太鼓判ブリーダー日記Vol.125

猫の出産は何度経験しても毎回ハラハラドキドキ

[2022/10/25 6:01 am | Cattery Amangroup/阪根美果]

ブリーダーになって今年で23年目ですが、一度として同じ出産はありません。先日もわが家の猫の出産がありました。初産でしたので、久しぶりにかなりのドキドキハラハラでした。

通常、猫は交配してから約65日目で出産をします。63日目くらいから出産の準備を始めるのですが、今回の母猫はその時期になってもまったくそんな素振りはありません。普通にご飯を食べて、みんなと遊んで、昼寝してと……。66日目になっても、67日目になっても、68日目になっても出産する素振りを見せませんでした。

もちろん個体差がありますが、出産が近づくと食欲が落ちることが多いので、それで「そろそろかな」と気が付く場合もあります。ただ、出産が遅れると何が心配かというと、「陣痛微弱で産まないのかもしれない」「子猫がどんどん成長して大きすぎて出てこられないかもしれない」という点で、そうなると帝王切開になる可能性があるからです。

帝王切開になると母猫の体のリスクが高まるし、自分で産んでいないことからその後の子猫の面倒を見ないこともあるし、何らかのトラブルで子猫が死んでいることもある。遅れるのは本当にハラハラドキドキなのです。とりあえず、母猫のお腹を触って子猫が動くのを確認する日々でした。

24時間体制で、数時間おきに母猫の様子を見に行く日が続きました。そしてやっと、70日目の夕方に出産を始めました。1頭目が出てきたときはとても安堵しました。子猫は羊膜に包まれて胎盤と一緒に出てくるので、それを母猫が破って、へその緒をかみ切り、胎盤をすべて食べます。そして、自発呼吸ができるように、子猫を舐めて促します。初産の母猫ですが、しっかりとそれができたのです。しかし、そこからがまた大変です。まだまだお腹が大きいので、すべての子猫がちゃんと生きて出てきてくれるかどうか不安が募ります。

約5時間かけて5頭の元気な子猫が生まれました。出産前に動物病院へ行きレントゲンで頭数確認をするのですが、背骨などに隠れて見えない子猫もいる場合があるので、確認していた頭数よりも多い場合も多々あります。なので、出産後も気が抜けないのです。母猫もまだハアハアと息を荒くしているので、しばらく様子を見守ります。

5頭目の胎盤がまだ残っていたようで、それを出したところでやっと落ち着いてきました。母猫に「お疲れさま、頑張ったね」と声をかけ、私のハラハラドキドキも落ち着きました。無事にみんなすくすくと育ってほしいです。

[Cattery Amangroup/阪根美果]