【犬飼いTIPS】犬を救う「供血犬」をご存知ですか?
犬も病気や怪我などの種類や程度により、輸血が必要になることがあります。そんなときに活躍をしているのが、動物病院で飼われている、あるいは一般の家庭で飼われている、ドナー登録をした「供血犬」たちです。今回は犬を救うために大きな貢献をしている「供血犬」についてのお話です。
供血犬はどんな貢献をしているの?
人間の場合には、輸血が必要になったら全国にある血液バンクから取り寄せることができますが、犬などの動物の場合には、動物医療におけるオフィシャルな血液バンクが認められていないので、動物病院でも血液の安定確保が困難です。10年以上前に北陸で血液バンクの事業化が検討されたようですが、さまざまな事情で頓挫しています。そのため、現在も多くの動物病院では供血犬として活躍する犬を数匹飼い、また、不足した場合や血液が適合しない場合には、一般の飼い主にボランティアでの採血を依頼しているのです。動物病院のホームページ等で犬の献血への協力を呼びかけているのは、そういう事情があるからです。
供血犬は、病気や怪我などにより、輸血が必要な犬のために献血をする犬のことをいいます。実際、動物病院だけで必要なすべての輸血を用意することは困難です。しかし、飼い主は輸血にはリスクがあるのではないかと考え、「供血犬」のことを知っていても躊躇してしまいます。そのため、多くの動物病院ではその啓蒙活動を行い、いざというときに血液を補完できるように、理解を深める努力をしているのです。
献血はリスクがあるの?
献血1回の採血量は、50~200㎖程度で、大きなリスクになるような採取量ではありません。採血時に体重や体調などをしっかりと考慮した上で採血量を決めるので、愛犬の負担になるのではと過度に心配する必要はないでしょう。採血した血液は、ほかの犬に輸血しても大丈夫かどうか細かく調べますので、その結果は必然的に愛犬の健康診断になります。そのような検査は無料であることが多く、おやつやフード等のプレゼント、愛犬に輸血が必要になった際に輸血料金の割引を受けるなどの特典が付与されることもあるようです。
犬にも血液型があるの?
犬の血液型は、国際的に認められているのは13種類あります。人間のABO式とは異なり、DEA式が用いられ、例えば、DEA1.1型、DEA1.2型、DEA3型などと呼ばれます。日本においては、犬の赤血球にある抗体の種類によって9種類に分けられているのです。
血液型の検査には、国際的に認められている検査キットを使用します。輸血によって急性溶血反応が出ることもあるので、ドナーとなる犬とレシピエントとなる犬の血液を混ぜて、肉眼的に適合を判定するクロスマッチテスト(交差適合試験)を併せて、より詳しい適合検査を動物病院で行います。血液は犬も人間と同じように静脈から採血します。検査結果は採血当日にでますが、詳しい検査が必要なときには、専門の検査機関に送るケースもあります。その場合には1~2週間くらいかかることもあります。
愛犬の血液型を事前に知っておくメリットは?
血液型を調べる検査キットは、犬が病気などの状態のときには正確な判定が困難である場合があります。そうなれば、急を要する際には詳しい検査をしないままに、間違った血液型の輸血を受けることになってしまうかもしれません。ですから、安全な輸血を受けるためには、健康時に血液型の検査をしておくことが大切なのです。また、検査を受けたあとに、その病院のドナー登録をしていれば、ご近所さんの愛犬を助けることができるかもしれません。
まとめ
ペット医療の先進国であるアメリカでは、ペット用のオフィシャルな血液バンクが設立されています。しかし、日本ではさまざまな事情から、設立が見送られています。現状で、輸血が必要な犬を救うには「供血犬」としてのドナー登録を増やすしか方法はありません。みなさんの愛犬も血液型を調べ、万が一に備えておいてはいかがでしょうか。また、必要とする犬に輸血用の血液が供給できるように、愛犬のドナー登録をしてみてはいかがでしょうか。
「ブリーダー日記」でもペットの輸血事情をご紹介しました。実際に猫も同じ事情を抱えており、「供血猫」としてのドナー登録も動物病院で行っています。健全なブリーダーは積極的に協力しているようです。みなさんも、かかりつけの病院で献血の協力を求めいたら申し出ていただきたいと思います。協力することで命がつながる大切な活動なのです。
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