愛するペットと快適に! 残暑の乗り切り方
ペットを飼う読者のみなさんにとって、夏の電気代は頭が痛いのではないでしょうか。だからといって、愛するペットに我慢させるのもしのびない。ならば、賢く節電して、猛暑を快適に乗り切ろうというのがペトハピの提案です。
そこで相談に乗っていただいたのが、東京電力エナジーパートナーの中村 剛さんです。“家電チャンピオン”というと、聞いたことがある人がいるのでは。中村さんは、家電のことなら知らないことがない! ほどの方なんですが、じつは猫をこよなく愛する、優しきチャンピオンでもあるのです。
今年の4月に電力全面自由化となり、各社からいろいろな料金パッケージが出てきました。でも、現時点ではペット飼育家庭向けの料金プランやパッケージはありません。それならば、家電製品を賢く使って節電しようというのが今回のテーマです。
猛暑をエアコンで乗り切る
エアコンは電源オン/オフをこまめにするより、つけっぱなしのほうが電気代が安くなった――そんなことがよくいわれます。ただし、それは条件が整った状況でのみ実現できるようです。
「大切なのは家の構造です。戸建てなのかマンションなのか、ということではなく、気密性・断熱性で考えることが大切なのです。最近の戸建てやマンションは高気密・高断熱のものが多いので、その場合はエアコンの電源を入れたままの自動運転がオススメです」と中村さんは説明してくれました。
確かに、エアコンが一番電力を使うのがオン/オフのときだといわれます。実際にエアコンの電源を入れたときは、コンプレッサーがフル稼働しているような勇ましい音がする。クルマを運転する人はご存じだと思いますが、もっともエネルギーを必要とするのは、発進/停止のときであるのと同様です。
「エアコンは、つねに同じように電気を使っているのではなく、ある一定温度になると定常運転になります。そうなると、電気はあまり使わずキープしてくれるのです」
ただし、こういった節電を実現できるのは、新しいエアコンであることが重要です。家電量販店などに行くと、「●●%省エネ」などと、古い機種との省エネ比較をしているのを目にしますが、やはり10年以上前のエアコンは買い換えを検討したほうがよいといわれています。古いエアコンでも冷えないことはないのですが、センサーや能力は進化していて節電効果は向上しているそうです。
そして、買い換えるならば、冷房性能よりも暖房性能が高い機種を選んだほうがよいとのことです。「えっ、夏なのに暖房性能?」と疑問に感じたのではないでしょうか。
中村さんによると、エアコンは、室内機と室外機との間で熱を移動させるもので、夏と冬は逆の運転をしているだけで、実は同じことをしているのだそうです。
「どちらがエネルギーを必要するかといえば、冬場なんです。例えば、夏場35度くらいになった室内を27度くらいに冷やすとなると、その差は8度ですよね。冬場、5度くらいの温度を20度に上げると、その差は15度。倍くらいのエネルギーを必要とします。だから、冬場にしっかり暖められるエアコンを選ぶと、夏場もしっかり冷やしてくれるということになるんです」
確かに、最近は各社とも冬に強いエアコンをうたっているのはそのためだったのだと納得しました。
「あとは、インバーター。インバーターの利点は、運転を微調整できることにあります。インバーターにより効率的に運転をすることで快適な温度設定ができるのです」
古いエアコンや安価なエアコンは、インバーターが搭載されていない機種があるので、調整幅が大きくなってしまうようです。だから、「切ると暑い」けど「つけると寒すぎる」ということになり、オン/オフを繰り返した覚えがある人もいるのでは? それでは、人だけでなく、ペットにも優しくない、といえますね。
ただし、このエアコンの自動運転にも注意が必要です。中村さんによると、「人の不在を感知して、自動的に運転を切ってしまうモードがあるエアコンがある」とのことです。外出などで人が不在になったときなどに、[消し忘れ]と認識して運転を切ってくれるのだそうです。省エネ意識の高い日本ならではの機能といえますが、この便利な機能は、ペットにはありがたくないのです。
現在のエアコンには多くのセンサーが搭載され、人の体温を認識したり、エリアを細かく分割して快適性を追求したりしています。しかし、それはあくまでも人間に対してであり、ペットに対応したものではない、とういうのが現状です。
この猛暑にエアコンが切れてしまうと、ペットにとっても危険です。なので、まずはモードを確認して、必ず自動運転機能を「オフ」にしましょう。
扇風機やサーキュレーターを使って省エネも
空気を攪拌(かくはん)すると、部屋の温度を均一化できて省エネになるようです。エアコンの設定温度を1℃上げても、体感温度が変わらずに消費電力が10%くらい下がったという実験結果もあります。
もっとも効果的なのは、リゾートなどでよく見かける天井で優雅に回るシーリングファンだそうです。とはいえ、一般家庭で設置するのは難しいですよね。そうなると、扇風機やサーキュレーターとの併用が現実的となります。では、実際にはどのように使うのが効果的なのでしょうか。
中村さんによると、「扇風機やサーキュレーターを部屋の中心に設置し、天井に風を送ることで部屋のなかに空気の流れをつくると均一に温度をさげてくれます」とのこと。
ただし、部屋の形状によって異なってくるので、下から上に風の流れをつくってあげるだけでもよいようです。
ちなみに、中村さんのオススメはDCモーター搭載の扇風機です。「ここ数年、高級扇風機の市場が盛り上がっているので、選択肢も増えてきました。左右だけでなく、3Dで首を振るモデルもあります。もちろん、そよ風のような心地よい風をつくるだけでなく、サーキュレーター機能もあわせて持っているので一石二鳥といえます」
そして、ここでも注意が必要です。それは、「耐用年数を確認する」「定期的に掃除をする」「不在時は消す」ということ。古い製品はモーターの劣化による発火の恐れがあったり、飛散したペットの毛が詰まって機能を低下させることから、「製品評価技術基盤機構」でも、夏場の使用に際しての喚起をしています。異常な振動や異音がしたり、焦げくさいニオイがしたら、すみやかに使用を中止して、購入店またはメーカーに相談しましょう。
まとめ
今回、中村さんにいろいろなお話をお聞きしました。カタログやメーカーの情報を見たり、家電量販店で聞いてもわからなかったことが、きちんと理解できました。それは中村さんが、つねに猫との快適な生活を考え、実際に試しているからこそなんだと思います。中村さんは、そういった気づきや知見を定期的に発信していますので、ぜひコラムをご覧になってください。
コメントを送信