【犬飼いTIPS】「イエロードッグプロジェクト」を知っていますか?

みなさんは「The Yellow Dog Project(イエロードッグプロジェクト)」あるいは「イエローリボン」をご存じですか? これは2012年6月にスウェーデンのグループが始めた運動で、犬のリードに黄色いリボンをつけることで、「近づかないで」「そっとしておいて」ということをほかの人に伝えるものです。すぐに賛同があり、いまでは欧米をはじめ世界中に広がりつつあります。

ところが、日本ではまだあまり知られていないのが現状です。黄色いリボンが持つ意味は、犬が攻撃的であるから近づかないでということだけではありません。いくつかの意味があります。今回は「イエローリボン」についてのお話です。

そっとしておいてほしい犬たちのさまざまな理由

散歩の途中などでほかの犬と出会ったときには、自分の愛犬と挨拶をさせたいと考える飼い主も多いことでしょう。特に子犬の場合は、社会性を築くのにほかの犬との交流はとても大切なことです。子犬も喜んで近づいて行くこともあるでしょう。また、犬を飼っていなくても犬好きな人、飼い主自身もほかの犬に不用意に触ってしまうことも多々あるでしょう。

しかし、犬にもさまざまな個性や事情があり、一定の距離を置いてほしい犬もいるのです。 そんなときに「イエローリボン」を付けることで、飼い主が口頭で説明をすることなく、ひと目でわかるようにすることができるのです。

●健康上の問題がある
怪我をしているなどで体が不自由である、手術後の回復期で無理ができないなど、健康上の理由でそっとしておいてほしいときがあります。ほかの犬が近づくことで、無理な動きをして悪化させないために「イエローリボン」が役立ちます。

●使役目的のトレーニング中である
犬は昔から人とともに仕事をしたり、人のために働いたり、その使役目的のためにトレーニングを行っています。盲導犬のトレーニングはみなさんもときどき目にすることがあると思います。そのようなトレーニング中に不用意に人やほかの犬が近づいてしまうことは、注意力などが散漫となり、トレーニングができなくなります。そんなときに「イエローリボン」が目印になります。

●社会復帰のためのトレーニング中である
子犬のころに社会化がしっかり身についていない、虐待からのトラウマでなかなか人に慣れないなど、人間社会に馴染むためのトレーニング中の犬もいます。ほかの人や犬に慣れていないため、不用意に近づいたり、触ったりすることは大きなトラブルになる可能性も否定できません。そっとしておいてほしい際に「イエローリボン」が役立ちます。

●ほかの人や犬が苦手、過剰反応をしてしまう
近くに来た人に飛びつく、吠える、またはほかの犬に吠える、唸るなどの過剰反応をしてしまう場合には、トラブルを避けるために近づきすぎないことが大切です。不用意に近づいて噛みついてしまったら、それこそ大問題になり、みんなが嫌な思いをすることになります。怖がりの犬やほかの人に対して恐怖心がある犬は、近づくことでパニック状態になることもあります。「イエローリボン」は遠くからでも認識ができますので、わざわざ「近づかないでください」と飼い主が大声を上げなくても済みます。

 

ただし、注意したいこともある

このプロジェクトは、ぜひ日本でも広まってほしいものですが、飼い主の勝手な思い込みで安易に愛犬をイエロードッグ扱いしてしまうことは避けなければなりません。ほかの人や犬を避けなくてもよい程度なのに、「イエローリボン」を付けて、愛犬の社会化の機会を奪ってしまわないように注意が必要です。犬のボディランゲージなどをしっかりと飼い主が学び、「イエローリボン」が必要かどうかしっかりと判断しましょう。

まとめ

このプロジェクトは飼い主を始め、多くの人に知ってもらいたいものです。犬を飼っていない人にも犬好きは多く、このプロジェクトを知らなければ、「イエローリボン」を付けていても犬に触れようとするかもしれません。ですから、飼い主が率先して多くの場所でこの運動のことを広めていくことが大切です。犬が幸せに生きていくためには、外に出て社会と触れ合う必要があります。このプロジェクトが広く認識されるようになれば、「イエローリボン」を必要とする犬が過ごしやすくなり、社会復帰が今よりも容易になるかもしれません。

もし、「イエローリボン」を付けた犬を見かけたら、距離をとってあげましょう。見られることも苦手な犬もいますので、そっとしておいてあげましょう。そうすることで、犬も飼い主もきっと助かると思います。