シニア期を迎える猫のために知っておきたいこと
Q:猫のシニアと呼ばれる年齢は何歳くらいからでしょうか?
猫は生後6カ月ごろからヒートと呼ばれる発情期がくると、交配や妊娠、出産が可能で犬に比べると性成熟が早いです。1年6カ月ごろに人間でいう成人の20歳に達すると言われています。
その後は1年ごとに4歳くらいの年齢を重ね、14~15歳で寿命を迎えることになります。近年は医療の発達やフードの良質化により、20歳を超える長寿猫も少なくありません。長寿猫になるためには、10歳からのシニア期をいかに過ごすかで変わってきます。飼い主は猫の老いを受け入れ、猫に合わせてさまざまな工夫をしながらサポートしていくことが大切です。
Q:シニア期の猫にはどんな体の変化がみられるのですか?
猫の体の衰えは犬に比べるとゆっくりです。使役目的で早い時期から家畜化されていた犬とは違い、その歴史が浅いため、より野生動物に近いことが関係しているようです。
体力の低下とともに毛繕いへの関心がなくなり、被毛は乱れた状態になります。毛玉もできやすくなるので長毛種は毎日のチェックが必要です。耳(聴覚)は顕著ではありませんが、音への反応が少しずつ鈍くなります。目(視覚)の衰えはあまり感じられませんが、目ヤニなどの汚れが付きやすくなります。口内は歯石が溜まってると、口臭がつよくなる、歯が抜けるなどの症状が出てきます。歯石が付いているようなら早めに対処しましょう。
動作は鈍くなり、ジャンプ力も低下します。高所から落ちたりしてケガをすることもありますので、注意が必要です。足回りは肉球が乾燥し、割れやすくなるので、クリームなどでケアが必要です。また、爪を再生する細胞が衰えるため、伸びが遅く、厚い爪に変化していきます。
シニア期はさまざまな不調が現れる時期です。飼い主は小さな変化も見逃さないよう、つねに観察を心がけましょう。
Q:シニア期は体の変化のほかに性格にも変化がありますか?
猫じゃらしを見せると興奮して遊んでいた猫も、年を重ねるごとに関心がなくなります。好奇心旺盛な猫も動かなくなり、無気力になっていきます。体のだるさを感じれば、飼い主に呼ばれても来なくなり、頑固になったと感じることもあるでしょう。
また、不安を感じれば甘えん坊になったり、日々違う行動をとることも。飼い主はおおらかな気持ちで接することが大切です。ただ、攻撃的になったときには、甲状腺機能の異常があるかもしれません。その場合は早めに獣医へ相談しましょう。
Q:シニア期が近くなったら、飼い主が準備しておくことはありますか?
人間も年齢を重ねてから新しいことにチャレンジするのはとても大変です。特に猫は環境の変化などに敏感です。ストレスを感じることで、猫の大きな負担にならないように、シニア期に入る前から下記のことを取り組んでおくとよいでしょう。
1.猫の今を知る(口・毛・目・皮膚・耳・行動など)
現在の状態を把握することで、日々の変化がわかります。小さなことでも見逃さないようにすることが大切です。
2.かかりつけの動物病院を持つ
シニア期に入ると徐々に身体に変調をきたし、病院へ行く機会も増えてきます。あちこちの病院を転々とするよりも、いつもと違うことに気付いてもらえるかかりつけの動物病院を持っておくといいでしょう。
3.フードの内容や量を検討する
シニア期には加齢による新陳代謝の低下で肥満になったり、消化機能の低下で下痢や便秘をしやすくなります。さらに、歯の痛みや口内炎などによる食欲低下も考えられるので、年齢や状態によって、フードの内容や量を検討することが必要です。7~10歳ごろを目安にフードの見直しをすることをオススメします。
4.食器の高さを調整する
頭を下にして食事をするのは、シニア猫にとってはしんどい姿勢になります。台の上に乗せるなどして、飲み込みやすい姿勢の高さに調整してあげましょう。
5.安全な環境をつくってあげましょう
シニア期に入ると筋肉量の低下などから足腰が弱ってきます。床や段差で滑ったりしないように、キャットタワーなど高いところから落ちないように、安全な環境であるかどうか見直しておきましょう。
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