子猫は、生まれてから短期間のうちにさまざまな変化が見られます。はじめは、お乳を飲むとき以外はほとんど寝ています。まったく目は開いていません。生後1週間を過ぎると、うっすらと目が開き、ぼんやりとこちらを見ているように見えます。
それがいつの間にか、目を輝かせておもちゃに反応したり、兄弟や姉妹と取っ組み合いして遊んだりするようになります。そのころには目の色が変わり出します。では、子猫の目の色はいつ変化するのでしょうか? 今回は子猫の目の色が変わる理由と、目の色でわかる疾患についてのお話です。
子猫の目の色は成長とともに変化する
猫の眼球の色がついている部分を虹彩(こうさい)と呼びます。虹彩には、メラノサイトと呼ばれる特殊な色素細胞が存在し、メラニン色素が産生されます。色素の量によって色は変わります。例えば、日本人はメラニン色素が多いため瞳は茶褐色になり、北欧の人たちはメラニン色素が少ないため青色の瞳をしています。
猫の場合、生後数週間は虹彩にメラニン色素が蓄積されないため、ほとんどの子猫は青い目をしています。その後、メラノサイトからメラニン色素が産生され、その量によって色が変わっていきます。そのため、成猫の多くは、多様な目の色をしているのです。
通常、子猫の目の色は、生後4〜8週間で変化します。しかし、猫種によっては、赤ちゃんのまま青い色を保っている猫もいます。
猫の目の色を予測することはできますか?
結論からいえば難しいといえます。ただし、父猫と母猫の血統を正確に確認することができれば、可能かもしれません。もちろん、いくつかの猫種は特定の目の色を持つ傾向があります。
ラグドール、サイアミーズ、トンキニーズ、ヒマラヤン、バーマンなどは、成猫になってもメラニン色素の量が少ないので、青い目のままです。
次にメラニン色素の量が少ないと、目の色は緑色になります。ロシアンブルー、ベンガル、エジプシャンマウなどの成猫は緑の瞳を持ちます。
アンバー(ゴールドやイエロー)の瞳は一般的ですが、もっともメラニン色素の量が多いカッパー(銅色)が見られることもあります。猫種ではシャルトリューの特徴でもありますが、温暖な地域の猫に多く見られます。
片方がブルーで、もう片方がグリーン、イエロー、ブラウンなどという目の色を持つ猫もいます。これは虹彩異色症で、オッドアイとも呼ばれます。白猫に多く見られ、ターキッシュバンやジャパニーズボブテイルといった純血種に現れやすく、一般的には突然変異とされていますが、遺伝することもあると考えられています。
子猫の目の色から年齢はわかる?
子猫の目の色の変化で年齢を特定するのは現実的ではありません。一般的には、乳歯の生え変わりを年齢の目安にすることが多いようです。
子猫の乳歯は生後2週間ほどで生え始め、約6週で26本が生え揃います。6週は離乳してごはんを食べ始める時期でもあるのです。そして、生後3カ月ころから乳歯が抜け始め、6カ月ほどで永久歯30本が生え揃います。
その後は、歯の摩耗具合や色によって推測することになります。
猫の目の色からわかる疾患
猫種以外でも、健康上の問題が目の変化に現れるときがあります。たとえば、血液が肝臓にうまく届かず、血液中に毒素がたまる先天性の病気である「門脈体循環シャント」には要注意です。この疾患の猫は、瞳がカッパーになるという報告がなされています。
そのほか、猫によくある目の病気は、虹彩に直接影響して色が変わるわけではありませんが、眼球が濁って見えたり、虹彩の周囲が変色していたりすることがあります。次のような目の問題の兆候が見られたら、すぐに動物病院で診察を受けましょう。
▶眼瞼炎(まぶたの炎症)は、赤く腫れているように見えます
▶結膜炎(ピンクアイ)は、さまざまな原因で起こる目の感染症の一種です
▶緑内障は、目の充血や腫れ、曇りなどの症状が出ます
▶白内障は、シニア猫に多く視力が低下します
まとめ
「目は口ほどに物を言う」といいますが、猫の目からもいろいろなことがわかります。単に瞳の色だけでなく、色の変化、眼球の濁りから、目の病気だけでなく、内蔵疾患が目の異常となって現れるときがあります。
年に1度は健康診断を受け、その際には目の検査をしてもらいましょう。また、愛猫の目がいつもと違っていたら、かかりつけの獣医師に診てもらいましょう。