【編集興記】うちの愛犬・愛猫は太り過ぎ!? 「ペット肥満予防協会」の調査に見る現実
ちょっと気になったペット関連のトピックスを、編集スタッフが持ち回りで紹介する“不定期”コーナーです。
ペットの家族化、ペットの人間化に伴い、ペットの病気も「人間化」しています。米国では人間と同様、犬や猫にとって肥満に起因する健康問題は、今や栄養失調や飢餓といった危機を上回っています。ペットの肥満は、米国だけでなく経済的に発展した地域で現在進行中の問題です。
WHO(世界保健機関)の最新データによると、男性の肥満率が高いペット先進国は、アメリカ(41.92%/10位)、ニュージーランド(33.06%/33位)、オーストラリア(32.69%/34位)、カナダ(28.74%/49位)、イギリス(28.19%/50位)、ドイツ(25.73%/61位)などとなっています。ちなみに、日本は(6.27%/163位)と肥満率は高くありません。
しかし、長年の警告にもかかわらず、飼い主は少なくとも自分の家で問題があることにほとんど気付いていない可能性があります。
ペット肥満予防協会(APOP)は、2023年冬に飼い主と獣医師を対象とした調査を実施しました。自分のペットが太りすぎだと回答した飼い主は、犬で17%、猫で28%だけでした。ほとんどの飼い主は、ペットの状態が健康であると信じていました。
これらの数字は、実際のペットの肥満率とは大きく異なっています。APOPが2022年に行った獣医師への調査では、犬の59%と猫の61%が太りすぎまたは肥満と回答しました。
こうした認識のズレがあるにも関わらず、飼い主はペットの体重を減らす努力をしていると回答しています。
レポートでは、犬の飼い主の63%、猫の飼い主の45%が、ペットの減量に取り組んだことがあると回答していますが、ペットに減量を目的とした食事療法食を与えたことのある飼い主の割合は少なく、犬で16%、猫で24%でした。
この問題をさらに複雑にしているのは、多くの飼い主が頻繁におやつを与える習慣があることを認めていることです。犬の飼い主の58%、猫の飼い主の12%が1日1回以上おやつを与え、逆におやつを与えていない飼い主は、犬で4%、猫で30%でした。
犬の飼い主の84%、猫の飼い主の94%がペットの肥満を重大な健康問題と認識している一方、獣医師がペットの適正体重や体調について、飼い主と話していると回答したのはわずか43%でした。このことは、獣医師が年に一度の健康診断でペットの健康について認識を統一する機会を逸していることを示しています。
獣医師が体重の話題を避ける理由のひとつは、飼い主の気分を害することを恐れるからです。調査によると、84%の獣医師が、ペットが太り過ぎだといわれ、恥ずかしい思いをしたり、怒ったりする飼い主に遭遇したことがあるという。
一方で、獣医師からペットの減量の必要性について指摘された際に、不快感や恥ずかしさを感じたと回答した飼い主はわずか12%でした。実際、飼い主の76%は獣医師とペットの肥満について話すことに抵抗がなく、獣医師が遠慮しているように感じていると考えているのはわずか4%でした。
飼い主は、自分の人間の食べ物やおやつをペットに分け与えることはほとんどないと回答しています。実際のデータは、犬の飼い主の約58%、猫の飼い主の約83%にのぼりました。
今年10月7日から13日までの「World Pet Obesity Week 2024(世界ペット肥満週間)」に、APOPと世界ペット肥満協会(WPOA)は、この重大な問題にさらに光を当て、より健康的なペットのライフスタイルを促進するために、2年に一度のペット肥満有病率調査を実施します。
このデータはあくまでも米国のもので、日本の現状とは少し異なる面もあるかと思います。日本においては正確は統計データはありませんが、過去の研究では、日本の犬の肥満率は50%を超えているという調査結果が報告されています。
APOPが指摘しているとおり、ペットの肥満化は経済的に発展した地域、つまり経済先進国で顕著にみられる傾向です。それは「ペットの家族化」という社会的現象とも密接に関係しているとも考えられます。
家族であるなら、より健康的な生活を送れるように、飼い主としてしっかりサポートしたいものです。平時から「BCS(ボディコンディションスコア)」で確認しつつ、年に一度は動物病院で健康診断を受けることをオススメします。