ビフィズス菌が食べる「ケストース」の驚異的な効果
みなさん、好きな食べ物は何ですか?唐揚げ、ラーメン、カレーライス、いや焼き肉だろ、などイロイロでしょう。では、腸内細菌が好きな食べ物は何でしょうか?
答えは「ケストース」です。ケストースはオリゴ糖のひとつで、短鎖フラクトオリゴ糖(short chain-fructooligosaccharide:scFOS:難消化性のオリゴ糖)といいます。ケストースのポイントを箇条書きにすると以下のようになります。
・砂糖はグルコースとフルクトースがαグルコシド結合した糖類(2糖類)です。わかりやすく例えると、グルコースくんとフルクトースちゃんが手を繋いでいるカップルというイメージです。
・清涼飲料水を飲むと、砂糖(グルコース君+フルクトースちゃん)は小腸で分泌される消化酵素(スクラーゼ)で離れ離れになり、グルコース君は小腸から吸収され血糖値がグングン上がります。続いて血糖値を下げるためのインスリンがバーンと放出されます(このインスリンが肥満の主犯格)。
・ケストースは、グルコースくんとフルクトースちゃんが抱きしめ合っている糖類(3糖類)です。
・ケストースは、人間や犬の消化酵素(スクラーゼ)で分解されないため、胃や小腸で分解されることなく、そのまま大腸まで届きます。つまり、ケストースは分解されずに大腸に届くので、甘いのに摂取後も血糖値はほとんど上昇しないのです。さらに糖を脂肪として貯め込むインスリンも分泌されないので太らないのです。
・ケストースは、主に大腸内のビフィズス菌(ビフィドバクテリウム)などが産生するβ-フルクトシダーゼによってグルコースとフルクトースに分解されます。
・特にロンガム菌(Bifidobacterium longum)はケストースをモリモリ食べることがわかっています。
・つまり、ロンガム菌配合ヨーグルトやロンガム菌サプリメントと一緒にケストースを飲んだら最強です。
・これまでのヒトの研究で、乳幼児アトピー性皮膚炎の乳幼児13人に12週間ケストースを飲んでもらったところ、13人中9人の腸内でビフィズス菌の増加が確認でき皮膚の症状も改善したことから、ケストースは乳幼児アトピー性皮膚炎の改善の主原因と予想されました(第18回日本アレルギー学会春季臨床大会 国立病院機構福岡病院小児科 柴田瑠美子先生ら)。
・犬の研究では、6頭のビーグルにケストースを投与したとことろ、ビフィズス菌が増えて日和見菌の「バクテロイデス属(genus Bacteroides)」、「サテレラ属(genera Sutterella)」が減少し、さらに4週間以内に悪玉菌の「クロストリジウム菌(Clostridium perfringens)」も減少しました。8週間後にはウンチの中の善玉菌である「酪酸菌」が増えましたが、ケストースの投与を終了したら、4週間でなくなったという報告がなされました。
自分が「何を食べたいか?」ではなく「自分のお腹の中に大量に住み着いている腸内細菌が何を食べたいか?」を意識するとよいかもしれませんね。例えるなら私たちは寮母です。寮生活を行う学生(腸内細菌)に最適な食事(食物繊維やオリゴ糖やムチン)を提供してあげる関係かもしれません。
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