【犬飼いTIPS】愛犬と一緒に寝ると睡眠の質が低下する!? 改善するためのアドバイス
愛犬家のなかには、愛犬と一緒に寝ている人もいるでしょう。愛犬と一緒に寝ることは、心地よい時間です。
しかし、最近の研究では、その実態が明らかになってきました。愛犬と一緒に眠ることが、あなたの睡眠の質を低下させる可能性があるというのです。
今回は、ペットと一緒に寝ることのメリットとデメリット、そして最高の眠りを得るためのヒントを探ります。
どのような研究だったの?
この調査研究は、米国の成人をサンプルにして、ペットとの添い寝が人間の睡眠特性に及ぼす影響とストレス緩和効果を検証したものです。
サンプルは18歳から91歳までの1,591人。平均年齢は46.4歳で、性別は男性43.5%/女性56.1%/未回答0.4%、人種は白人75.5%/黒人12.8%/ヒスパニックまたはラテン系10.8%/アジア系4.1%/その他3.2%でした。
ペットと一緒に添い寝していたのは約半数の758人(47.6%)で、全員が犬(76.0%)か猫(54.1%)を1匹、または2~5匹(52.2%)のペットを飼っていました。
被験者には睡眠特性(睡眠の質や効率、不眠の程度、多角的な睡眠の健康)に関する質問に回答してもらい、ペットとの添い寝が睡眠特性と関連するかどうか、またストレスを緩和するかどうかを評価しました。
研究の結果
ペットと添い寝をする人としない人の睡眠特性を比較しました。分析の結果、ペットと添い寝する人は、しない人に比べて睡眠の質が悪く、不眠症状が多いことが明らかになりました。
ペットの種類でみると、犬との添い寝では睡眠に悪影響があるという結果が得られましたが、猫との添い寝では睡眠に悪影響があるという結果は得られませんでした。
そして、驚くべきことにペットと添い寝をする人の93%は、ペットが睡眠に対してポジティブまたはニュートラルな影響を与えていると考えていました。
この結果から、ペットと添い寝をする人は、睡眠に及ぼす潜在的な悪影響に気づいていないことを示唆している可能性があります。
ペットと添い寝することのメリットとデメリット
ペットを飼っている人の多くは、ペットが精神的健康によい影響を与えると答えています。確かにペットとの生活は、身体活動を促し、規則正しい生活を習慣づけ、愛情や絆を深めるなど、飼い主の健康を改善することができます。
また、別の研究では心的外傷後ストレス障害(PTSD)の患者が悪夢に悩まされているときに、感情的なサポートができることがわかっています。実際に、退役軍人を対象とした治療にも効果を発揮しているようです。
さらに、ペットは不安や孤独感を軽減し、精神的健康状態の改善つまり感情の調整、人生の目的意識や意義を高めるのに役立ちます。ペットと触れ合うことで、成人ではオキシトシンレベルを上昇させ、子どもではコルチゾールレベルを減少させることで、リラックスとストレス軽減を促進します。
精神的な面だけでなく身体的なメリットも実証されています。ペットを撫でることで、血圧と心拍数が下がることが示されています。このように身体的健康が改善されることは、死亡リスクの低下と相関しています。
そして、多様な微生物に触れることは人間の健康に有益であり、免疫力を強化するという研究もあります。生後1年以内に犬や猫と接することで、動物やダニ、花粉などのアレルギーの発症を低減させるなど、子どもの免疫システムの発達にプラスの影響を与える可能性があります。
しかし、デメリットもあります。ペットとベッドを共有する際に、ペットが睡眠を妨げる音、熱、動きの発生源となる可能性があるということです。
質の良い睡眠は、健康と幸福を支える重要な要素です。たとえペットが精神的な健康にプラスの影響を与えるにしても、夜の睡眠不足の原因になるのであれば、睡眠によって得られる健康の一部が損なわれる可能性があります。
また、もともと動物アレルギーを持つ人は、ペットとベッドを共有することで、アレルギーを悪化させることになります。犬の場合は、毎日の散歩などで外から多様な細菌や微生物を持ち込むことになります。人間の免疫システムが強化される可能性がありますが、一緒に暮らす家族を危険にさらす可能性もあります。
最高の眠りを得るためのヒント
いま、ペットとの添い寝をしている人が、それをやめるというのは現実的ではないでしょう。では、どうしたら睡眠を改善することができるでしょうか。
睡眠医学の専門家のアドバイスは、以下のとおりです。
【十分な大きさのマットレスを選ぶ】
あなたやペットが十分に横になり、自由に寝返りがうてるような大きさのマットレスを選びましょう。
【寝具を定期的に洗濯・交換する】
微生物の拡散を防ぐには、衛生状態を良好に保つこと。また、散歩などから戻ったときには、軽くブラッシングして足を拭くことも忘れずに。
【運動とトイレ】
寝る前に散歩やトイレを済ますようにしましょう。余分なエネルギーを燃焼させ排泄の欲求がなければ、彼らも安心して眠るでしょう。
【就寝時間】
体内時計(概日リズム)はペットにもあります。ルーティンにすることで、あなたとペットの睡眠と覚醒のサイクルが似たものになります。
まとめ
今回のような調査ベースの研究では、ペットとの添い寝が睡眠障害を引き起こすことを証明することはできません。これまでの研究では、配偶者や子ども、恋人などほかの人との添い寝も睡眠に影響を与える可能性があることがわかっています。
精神衛生上のメリットは、ベッドを共有するのがロマンチックなパートナーであるほど強くなる可能性があることが示唆されています。
ペットは、そんなパートナーであるに違いありません。あとは、お互いに最高の眠りが得られるように工夫することが大切ということです。