【犬飼いTIPS】飼い主の性格は愛犬にどれくらい影響を与えているのか?
社交的な飼い主の愛犬は活動的で、控えめな性格の飼い主さんの愛犬はおっとりしています。このように飼い主と犬の性格は似ているということをご存じでしょうか。
これは単なる偶然ではないかもしれません。人と動物の絆は非常に強いので、犬の性格は人の性格と強く結びついているといいます。今回は、人と犬の性格についてのお話です。
人と犬における性格の類似性
『Applied Animal Behavior Science』に掲載された研究によると、心理学の「ビッグファイブ理論」に基づき、飼い主に自分自身の性格と愛犬の性格を評価してもらったところ、性格を共有していると答えた人が圧倒的に多かったのです。
また、この結果が飼い主の思い込みでないことを確認するため、第三者評価も行われました。その結果、ほとんどの認識が正しいと評価されたといいます。
【ビッグファイブ理論】
・開放性(知的好奇心や想像力の豊かさ)
・誠実性(感情制御や責任感の強さ)
・外向性(社交性や積極性、活発さ)
・調和性(他者への共感や思いやり)
・神経症的傾向(感情や情緒面の不安定さ)
なぜ犬の性格は飼い主に似るの?
人の潜在意識が密接に関連していると考えられています。人が自分の生活を補ってくれたり、豊かにしてくれる犬を選ぶ傾向があるといいます。闊達な人は活動的な性格の犬を選び、穏やかな人は穏やかな犬を選ぶということです。
もちろん、人の性格はひとつではありません。先のビッグファイブ理論のそれぞれが、少なからず含まれています。活動的でありながらも予期せぬ出来事があると考え込んでしまったり、一見神経質にみえても物事に動じない人もいます。
自分がどの要素を重視しているか、または補ってほしいと考えているかによって選ぶ犬の性格も変わるということです。
犬の感情は人の感情とシンクロする
犬は、少なくとも1万5千年前から人と関係を共有してきました。この間に、犬には人の感情を読み取って一致させる能力を進化させてきました。これを「共進化」といいます。
飼い主が悩んでいるとき、犬はそれを理解して同じように悩み不安になることがあります。不安が慢性化すると、犬も不安定な状態に陥ることがあります。それは、不適切な排尿や排便、破壊的な傾向に無駄吠え、食欲の低下など問題行動として現れます。
犬は“真のエンパス(共感できるパートナー)”といわれるように、人やほかの動物の微細な生理的変化を感じ取り、それに対応することができるのです。
飼い主と犬の絆が深くなればなるほど反応は大きくなります。犬は、私たちが悲しんでいたり(泣いていたり)すると、慰めるような行動をとることがあります。傍らに寄り添って体を密着させたり、脚に頭を乗せたりされたことがある人も多いのではないでしょうか。
逆のケースもある!?
犬の性格が人に影響を与えることはあるのでしょうか。犬の性格は親犬から受け継ぐのが一般的ですが、犬の感情や行動が人に影響を与える可能性はあるといいます。
生来的に神経質な犬を飼っている人にこのケースが当てはまるようです。犬の不安=問題行動が、しばしば飼い主の不安につながります。
過度なパンティングや無駄吠え、徘徊、破壊行動などを目の当たりにし、そうした行動を軽減できないと感じてしまうと、それが無力感となり、不快になったり、傷ついたりして不安になるのです。
まとめ
私たちと犬とは古代より連綿と関係が続いています。一緒に暮らし、遊んだり、寄り添ったりする、かけがえのないパートナーや家族です。
彼らは真のエンパスでもあります。喜びも不安も分かち合ってくれます。でも、私たちがずっと不安でいると、彼らの精神にも問題を引き起こしかねません。
多くの研究により、人と犬の両方において肯定的な相互作用の後には不安が軽減し、鎮静ホルモンと神経伝達物質「オキシトシン」の放出が増加することが示されています。
つまり、撫でたり、くっついて寝たり、遊んだりすることで絆が深まり、双方が恩恵を受けることができるのです。