【編集興記】ペット可賃貸物件が増えない理由は、借主と貸主のミスマッチが原因!?
ちょっと気になったペット関連のトピックスを、編集スタッフが持ち回りで紹介する“不定期”コーナーです。
コロナ禍でペットの新規飼育率が伸びたことは周知の事実です。仕事柄、編集部のまわりにもペットの暮らしを始めたという話題が増えています。しかし、同時に部屋探しに苦労した話も聞きます。
一般財団法人住宅改良開発公社の「賃貸住宅市場の動向と将来予測(展望)調査」によると、特徴を持つ賃貸住宅タイプの関心度において、居住者とオーナーではニーズにミスマッチがあることがわかります。
例えば、居住者が入居したい住宅は、「災害対策に優れた賃貸住宅」が51.2%、「住宅性能の高い賃貸住宅」が45.1%であるのに対して、オーナーの関心はそれぞれ25.1%、21.9%にとどまっています。
しかし、「ペット可賃貸住宅」においては、居住者が24.3%、オーナーが21.3%と双方で高い関心があることが伺えます。
このように、コロナ禍におけるペットブームに比例して、ペット可賃貸住宅へのニーズも高まり、オーナーも関心を寄せていると考えられます。
しかし、ペット可賃貸住宅の割合は10~14%程度と、それほど増えてはいないのが現状です。その理由としてあげられるのが、共有部の汚れ、ほかの入居者とのトラブル、原状回復に関するトラブルが発生しやすいということでしょう。
さらに、2020年に施行された改正民法では「賃借人は賃借物を受け取った後に生じた損傷について、原状回復義務を負うが、通常損耗や経年変化については原状回復義務を負わない」と明記されるなど、賃借人の権利が強化されました。
これまでも原状回復に関してはトラブルが多く、国土交通省はトラブルを未然に防止する観点から「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を定めたり、東京都が「賃貸住宅紛争防止条例」を制定し、あわせて「賃貸住宅トラブル防止ガイドライン」を作成しています。そして、それぞれが時世に合わせて改定されています。
そんな状況のなか、AlbaLinkの行った「賃貸でペットを飼っている人への意識調査」によると、賃貸契約における条件において、初期費用や家賃の増額、さらには退去時の原状回復の負担などがあげられています。
実際に、原状回復には特約がつけられることも多いと聞きます。契約時には、特約にも十分に目を通すようにしましょう。わかりづらかったり、曖昧な内容があれば、納得できるまで質問しましょう。また、その際に変更された内容は、契約書に明記させましょう。
住み始めても、気になったところは撮影しておいたり、不動産会社や管理会社とのやりとりはメールで残すなど、しっかりと証拠を残しておくことも大切です。
こういった細かいことは、あとでトラブルになったとき、さらに訴訟になってしまったときに武器になります。言った言わないでは解決になりません。いくら借りているからといって、落ち度がないものまで支払う必要はないのです。
昨今は、ペット可賃貸物件をうりにしている不動産会社も見られます。そういった会社のサイトは、必要以上にペットに理解のあるようなつくりになっています。だからといって、ペットにも借り主にも優しいということではありません。あとで嫌な思いをしないようにしましょう。
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