【みんなで防災:第5回】ペットが行方不明にならないために必要な対策

災害発生時には、やむを得ずペットを自宅に残したまま避難したり、ペットとはぐれてしまうことがあります。そのため、保護された際はすぐに飼い主の元へ戻れるように、普段から身元を示すものを付けておく必要があります。

具体的には、外から見て誰でもすぐにわかるような迷子札を付けておくとともに、脱落の心配がないマイクロチップを装着するなど2重の対策をとることが大切です。

行方不明にならないための対策例

過去の災害では、室内飼いの犬や猫がパニックになって開いた扉から逃げ出してしまったり、倒壊した壁の隙間から外に出て行方不明になった事例が多数報告されています。災害はいつ起こるか予想ができないので、日ごろからつねに首輪や迷子札をつけておく、マイクロチップを装着しておくなど、迷子にならないように対策をしておきましょう。

【犬の場合】
・首輪
・連絡先を明記した迷子札
・鑑札や狂犬病予防注射済票
・マイクロチップ

【猫の場合】
・首輪
・連絡先を明記した迷子札
・マイクロチップ


犬の飼い主には、狂犬病予防法により鑑札の装着や年1回の予防接種及び注射済票の装着が義務付けられています。これは迷子にならないためだけでなく、ペット可の避難所が設置された際にも必須となる条件です。避難所に入れず辛い思いをしないように、必ず接種しておくようにしましょう。

また、猫の場合は狭い場所にもどんどん入ってしますので、首輪が何かに引っ掛かり動けなくなることがあります。 万が一のことを考えて、猫の首輪は力が加わると外れるタイプを使用するとよいでしょう。

過去の災害では、迷子になっている間に痩せて首輪が外れたり、劣化や破損で首輪が取れてしまった事例も起きています。そのため、首輪や鑑札、迷子札等だけでは安心とは言い切れません。確実な身分証明となるマイクロチップの装着と登録を行い、効果を高めておくことが大切です。

最先端の迷子札とは

最近の市販されている迷子札にはGPS機能が付いているものがあります。スマートフォンでアプリをダウンロードすることで位置情報を取得し、それを見ながら捜索するというしくみです。製品により異なりますが、追跡可能な範囲等が限られているので購入の際にはその点を注視する必要があります。安価なものは精度が低いものが多いようです。また、GPSはつねに電波を受信するため電池を消費するので、電池切れ(充電切れ)などにも注意が必要です。

また、QRコード付きのものもあります。製品により情報内容は異なりますが、ペットの発見者・保護者がスマートフォンで迷子札のQRコードを読み取ると、下記の情報等が表示されます。その情報から飼い主に連絡がくることになります。そして、QRコードが読み込まれると、飼い主に日時や位置情報が記載されたメールがスマートフォンに届くしくみにもなっています。

■メッセージ(「緊急時は連絡よろしくお願いします」など発見者・保護者に向けたメッセージ) ■ぺットの写真 ■ぺットの名前 ■ぺットの生年月日 ■ぺットの性別 ■ぺットの血液型 ■飼い主の住所 ■飼い主の連絡先 ■かかりつけ獣医 ■備考


QRコードが付いた迷子札なので、大きさや重さが気になるところですが、小型犬でも気にならない程度の製品が多いようです。また、月額使用料も無料、利用期間も15年間という長さの製品もあり、便利に有効活用できそうです。

マイクロチップは再会の可能性を高める

前述したようにマイクロチップは脱落の心配がないため、装着しているペットが迷子になった場合に、飼い主と再会できる可能性が非常に高くなります。また、確実な身元証明ができるので、スムーズに飼い主の元へ戻ることができます。

2022年6月より、第1種動物取扱業者が販売する犬や猫には、マイクロチップの装着・登録が義務化されます。一般の飼い主の場合、飼っている犬や猫への装着・登録は努力義務となります。この最大の目的は、「迷子になったときの身元確認が容易になる」ことです。過去の災害時に得た教訓から、この義務化が進んだわけです。

まだ、マイクロチップを装着・登録をしていないという飼い主は、その安全性・耐久性なども含め、管理・運営を行う公益財団法人日本獣医師会の「マイクロチップマニュアル」を参照し、検討するとよいでしょう。また、当サイトの賢者の目「マイクロチップは効力を発揮できるのか?」も是非参考にしてください。

まとめ

災害時にペットが行方不明にならないようにするためには、飼い主が事前に対策をしておくことが重要です。愛犬が行方不明になったことを想像してみてください。想像しただけで辛い気持ちになることでしょう。これは誰にでも起こる可能性のある事態です。万が一のことを考えて、さまざまな情報を入手しながらできる限りの対策をしておきましょう。

第6回は「ペットの避難用品や備蓄品」をテーマに話を進めます。