンはもう進化はしないのでしょうか。中村チャンピオンによると、ここ最近は単に冷やすということでははく、センサーで部屋や人を見て、効果的に冷やす、さらに快適性を向上させるというのが主流となっているとのこと。どういうことなのでしょうか。
「快適さは人それぞれ違いますよね。風が苦手な人もいれば、長時間いた人と暑い外から帰ってきた人では、同じ温度でも快適感が異なります。それをセンサーが判別して、温度を変えたり、吹き分けたりすることで、それぞれの人にとって最適な環境を提供しようというのが、これからのエアコンの役割でしょう」
確かに、ひとり暮らしならいざしらず、家族と一緒だと、それそれ好みが違ったりします。
わが家でも男性陣は温度を下げる傾向にあり、「暑いな~」と思うと女性陣が温度を上げていたりします。まあ、テレビのチャンネルと同様に決定権は女性陣のようが優先だったりしますが……。
でも、これからは、そんな家庭内の争いも解決してくれるのが、センシング技術なんですね。では、この技術はもうひとつの家族、ペットにも有効なのでしょうか。
「残念ながらまだペットを感知するまでは至っていません」と中村チャンピオン。現状はまだ“人だけ”の対応に止まっているとのこと。しかし、赤外線センサーだけでなく、カメラを搭載して、AIで個人を特定するような機能も出てきているので、今後はペットの顔を認識して、人と同様にペットにとっても快適な環境をつくってくれるようになるのも、そんな先の話ではないかもしれません。なにせ、いまや4軒に1軒はペットと暮らしている家庭なのですから。
現状では、ペットに快適な環境をつくってあげられるのは、私たちだということです。では、どうしたらよいのでしょうか。
「ペットの種類によって違うので一概には言えませんが、大切なのはペットだけでなく、一緒にいる私たちも快適であるということだと思います」と中村チャンピオンは話します。確かに、犬も猫も自分の快適な環境を見つけて移動しますし、猫は暑いと感じれば床で伸びていたり、少し寒いと感じると高所に陣取ったりしていますね。わが家でも、猫が床でいるときには少し室内が暑いかなと感じます。逆に、足下が冷えるなと感じたときには、タワーで寝ていたりします。
犬の場合は、猫のように高所に上がることはなく、つねに床で生活しているので、少し注意は必要だと思います。私たちがちょうど良いな、と思っていると足下の愛犬にとっては少し寒いかもしれません。
「先ほどお話ししたとおり、いまのエアコンはセンサーで部屋全体を見ているので、上部と下部の温度差が大きいということはありません。ですのでそこまで神経質になることはありません」と中村チャンピオン。となると、人間の快適と思える設定温度、わが家では26~27度くらいに保つのが、家族みんなが幸せだと言えます。
では、賢いエアコンの使い方はあるのでしょうか。
「お住まいの気密性・断熱性によって異なりますが、最近の家は戸建てでもマンションでも高気密・高断熱のものが多くなっています。その場合はエアコンの電源を入れたままの自動運転がオススメです。オン/オフを繰り返すほうが電気代はかかります。エアコンはつけたときに一気に冷やそうとするからです」
確かに、こまめにつけたり消したりするより、つけっぱなしのほうが電気代が安いというのは、すでに周知の事実です。また、家庭におけるエネルギー消費の内訳をみると、冷房の比率はかなり低くなっています。これは、エアコンの省エネ率が向上した結果ともいえます。
「それと、少し古いエアコンをお使いでしたら、扇風機やサーキュレータを併用するのもいいですね。最近は、DCモーター搭載で、3D首振り機能を搭載する高性能な製品も出ているので、それを併用することで、体感温度は1~2度下がります」と中村チャンピオンは提案してくれました。
「あと、お留守番のときに、注意してほしいことがあります。切り忘れ防止機能が搭載されているエアコンは、お出かけのときには必ずオフにすること」というアドバイスも。これはどういうことでしょうか。
最近のエアコンは、人の不在を感知して自動的に運転を切ってしまうという、日本ならではのスマートな機能を持っています。ただし、これはあくまでも私たち人間だけに有効なモードなのです。現在のセンサーが、まだペットを感知できない現状では、これを忘れると大変なことになってしまいます。オンにしたままにしていると、人が外出してしまうと、エアコンが「お出かけしたみたいだけど、エアコンがつけっぱなし!」と考え、自動で運転を呈ししてしまうのです。でも、家にはペットが……。今年のスーパー猛暑において、どんどん室内の温度は上昇し、外気と同じになる……。そんなことにならないように、お出かけするときはこの機能を必ずオフにする。もしくは、はじめからオフにしておくのがいいですね。
さて、今回は今年の「スーパー猛暑」を乗り切る方法を説明してきました。お答えいただいた中村チャンピオンも愛猫と暮らしています。エアコンのほかに、夏に便利な家電を聞いてみました。
「先程ご説明した扇風機もそうですが、空気清浄機も年間をとおして使っています。この時期は除菌・消臭だけでなく、蚊が多い季節でもあります。薬剤を使用しない空気清浄機や、紫外線を使った蚊取り機なども増えているので、試して見たいと思っています」
ペトハピでもいくつか紹介していますが、確かに反応はよいですね。「愛犬プラスワン」の“家電おじさん”こと藤山さんもメーカーに突撃取材していたりします。
「ほかには、見守りサービスですね。私も自宅ではネットワークカメラを設置して、猫の行動を確認しています」確かに、いろいろなサービスが出てきています。いままでは防犯用が主目的だったネットワークカメラの新しい利用方法ですね。ペトハピでもネットワークカメラの記事は人気となっています。
今回、愛猫家でもある「電気のプロ」中村チャンピオンに、電気のこと、エアコンのことについて伺いました。我慢して節電するのではなく、賢く電気を使い快適にすることで、豊かな生活が送れるということがわかりました。中村チャンピオンは、猫との快適な生活だけでなく、私たちが快適に暮らせるヒントを定期的に発信しています。「くらしのラボ」もご覧になってください。
コメントを送信