太鼓判ブリーダー日記Vol.79

アフリカで蚊に刺された話

[2021/09/16 6:01 am | Cattery Amangroup/阪根美果]

先日、あるニュースが目に留まりました。ドイツ在住の女性が、左まぶたの糸状の腫れが形を変えながら動いているのに気づいて受診したという内容でした。中央アフリカ共和国から帰国後に気付いたとのことで、「ロア糸状虫症」を発症していることが判明したとか。

ロア糸状虫症は中央・西アフリカにみられるフィラリア感染症で、感染した吸血アブ(メクラアブ)が人間を刺すと幼虫(ミクロフィラリア)が体内に侵入し、血流に乗って体内を巡り皮下組織で成虫になるそうです。成虫の体長は約3~7cmにもなり、幼虫を産みながら皮下組織や結膜の下を移動するとか。

ロア糸状虫症のほとんどの感染者は無症状なのですが、この女性のように局所的な皮下腫脹が見られたり、成虫が眼を横切ったりすることで発見されることが多いそうです。血液のサンプルを顕微鏡で調べたところ、動きの速い幼虫を多数確認したということでした。

自分の顔を鏡で見たら皮膚が動いているなんて、まるでホラー映画を見ているようですね(怖)。このニュースを見て、私は自分が経験した忘れられない虫刺されを思い浮かべました。

以前、アフリカのケニアに3週間滞在したことがありました。野生動物を見るために各所にあるサバンナを巡るためです。当時、アフリカに滞在するためには、さまざまな予防接種をしてからでないと渡航することができませんでした。蚊に刺されてマラリアに感染しないための薬は、現地に入ってから飲むタイプでした。現地には無事に到着しましたが、飛行機の到着時間の関係でサバンナに移動する前にナイロビのホテルで1泊する必要がありました。長時間のフライトで疲れていたので、「明日飲めばいいや」とマラリアの薬を飲まずに寝てしまったのです。

翌朝、目を覚ますと左目が見えにくく、違和感がありました。洗面所に行き、自分の顔を鏡で見ると左まぶたがパンパンに腫れていました。腫れで左目が開かない状態でした。私はパニックに陥りました。これは蚊に刺された? マラリアに感染した? それとも変な毒虫に刺された? と。とにかく急いで用意をしてホテルのロビーに向かいました。

しかし、ガイドさんは来るなり、大笑い。「ミカ、その目はどうしたの? どこかで喧嘩でもしたの?」と。冗談を聞いている場合じゃない! 私は事情を説明し、マラリアに感染したかもしれないと言いました。すると「ミカ、ナイロビの蚊はマラリアを媒介しないので大丈夫だよ」と。私はその言葉を聞いて生き返った気分でした。

しかし、アフリカの蚊は強いのか、私の左目は滞在中はずっと腫れたまま。記念に撮った写真はすべて“お岩さん”のようなでした。ガイドさんは「ミカの写真を撮るよ。はい、左目をちゃんと開けて!」と大笑いしながら撮ってくれました。

今では笑い話ですが、あのときの恐怖はまだ鮮明に覚えています。この女性も相当な恐怖を感じたことでしょう。「虫、恐るべし」です。わが家のある信楽も山間部にあるので、いろいろな虫がいます。そしてサイズも都会より大きい。悪さをするものばかりではありませんが、みなさんも虫刺されにはお気を付けください。もちろん、愛犬も愛猫も。

[Cattery Amangroup/阪根美果]