本当に正しい「ペットの終活」とは、今を楽しく生きるための活動

昨今、「ペットの終活」についての話題が増えてきました。その多くは、シニア期以降の犬や猫の生涯の終焉に重きをおく活動になっています。また、必要以上に楽しさを前面に押し出した活動も散見されるようになりました。しかし、それは飼い主とペットにとって最善の「終活」なのでしょうか。ペトハピでは、理想的な「ペットの終活」を目指して、自分でできる「ペットの終活」を提案してきました。今回はそれを元に、なぜ「ペットの終活」が必要なのかを一緒に考えたいと思います。

「ペットの終活」とは?

「ペットの終活」は、ペットの葬儀社やペット霊園が推奨していることが多いため、シニア期以降の犬や猫の生涯の終焉をテーマに「最後の過ごし方」や「見送り方」に重きをおく考え方になっています。

じつは、人間の終活が言われ始めたころにも同じような考え方でした。「縁起でもない」「終わりの活動なんて考えたくもない」と感じた人も多かったのではないでしょうか? しかしその後、社会の変化とともに考え方も変化してきました。終活アドバイザー等の活動もあり、「今を楽しく生きるための終活」が一般的になってきたのです。人生の終焉を理想的なものとし、後悔のないようにするための事前準備ですが、言い換えれば、「準備を整え、やりたいことをすべてやって、後悔しない人生にしよう」ということです。今では「終焉」に背を向けることなく、受け止めることの大切さを感じ、若いころから「終活」を始める人が増えています。

私は「ペットの終活」に対しても、同じような考え方が必要であると思っています。犬や猫は人間の約4倍のスピードで年を重ねていきます。人間の生涯よりも、とても短いのです。時の流れのまま暮らしていると、あっという間にペットは旅立ってしまいます。だからこそ、愛するペットと共に生きる時間を「どう生きるのか」を真剣に考えていただきたいのです。

大切なのは、いつかは訪れるペットとの「別れ」を飼い主がきちんと受け止め、それまでの時間をできる限り楽しく、幸せに過ごすということです。そのために、飼い主がいま何をするべきかを考え、いまから行動することが、今を楽しく生きるための「ペットの終活」なのです。人間の終活と異なるのは、ペットに代わって飼い主が進めていくということです。愛するペットに対する思いを一つ一つ形にしていくのが「ペットの終活」なのです。

愛するペットを亡くして後悔することって?

私は数年前に大型犬のボルゾイを3頭飼っていました。パパ・ママ・息子です。しかしながら、3頭とも寿命をまっとうすることなく、早くに旅立ってしまいました。息子はペットホテルでの判断ミスにより3歳という若さで死亡。パパは5歳時に脳内出血からのショック死。ママは8歳時に血管肉腫というリンパの癌に侵され、闘病の末に亡くなりました。

それぞれ亡くなった経緯も年齢も違いますが、現実に直面したときの狼狽や心に残った思いは同じでした。「もっと一緒に遊んでおけばよかった」「もっとしてあげられることがあったはず」「もっと病気や介護について勉強しておけばよかった」「もっと葬儀やお墓について考えておけばよかった」など、後悔の言葉ばかりが、走馬灯のように頭の中を巡りました。こんなにも早く旅立ってしまうとは思いもせず、ただ毎日のことだけを考え、彼らと過ごしていたのです。「別れ」が突然やって来るとも知らずに。あれから時間が経ちましたが、今でも彼らを思い出すと胸が締め付けられるくらい苦しくなります。私の中に残る後悔が、そうさせていると感じています。

「ペットの終活」はこのような思いを軽減し、穏やかな気持ちで、旅立ちを見送るためのものです。もちろん、愛するペットが旅立ったときの悲しみの深さは、ペットロスになってしまうほど耐え難いものがあります。100%後悔もなく、穏やかな気持ちになれることはないでしょう。ですが、できるだけ後悔のないよう準備を整え、今を楽しく幸せに過ごすことで、少しだけ穏やかに、「ありがとう」という感謝の気持ちを添えて見送ることができると思うのです。飼い主が愛するペットのために、そして自分自身のために、「ペットの終活」を積極的に考える時期が来ているのです。

あなたの「ペットの終活」はどれくらい進んでいる?

飼い主のみなさんの中には、すでに「ペットの終活」を意識して進めている人もいると思います。また、知らず知らずのうちに必要と感じ、進めている人もいることでしょう。下記の項目は「ペットの終活」に必要と思われることを箇条書きにしたものです。チェックをしながら、どれくらい進んでいるのか確認してみましょう。

☑ペットの詳細情報をまとめてある
犬種・猫種、生年月日、性別、血統書の有無と登録情報、マイクロチップの有無と番号、去勢避妊手術の有無、購入先や譲渡先、接種済みの予防接種、病歴、手術歴、薬の副作用歴、アレルギー歴、食事内容と頻度、性格、特技、散歩のコース、飼育環境、美容など
☑かかりつけのホームドクターを決めている
☑ペット保険に入っている、あるいはもしもの時のために費用を用意している
☑留守にする際に預ける場所を決めている
☑ペットとの思い出をまとめてある
☑ペットと一緒にやりたいことを書き出してある
☑ペットと一緒にやりたいことを実行している
☑介護が必要になった場合、自分でするか別の人にお願いするか決めてある(飼い主としての介護方針)
☑介護のための費用を用意している
☑介護が必要になった場合、相談できる人を決めている
☑延命治療をするか、しないかを決めている(飼い主としての治療方針)
☑安楽死を希望するか、希望しないかを決めている(飼い主としての治療方針)
☑ペットの余命がわずかとわかったとき、残りの時間をどう過ごすか考えている
☑どんな葬儀にするか考えている
☑お骨を供養する場所を決めている
☑葬儀・お墓などの費用を用意している
☑遺影について考えている
☑自分にもしものことがあった場合、ペットを託す人を決めている(ペット信託も含む)
☑自分にもしものことがあった場合、ペットに遺産を残すか、残さないか決めている

いかがでしたでしょうか? もし、これから始める場合は、まずはペットの詳細情報をまとめて、家族が共有できる場所か、誰もがわかる場所に置くようにしましょう。その後、順番に進めていき、1冊のノートやファイルにまとめておくことをオススメします。

ペトハピでは、「ペット終活のすすめ」を全8回にわたり連載しています。「ペットの終活」をスムーズに進めるためには、連載を参考にしつつ、ペトハピで制作した「ペトハピライフノート」を活用すると良いでしょう。あらかじめ必要な項目をすべて盛り込んでありますので、多岐にわたる情報を、質問に答えるかたちで記入できます。価格は500円(税別・送料無料)にて販売していますので、必要な方は下記よりご購入ください。
※クレジットカードのご利用を希望されない場合は、ペトハピのライフノート係(life-note@pet-happy.jp)までご連絡ください。


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このノートは「ペットの終活」の意味合いから、今を楽しく幸せに過ごし、後悔を軽減することでペットロスを緩和するものです。そしてもうひとつ重要な役割があります。それは、飼い主に万が一のことがあったときのお守りということです。「もしも」は誰にでも起こります。そのとき、愛するペットが路頭に迷うことを防ぎ、新しい飼い主にスムーズに引き継がれるためのノートでもあるのです。あなたのペットに対する愛情のカタチなのです。

まとめ

飼い主であるあなたは、ペットを家族に迎えてから今日まで、どんなふうに過ごしてきましたか?「ペットの終活」を進めながら、これまでの時間を振り返り、そして、ペットとともに過ごす未来を思い描くことができたなら、これから先はより楽しく幸せな時間を過ごすことができます。「元気なうちにやりたいこと」「今のうちからやるべきこと」を今から進めていきましょう。

「ペット終活のすすめ」でもお伝えしましたが、人間もペットも命には限りがあります。その終焉のときを意識して生きることで、人生も愛するペットとの時間もさらに輝いたものになるのです。「ペットの終活」は、人間同様に「死」ではなく「生」がテーマです。愛するペットの限りある命を意識し、だからこそ今を楽しく生きる。そんな満ち足りた時間が多ければ多いほど、悲しみは深くても、少しだけ穏やかに、「ありがとう」という感謝の気持ちを添えて見送ることができると思うのです。愛するペットとあなた自身のために、「ペットの終活」を始めてみませんか?