【犬飼いTIPS】愛犬の誤飲・誤食には気をつけて

食欲が旺盛になるこの時期。人間と同じように犬も食欲は変化します。愛犬がたくさん食べてくれることは飼い主にとってはとても嬉しいことですが、その反面、誤食が多いのもこの時期です。食欲旺盛な犬や活発な犬は、空腹などで誤食をしやすく、飼い主はいつもよりも注意することが大切です。

誤飲・誤食はとても危険です!

人間には問題のない食べ物でも、犬が食べてはいけないものもあります。飼い主がその危険性を知らずに与えてしまったり、落ちていたものを拾い食いしてしまったりすると、時間の経過とともに中毒を起こし、体調を壊してしまいます。また、プラスチック、紐、ボタンなどで遊んでいたら食べてしまった……。タオル、布、ベッドなどを引きちぎってその切れ端を飲み込んでしまった……など、食べ物ではないものを誤食することで、腸で詰まってしまうこともあります。誤食は体調を崩すばかりでなく、最悪の場合は、命を落とす危険があるのです。愛犬を誤食から守るために、飼い主はしっかりとした知識を身につける必要があります。

犬が中毒を起こす食べ物とは?

中毒とは、毒物によって体に有害な作用を及ぼすことを言います。犬が中毒になると、嘔吐や下痢、食欲不振などを起こします。食べてしまった量などによっては、死に至ることもあります。犬が中毒になる食べ物にはどんなものがあるのでしょうか。代表的なものをあげてみました。

●チョコレート
チョコレートに含まれる「テオブロミン」という物質に毒性があります。中毒が出る量はチョコレートにより異なります。摂取した量により重症度が異なり、摂取後、早くて1~2時間、通常6~12時間以内に症状が出ると言われています。初期症状では、嘔吐、尿失禁、下痢、筋肉の震え、脱水、高体温などで、進行すると筋肉の硬直、痙攣、昏睡、死亡することもあります。

●タマネギ
タマネギに含まれる「アリルプロピルジスルフィド」という物質が体内に吸収され、赤血球が壊されることで貧血になります。赤血球は体内の組織に酸素を送り、不要物を受け取る働きがあります。そのため赤血球が壊されてしまうと、呼吸困難に陥ることがあります。発症までには1~5日ほどの時間がかかります。初期症状では、貧血、黄疸、食欲不振、元気喪失、血尿などで、進行すると呼吸困難に陥り、ひどいときには死亡することもあります。

●キシリトール
体内にキシリトールが吸収されると、膵臓からインスリンが急激に放出し、低血糖症を引き起こします。おやつとして与える一部のガムに含まれている場合があり、注意が必要です。摂取した量により重症度が異なります。摂取後30~60分以内に、初期症状では、嘔吐、脱力感、よだれなどで、進行すると急性肝不全の兆候が見られる場合があります。

●ナッツ
原因物質はまだ不明で、中毒を引き起こすメカニズムも不明です。摂取後、早くて60分、通常6~12時間以内に、嘔吐、脱力感、震え、腹痛、ぐったりと横たわるなどの症状が見られます。

●アボカド
アボカドの果実と種に含まれる「ぺルシン」が原因で中毒になります。中毒量はまだ不明です。症状は嘔吐、下痢、呼吸困難などが見られます。

●ブドウ
レーズンも含まれます。原因物質はまだ不明で、中毒を引き起こすメカニズムも不明です。摂取後、24時間以内に嘔吐、食欲不振、下痢などが見られます。すべての犬に起こるわけではありませんが急性腎不全を起こし、重症化すると死亡することもあります。

●アルコール
アルコール飲料に含まれる「エタノール」が原因で中毒になります。初期症状では、尿失禁、嘔吐、下痢、眠りすぎるなどで、進行すると呼吸制御、昏睡などに陥り、ひどいときには死亡することもあります。

こんなものまで食べるの!? 犬が食べた事例とは?

小さいものや壊せるものは、すべてが誤食の対象となります。飼い主が想像をしないものまで食べてしまうこともあります。犬が食べた事例を見るだけでも、何でも食べてしまうことがわかります。下記を参考に、犬の届く場所には誤食する危険があるものは置かないようにしましょう。

【誤食する可能性があるもの】
・生米 ・天ぷら油 ・人間の薬 ・アトピーの塗布薬 ・靴下 ・飼い主の下着 ・縫い針 ・ペットシーツ  ・ハンドクリーム ・雑巾 ・ホッカイロ ・キシリトール ・日焼け止め ・保冷剤 ・串 ・チョコレート ・紐 ・糸 ・ストッキング ・梅干し ・石 ・果物の種 ・石 ・砂 ・おもちゃ ・ボール ・サランラップ ・ビニール袋 ・プラスチック

誤食しやすい犬種とは?

基本的には、食欲旺盛で食いしん坊、元気で活発な犬は注意が必要です。特に子犬は食べていいものと食べてはいけないものの判断がまだできません。また、1~3歳の若い犬は特に好奇心旺盛なので何でも口にするので、誤食しやすい傾向があります。10歳以上のシニア犬や強いストレスを持つ犬は、副腎皮質機能の亢進という要因で食欲が増して、誤飲・誤食をする場合があるので注意が必要です。

誤食しやすい犬種としては、性格などにより個体差はありますが下記の犬種があげられます。

●キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル
●フレンチ・ブルドッグ
●ヨークシャー・テリア
●ゴールデン・レトリーバー
●トイ・プードル
●シーズー
●ビーグル
●ミニチュア・ピンシャー
●ミニチュア・ダックスフント
●ドーベルマン

食べてしまった? と思ったらすぐに動物病院へ!

もし、愛犬が食べてはいけないものを食べてしまったら、動物病院では下記の3つの内容をできるだけ詳しく伝えるようにしましょう。

1.何を食べたか
具体的に伝えることにより、犬にとって毒性のある食べ物かを判断できます。

2.どれくらい食べたか
犬の体重と摂取した分量により症状がどのレベルか判断できます。

3.いつ食べたか
摂取してどれくらい経過しているかで症状のレベルが判断できます。もし、時間が不明であれば、いつまで元気だったか、元気がないのに気が付いたのはいつかを伝えます。

中毒であれば、吸収するまでに吐かせることが大切です。1時間以内であれば、まだ胃の中に残っているので中毒を回避できる可能性があります。もし、吸収されてしまったら、点滴や吸着剤などの薬で症状を軽減させることになります。異物の場合は、超音波検査、レントゲン検査、場合によってはCT検査を行い、本当に食べているかどうかを調べることから始めます。もし誤食していたら、内視鏡や手術で取り除くことになります。

まとめ

愛犬にとって誤飲・誤食をしそうなものは、家の中にたくさんあります。特に子犬・若犬・老犬はこれまでお伝えしたように、誤飲・誤食には注意が必要です。犬の届く範囲には危険なものは置かないように、日ごろから愛犬にとって安心できる環境を整えておくことが大切です。辛い思いをするのはあなたの大切な愛犬なのですから。