ペットとの同行避難の認知は2割弱。アイペット「ペットのための防災対策に関する調査」

アイペット損害保険は、犬・猫飼育者の1015名を対象に、ペットのための防災対策に関するアンケート調査を実施し、その結果を公表しました。

自宅の最寄りの避難場所を認知している人に対し、「自宅から最寄りの避難場所がペットを連れて避難できるか」を尋ねたところ、「知っている」と回答した人は25.4%にとどまり、「知らない」との回答が7割以上を占めました。

「知っている」と回答した人のなかで、「避難場所のペットの受け入れ体制がわからない」と回答した人は14.7%で、8割以上が受け入れ体制についての内容を把握していました。また、2021年と比較すると、「建物の中に一緒に入ることもできる」と回答された人が5ポイント増加した一方で、「建物の中に一緒に入ることはできない」が半数以上となっており、依然、避難場所のペットの受け入れ態勢については課題を感じる結果となりました。

「ペットと一緒に避難生活を送ることを想定した場合、ペットに関する心配事」を尋ねたところ、犬・猫飼育者ともに「他人や他のペットとのトラブル」「慣れない場所でのトイレ」が上位となり、昨年と同様の回答が並びました。避難生活における心配事は、犬・猫飼育者共通のようです。

「災害の発生時に、飼い主が飼養しているペットを同行し、指定緊急避難場所まで避難すること」という文章を提示し、それが「同行避難」「同伴避難」どちらに当たるかを尋ねたところ、正解の「同行避難」を選択した人は51.9%で、昨年(55.7%)と比べ3.8ポイント減少し、内容を理解していない人が半数近くにも上るという結果となりました。自然災害の多かった2021年に微増した認知・理解度は、2020年と同水準となり、周知が進んでいないことがうかがえます。

続いて、「災害時ペットは飼い主との『同行避難』が原則とされていることを知っているか」の問いに対しては、「知っている」と回答した人は19.2%にとどまりました。特に猫飼育者では、8割強が「知らない」と回答しており、室内飼いが推奨される猫飼育者については、依然、避難については、「在宅避難」という選択肢への意識が高いことがうかがえます。

昨年より、環境省は各自治体向けにペットの受入れ態勢などについてのチェックリストを作成するなど、「同行避難」に関する態勢整備や周知などを強化しており、「原則認知」については微増しておりますが、ペット飼育者への理解浸透という点については、課題を感じる結果となりました。

「災害を想定して、ペットに関する防災対策を何かしているか」を尋ねたところ、何かしらの対策をしている飼い主は19.6%で、昨年に比べ2ポイント減少しました。犬飼育者の回答では「待てやおすわりなど基本的なしつけができている」、猫飼育者の回答では「ペット用の防災グッズを揃えている」が最多となりました。

また、昨年の調査と比較すると、災害時の迷子対策として有効な「マイクロチップの装着」については、特に犬飼育者が減少(昨年22.2%)しており、本年6月からマイクロチップ装着が義務化されますが、災害対策としての装着意識は低いことがうかがえます。​また、犬飼育者では「近隣のペットと避難できる避難所を調べた、または確認した」「在宅避難ができるよう、家具やケージ固定、落下防止などペットのための防災対策によって自宅の環境を整えている」、猫飼育者では、「普段から他人や他人のペットに慣れさせている」「ペット用の防災グッズを揃えている」がそれぞれ大幅に増加しました。

「ペットのために現時点で備えている防災グッズ」を尋ねたところ、犬・猫飼育者ともに「フード(おやつ含む)・飲料水」「トイレ用品(猫砂を含む)」が上位となりました。次に多かったのは、犬飼育者は「リード」、猫飼育者は「ケージやクレート」で、昨年と比較して大きく増加した項目は、犬飼育者は「常備薬・療養食」、猫飼育者は「ペットの保険証・健康手帳」でした。

本年6月より施行されるマイクロチップ装着義務化(既に飼われている犬や猫については「努力義務」)を前に、「マイクロチップ装着が義務化されることを知っているか」を尋ねたところ、「知っている」と回答した人は57.3%で、4割近くは「知らない」と回答しました。

マイクロチップの装着有無についても尋ねたところ、装着率は全体で23.8%となり、昨年(25.4%)に比べると微減しました。特に猫飼育者は、犬飼育者の約半分となる15.3%にとどまっており、入手経路としてペットショップで迎え入れるよりも「拾った、迷い込んできた」も多いといわれている猫の入手経路が影響を与えている可能性も考えられます。

装着目的については、犬・猫とも「装着されていたペットを迎え入れた」がトップで、昨年よりも8ポイント増加しました。またこの3年の推移を振り返ると、「装着されていたペットを迎え入れた」は、一昨年も同様に増加しており、この2年で約16ポイント増加しました。

同じく犬・猫飼育者別では、犬飼育者が、昨年から9ポイント増加しており、この2年で18ポイント以上増加しました。猫飼育者では、この2年で約13ポイント増加しています。6月の義務化施行を前に、販売元などでの対応が一段と進んでいることがうかがえます。

また、「装着していない」と回答した人を対象に、今後装着の可能性を尋ねたところ、「検討しない」が全体の6割を超えました。「検討しない」理由では、犬・猫飼育者とも「必要性を感じない」「痛そう、かわいそうだから」が上位となりました。その他自由回答では「高齢のため」「持病があるため」「寝たきりのため」などペットの年齢や体調を気づかう声の他、「どこで装着できるのか不明なため」との声もあがりました。

本年6月には、販売用の犬や猫へマイクロチップの装着を義務づける改正動物愛護管理法が施行されます。また、環境省の「人とペットの災害対策ガイドライン」では、飼い主とペットが原則一緒に避難することが明示されています。様々な選択肢に備え、日ごろから災害に対する備えを万全にしておくことが重要です。