“健全”なブリーダーがつねに学んでいる理由とは?

[2019/11/15 6:01 am | 編集部]

みなさんと暮らしている家族の一員である愛犬や愛猫の多くは、ブリーダーによって産出されています。ブリーダーといっても、単に販売目的のためだけに繁殖する業者から、敬愛心を持って繁殖を行う健全なブリーダーまでさまざまです。ペット業界におけるビジネスチェーンでは、ブリーダーは川上に位置しますが、“悪徳繁殖業者”や“悪徳ブリーダー”などネガティブな情報が多く見られます。

健全なブリーダーの行動や考えはあまり表に出ることはなく、広く知られることはなかったのです。しかし、健全なブリーダーこそ表に出て、その手本になるべきだと考えます。ペトハピは創刊当時から独自の基準に基づき、国内の健全なブリーダーを「太鼓判ブリーダー」として紹介してきました。

「太鼓判ブリーダー」は、単に良い犬や猫を産出しているブリーダーを紹介しているわけではありません。一緒に暮らす犬や猫たちに深い愛情を注ぎ、ブリードする犬種・猫種に対する多くの知識を持ち、清潔で快適な環境を整え、犬や猫の健康を重視して計画的に子犬や子猫を産出しているのです。

昨今、ペットショップチェーンが販売する子犬・子猫の遺伝子検査を開始しました。しかし、健全なブリーダーたちは、すでに13年以上前から対応していました。その差は期間だけでなく、内容にも見られます。ペットショップチェーンは重篤とされる遺伝子疾患を中心に最低限の検査しかしていません。その一方で、健全なブリーダーは可能な限りの全疾患検査を行っているのです。

●参考記事:ペットショップの「販売8週齢」「全頭遺伝子検査」は本当に安心なのか

日本は、欧米からペット三流国と見られています。しかし、世界に評価されるブリーダーも存在しているのです。彼らは、国内外のブリーダーと交流して、病気や医療、栄養、用品など多岐にわたる情報をやり取りしています。そして、つねに知識を高めるために勉強しているのです。それらに終わりはなく、つねに進化し続けないといけないのです。

日本小動物繁殖研究所(Bio Art)代表理事で獣医師の筒井 敏彦先生

今回は、「猫の繁殖学と遺伝病」と題して、ブリーダー向けのセミナーが開催されました。講師は、日本小動物繁殖研究所(Bio Art)代表理事で、繁殖学が専門の獣医師、筒井 敏彦先生です。日本小動物繁殖研究所では繁殖サポート、遺伝子病検査を通じて、ブリーダーと連携することで「人と動物が豊かに暮らせる社会」の実現を目指しています。

研究データも示される

今回の対象は猫のブリーダーだったので、猫の繁殖の特徴や周期などの全般から、交尾回数と排卵誘起率・受胎率など、より学術的で具体的な内容まで踏み込んだ講義となりました。参加したブリーダーからは、「いままでの経験則が、数値や統計により確認できた」という声も聞かれたとおり、筒井先生はじめ世界での研究成果を元に、より健全で間違いのないブリードの知識や技術が提供されました。

筒井先生も講義に熱が入る

また、遺伝子病については、ゲノム解読によって、年々新しい遺伝病が見つかっているといいます。例えば、2003年に犬:451件、猫:263件だったものが、2014年には犬:650件、猫:318件となり、今年2019年には、犬:730件、猫:344件となっています。しかし、その多くはまだ原因遺伝子が明らかでないともされています。

遺伝子病の削減には、計画的な交配を行うことで予防は可能であり、そのためには遺伝病検査を受けることは必須です。

・発症個体を出さない
・疾患原因遺伝子を拡散しない
・疾患原因遺伝子を淘汰する

もちろん、この検査は販売する子犬や子猫ではなく、むしろ親犬・親猫こそ必須ということです。

熱心に講義を受けるブリーダー

一般的に検査項目の選択基準は、重篤な遺伝子病(単一遺伝子病)>飼育困難な遺伝子病>変異アレル頻度0.05以上>飼育頭数の多い品種となります。しかし、遺伝子病は個体ではなく、集団として捉えることも大切だと言います。そこで重要となるのが「変異アレル頻度(劣勢遺伝子病)」です。0.05とは、50頭のコロニーにおける対立遺伝子100本のうち5本が変異しているということになります。そこには、必ずしもアフェクテッド(発症の可能性)だけでなく、キャリア(無症状)も含まれることになります。

また、遺伝子病を削減させるためには、アフェクテッドだけでなく、キャリアであってもブリードラインに入れないという決断も必要となります。それは、健全なブリーダーにとっては当然のことですが、それも研究によって数値でも明らかにされたことで、よりしっかりとした取り組みをしなくてはならないと感じたようです。

このように、健全なブリーダーは時には学術研究分野の勉強もしながら、健全さを追求しているのです。

講義風景

「猫の繁殖学と遺伝病」に続き、サプリメントの活用セミナーを開催されました。すでに、欧米ではペットの健康維持にサプリメントを使うのは一般的です。「ペットフードですべてを賄うことはできない」と理解されているからです。しかし、日本ではまだ一般的ではありません。

ブリーダーも真剣に聞き入る

そんななか、動物病院で多く処方されているのがアガリクスです。アガリクスの効果は抗腫瘍だけではありません。免疫力を高めることで、真菌感染症(皮膚炎、カンジダ、マラセチア)、心臓や肝臓の保護作用、血圧低下、自律神経の調整(ストレス調整)、糖尿病、メタボ、発毛促進、抗インフルエンザなど、多くの効果が報告されています。

●参考記事:愛犬・愛猫の免疫力をあげて健康寿命を延ばそう!

ケーエーナチュラルフーズ取締役の北原 淳子さん

獣医師からはじまり、徐々にブリーダーにも愛用者が増えているのが、ケーエーナチュラルフーズの「キングアガリクス100ペット用」です。ブリーダーは、ブリードする猫種のスタンダードを確認するために、猫をショーに出陳します。ショーでは猫たちの負担を最小限にするよう配慮しますが、多かれ少なかれ猫はストレスを伴います。機嫌が悪くなったり、被毛の状態が悪くなるケースもあるので、ショーの前後は「キングアガリクス100ペット用」を摂取させるそうです。

ペットジャーナリストでブリーダーでもある阪根 美果さん

さらに、繁殖期から授乳期、とくに子育て後は積極的に与えるようです。繁殖から出産期に与えることで母体の免疫力を高め、健康な状態で繁殖・出産させることができます。授乳期には、母乳を通じて親猫の免疫力が子猫にも伝わり健康に育ちます。子育て後、母猫の体力は落ちます。そこでもアガリクスで免疫力を高めることで、栄養の吸収を高めリカバリーを早めるといいます。

巣立った子猫たちも、オーナー宅で引き続きアガリクスを摂取してすくすくと育っているようです。最近はとくにシニアになった猫に与えることで、「被毛の調子がよくなった」「フードを食べる量が増えた」「活動的になった」など、嬉しい報告が写真とともに送られてくるようになったそうです。また、ケガの手術後の回復も早くなる傾向があるようで、獣医師にも驚かれたといったような報告がなされるようにもなっているようです。

キングアガリクス100ペット用

このように、健全なブリーダーは、つねに犬や猫にとって最適な環境をつくるために日々学んでいるのです。そして、そこで得た情報はオーナーさんにも伝えられます。ブリーダーとオーナーさんは、そのペットの生涯にわたって付き合いが続きます。困ったことがあれば、何でも相談に乗ってくれます。それが健全なブリーダーなのです。ペトハピは、これからも健全なブリーダーの育成に協力していきます。

[編集部]