犬との暮らしで知っておきたいこと Vol.130

【犬飼いTIPS】うちの子は太り過ぎ? 愛犬の健康的な体型を確認する方法

[2023/05/16 6:01 am | 編集部]

体重だけで、健康かどうかが分かればいいと思いませんか? しかし、そう簡単にはいきません。太りすぎ(もしくは痩せすぎ)を判断する要素として、体重だけでなく体脂肪や筋肉量なども考慮する必要があります。

今回は、健康的な愛犬の体重とコンディションスコアのお話です。

一般的な体重表は役に立たない?

純血種の犬を飼っている場合、アメリカンケネルクラブ(AKC)の「Breed Weight Chart」は有効です。犬種別のオスとメスの成犬の体重表が掲載されています。純血種の子犬がどのくらい大きくなるのかは、この表が参考になります。

しかし、ミックス犬の場合はこのチャートはあまり役に立ちません。そこで登場するのが、「ボディコンディションスコア(BCS)」「マッスルコディションスコア(MCS)」です。

このチャートを使えば、あなたの愛犬の体脂肪が少なすぎるか多すぎるか、筋肉が衰え始めていないかなどを判断することができます。

BCSは体型から体脂肪を評価する

BCSは、次の4つの基準で判断されます。

 ・肋骨の確認しやすさ
 ・腹部や腰のくびれ
 ・皮膚の下の余分な脂肪の量
 ・筋肉の量


健康な範囲に入るには、肋骨が触りやすく(見えない)、犬を上と横から見たときに腹部や腰に明確なくびれがあることが重要です。また、被毛の厚さによっては、腰やお腹のくびれが見えにくい場合は、手で触って確認する必要があります。

太りすぎの犬は、目に見えてたるんでウエストは見えず、肋骨は脂肪の下にあるため感じにくく、背中は平らで広く見えます。逆に、痩せすぎの犬では、肋骨や背骨などの骨が離れたところからでも確認することができます。

一般的には5段階で評価されますが、WSAVA(世界小動物獣医師会)では9段階で評価します。この評価では、理想的なスコアは4と5で、数字が小さい(1~3)ほど痩せすぎ、数字が大きい(6~9)ほど太りすぎや肥満であるとされます。

ボディコンディションの測定に年齢を考慮する必要はありません。しかし、避妊・去勢手術は代謝に大きく影響するため、術後の健康を状態に保つためには、栄養学の専門医に相談することもあるでしょう。

また、高齢のペットは慢性的な健康問題を抱えていることが多いため、除脂肪体重(筋肉量)や活動量が減少するため、健康を維持するためにフードの変更も必要な場合があります。

MCSは筋肉量を評価する

MCSは体脂肪を評価するBCSと異なり、筋肉量を評価します。脊椎、肩甲骨、頭蓋骨および骨盤の視診と触診により確認します。

筋肉量は、正常・軽度の低下・中程度の低下・重度の低下と4段階で評価されます。太りすぎの場合は、かなり筋肉量が低下する可能性があり、痩せすぎの場合は筋肉量の低下が最小限となることがあります。

愛犬の状態を確認するには、ボディコンディションスコアとマッスルコンディションスコアの両方で評価することが重

自宅での測定方法

まず、評価を5段階にするか、9段階にするかを選びます。そして評価中は愛犬を立たせておく必要があります。

ステップ 1

まず、両手で胸郭を軽く押さえます。個々の肋骨は強く押さなくても確認できるはずです。皮膚の下にすぐ肋骨を確認できるのか、もしくは目視できる場合はスコアは低くなります。また、余分な脂肪があって肋骨が確認できないようならスコアは高くなります。

ステップ 2

横から、または背中に沿って触診すると、腹部のくびれや腰が確認することができます。特に被毛の厚い犬種の場合は触診が重要です。痩せすぎの犬は、肋骨や肩甲骨、腰椎に骨盤が隆起し、目視できます。太り過ぎの犬は、過剰に柔らかい部分や脂肪の多い部分が目立ち、肋骨や腰骨を触るのが難しくなるか、不可能になるでしょう。

スコアが悪い時の対応

まず大切なのは、スコアの数値が適正(5段階であれば3、9段階であれば4か5)であった過去を知ることです。そのときの様子によって、必要な対応策が決まってきます。

愛犬が太りすぎている場合は、ドッグフードをダイエット用のものに変えたり、食事量を減らすことも検討しましょう。もし、運動量が少ないようなら、散歩の時間を少し長くしたり、途中に早歩きを入れるなどしましょう。ただし、急に取り入れるのではなく、徐々に運動量を増やすようにします。顕著に体重の減少がみられるのは2~3カ月かかることが多いので、気長に取り組みましょう。

痩せすぎの場合、健康に問題があるケースが多く見られます。歯や顎にトラブルがあり食べるのが難しいかもしれませんし、胃腸の問題や基礎疾患がある場合もあります。このような場合は、すぐに獣医師の診察を受け、治療をスタートします。もし、愛犬が保護犬であったのならフードが足りなかった(栄養不足)ことが考えられます。健康的に体重を増やす方法として、一時的に高カロリーのフードを与えることも考えられますが、まずは獣医師に相談しましょう。

まとめ

BCSやMCSで愛犬の状態を把握することは、健康維持にとって重要なことです。しかし、自宅での測定は、動物病院での診察に代わるものではないことを忘れないでください。

愛犬の体重やBCSの変化に気づいたら獣医師の診察を受けましょう。また、定期的な健康診断を受けることも大切です。

[編集部]