【猫飼いTIPS】冬場は室温と湿度を一定に保つ工夫をしよう!
本格的な冬がやってきました。冬場は室温の維持と湿度の調節がとても大切な季節です。エアコンやファンヒーター、ストーブなどで室内を暖かく保ちますが、それらを使用することで室内の空気が乾燥してしまいます。猫も人間と同じように空気の乾燥により呼吸器の粘膜がダメージを受け、ウイルスに感染しやすくなるといわれています。今回は冬場に必要な室温と湿度のお話です。
ウイルスが増えて感染するしくみ
ウイルスは低温・乾燥した空気中で長時間漂いながら増殖するため、口や喉から侵入しやすくなります。また、体が冷えると抵抗力が弱まります。ですから、ウイルスに感染しないようにするためには、ウイルスが増殖する環境を作らない、体の抵抗力を落とさないことが大切です。
猫風邪(上部気道感染症)は、鼻水や鼻づまり、くしゃみ、咳、目やにが出るなど人間の風邪のような症状が起こります。ヘルペスウイルスやカリシウイルス、クラミジアなどに感染することが原因です。これらのウイルスの多くは、冬の低温乾燥の環境で空気中の飛散量が増加します。
人間の場合には1回の咳で10万個、1回のくしゃみで100~200万個の飛沫が空気中に飛び散るといわれています。猫の場合も同様に、咳やくしゃみをすれば多くの飛沫が飛び散ることになります。このようなウイルス飛沫は、湿度の高い状況では水蒸気とくっついてすぐに床面に落下し、時間の経過とともに壊れていきます。
しかし、乾燥した状況では遠くまで飛んでいきます。湿度が40%以下になるとウイルス飛沫の水分が蒸発して軽くなるため、空気中をさまようことになります。湿度30%の場合には、湿度60%の2倍も遠くにウイルスが飛び散るといわれています。乾燥するほどウイルス飛沫が広がることになります。
さらに、空気の乾燥によって喉の粘膜が乾燥して血流低下を起こし、免疫力が低下します。そのため喉に炎症を起こしやすくなります。空気が乾燥する冬場に風邪をひきやすくなるのは、こうした理由からです。室内の快適な湿度は40~60%といわれていますが、ウイルス対策には50~60%の湿度が必要となります。
そして、室温にも気を付けることが大切です。室温が低すぎると長期にわたりウイルスは感染力を持ち続けます。室温は18~22℃を維持するようにしましょう。
ウイルスには換気が重要。換気と加湿を両立するには?
ウイルス対策としては定期的な換気が推奨されています。目安としては「30分に1回以上、2方向窓を数分間開けて換気する」のがよいとされていますが、窓を開けると湿度が急激に下がってしまいます。その場合には湿度設定できる加湿器が重宝します。換気で多少湿度が下がっても、すぐに設定温度まで上げるように作動します。特に加湿量の多いパワフルタイプであれば、短時間で湿度を回復できるため購入時には加湿能力もチェックするとよいでしょう。
加湿のしすぎに要注意!
湿度が60%を超えるとカビが活動し始め、それを超えるとカビが発生しやすくなります。近年の日本の住宅は高気密・高断熱のため湿気が室内にこもりやすい構造なのです。また、部屋の湿度は均一ではありません。部屋の隅や家具の裏側など空気の流れが悪い場所は湿度も高くなります。
カビが発生すると黒いシミがあちこちにできます。カビの胞子を吸い込むことが原因で、肺に深刻な病気を引き起こすこともあります。それは人間だけでなく、猫にも悪い影響を及ぼすのです。加湿器を使い続けることで気づかぬうちに過加湿状態になったり、空気の流れの悪いところに湿気がこもってしまったりする可能性があります。
加湿器を使用する場合には、設定した湿度になると自然に加湿が止まるしくみの加湿器にする、湿度計を設置して湿度を管理するなど過加湿には注意が必要です。さらに、ファンや扇風機(サーキュレータ)を使うのも効果的です。これらは、温度だけでなく湿度も均一に保ってくれます。
加湿器以外で加湿する方法は?
加湿器以外で加湿をする方法はたくさんあるのですが、猫の場合には高所にも登れてしまうので、触れないように置き場所を考えるなどの対策が必要となります。
【水を入れたコップを置く】
コップに水を入れて部屋に置くことで、少しずつ水が蒸発します。コップは小さいので加湿できる範囲は限定されますが、大きな器などに入れると範囲を広げることができます。お湯であればより早く蒸発します。
【霧吹きを使う】
霧吹きに水を入れて1日数回、カーテンなどの布製品に軽く湿る程度に吹きかけます。ただし、吹きかけ過ぎはカビやニオイの原因となります。また、霧吹きの水は古くなると雑菌が繁殖するので、毎回新しい水に入れ替えることが大切です。
【床を水拭きする】
濡れた雑巾でフローリングを水拭きします。拭いた部分の水が蒸発して、部屋の湿度が上がります。
【濡れたタオルを干す】
タオルを水に浸して、固く絞ってから部屋に干します。タオルの水分が空気中に蒸散して部屋の湿度が上がります。ただし、しっかり絞らないと水滴が床に垂れてしまいますので注意が必要です。
【部屋に洗濯物を干す】
室内に洗濯物を干すことも効果的です。洗濯物の水分が少しずつ蒸散して、部屋の湿度が上がります。ただし、あまりに大量の洗濯物を干すと乾きにくくなり、雑菌が繁殖してニオイが発生することがあるので注意が必要です。
【入浴後に扉を開けておく】
入浴後お湯を抜かずに、浴室の扉を開けておくことで蒸発した水分が部屋全体に広がり、湿度が上がります。湿度が上がり過ぎないよう、扉を開けておく時間は調節が必要です。また、猫が浴槽に落ちないように注意が必要です。浴槽は滑りやすく、落ちると這い上がれない可能性があります。子猫であれば死亡事故に繋がることもあります。万が一のために、溜めておくお湯は猫の体高より低くしましょう。
【観葉植物を置く】
観葉植物には、水分を吸い上げて葉から放出する蒸散機能があります。これにより自然と加湿されます。寒さに弱い品種は冬になるとこの蒸散機能が低下するので、寒さに強い品種を選ぶようにしましょう。ただし、猫が食べると危険な観葉植物もありますので注意が必要です。
【お湯を沸かす・鍋をする】
リビングで猫が生活しているようなら、やかんやポットなどの蓋をせずにお湯を沸かすのも加湿に効果的です。特に乾燥している日は、食事を鍋にするのもひとつの方法です。鍋から出る蒸気が部屋を加湿してくれます。
【自然気化式の加湿器を使用する】
自然気化とは、素焼きの陶器などに含ませた水分を自然蒸発させて加湿する方法です。空気中の湿度に合わせて水分を放出するため、過加湿を防ぐことができます。電気を使わないので電気代がかからず、加湿器の電源コードを猫が噛んでしまう心配もありません。ただし、加湿の範囲が限定されるため、広い部屋には不向きです。
まとめ
愛猫やあなた、家族の健康管理のためにも、室温を18~22℃に保ちます。そして、暖房したら乾燥しないように、加湿器を使用したり、定期的に窓を開けて換気したり、濡らしたタオルや洗濯物を部屋に干すなどして、湿度を50~60%に保ちましょう。
ウイルスに感染しないようにするためには、ウイルスが増殖する環境をつくらない、そして体の抵抗力を落とさないことが大切です。愛猫とともに、元気に冬場を乗り切りましょう。
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