【編集興記】世界最高齢の犬が死後にその称号を剥奪されてしまった……

ちょっと気になったペット関連のトピックスを、編集スタッフが持ち回りで紹介する“不定期”コーナーです。

以前、記事でも紹介しましたが、ギネス世界記録によると「存命中の最高齢の犬」「史上最高齢の犬」はポルトガルに住むラフェイロ・ド・アレンティジョのボビくんです。1992年5月11日生まれなので、31歳でした。

アメリカンケネルクラブ(AKC)のチャートで人間の年齢に換算すると、なんと226歳! 信じられないご長寿でした。

ボビくんは、昨年の10月21日になくなりました。年齢は31歳と165日という大往生だったということで、いろいろなメディアで取り上げられ、ギネス・ワールド・レコーズ(GWR)も「世界史上最長寿の犬・ボビが死んだ」と発表しました。

出典:Guinness World Records

しかし、今年になってその称号がほかでもないGWRによってタイトルを剥奪されることになりました。GWRの調査によると、年齢を証明する証拠がないことが明らかになり、今年1月に一時停止され、2月に正式に発表されました。

ギネス記録責任者のマーク・マッキンリー氏は、「現時点で入手できる決定的な証拠がなければ、ボビを記録保持者として保持することはできませんし、自分たちが設定した高い基準を維持していると正直に主張することもできません」とコメントしました。ただし、「もちろん、ほかの記録と同様、新しい証拠があれば喜んで評価します」とも加えました。

GWRが実際に世界記録を認定するには、その主張を裏付ける十分な証拠が必要です。写真、動画、証言、文書などがすべて必要となります。ペットの場合は、マイクロチップデータも調べることができます。

ボビくんの証拠の核心となったのは、ポルトガル政府のデータベース(SIAC)から得たマイクロチップのデータでした。2022年にチップを装着した場合、2008年以前に生まれた犬の年齢証明は必要なかったことが判明したというのです。

ボビくんの年齢に関する証拠として追加提出された獣医の声明でもこのマイクロチップのデータが引用されており、ボビくんの生年月日を決定的に証明できる証拠は何も残されていませんでした。

では、本当の世界最高齢の犬は誰なのでしょうか? じつは、ボビくんが登録される前に、29歳カか月で記録を保持していたのは、オーストラリアン・キャトル・ドッグのブルーイくんでした。

しかし、今回の調査結果により、この記録の評価も変わる可能性があるでしょう。本格的な主張をするには、マイクロチップが世界中で広く採用される必要があるとマッキンリーは主張します。

「そのときまで、私たちはペットの生涯におけるすべての証拠書類を必要とし、飼い主や獣医などの証言を求め続け、利用可能な場合にはマイクロチップのデータも考慮するつもりです」と同氏は付け加えました。

これらの理由から、GWRまだ世界最高齢の新しい犬を確認できてはいませんが、栄誉あるこのタイトルに関する情報が拡散され、世界中のペットの飼い主が連絡を取ることを奨励しています。

悲しいことに、ボビくんは31歳の誕生日を祝った数カ月後に虹の橋に旅立ちました。彼はポルトガル原産の純血種ラフェイロ・ド・アレンテージョで、家畜を守る能力があることで知られています。

この犬種の平均寿命は12年から14年で、ボビくんは予想の倍の期間を生きたと考えられていましたが、それが本当かどうかはわかりません。しかし、素晴らしい能力で貢献し、家族と幸せに過ごしたことは間違いないでしょう。