【猫飼いTIPS】猫の鳴き声の変化に気をつけよう〜生命を脅かすなど深刻である可能性も

気温が低く空気が乾燥しています。この時期、風邪をひいて喉が腫れ、数日間声が出ない(声枯れ)ことがあります。喉頭炎と呼ばれるこの症状は、ほとんどの場合は治療しなくても数日で治ります。

猫も同じように風邪をひきますが、私たちと同じように数日間声が出なくなるのでしょうか。そして、それは自然に治るものでしょうか。今回は猫の声枯れについてのお話です。

猫の声枯れとは

猫の声枯れは、喉頭(のどの声帯がある部分)の構造や機能に変化が生じたために起こります。もっとも多い原因は、上気道感染症です。これは一時的なもので、感染症が治まったあと、数日から数週間で鳴き声は通常に戻ります。

ただし、上気道感染症には獣医師の治療が必要なものもあります。目を細めている、黄色や緑色の鼻汁や目やにが出ている、元気がなく食べたり飲んだりしていないなどの症状がある場合は、獣医師の診察を受けてください。

それ以外の原因はあまり一般的ではありませんが、嚥下困難や呼吸困難につながり、生命を脅かす可能性があるなど、さらに深刻であることがよくあります。喉に詰まった異物、有毒物質接種による炎症、喉頭外傷、膿瘍(膿がたまった状態)、喉頭麻痺、喉の腫瘍などが主な原因です。

猫の声枯れの原因

猫の声枯れにはいろいろな原因が考えられます。現時点で判明している原因を見てみましょう。

上気道ウイルス感染症

私たちの風邪の症状と同様に喉頭炎を起こすことがあります。喉が腫れることで、一時的に声が変化したり、声が出なくなったりします。

良性ポリープ

猫の口の奥(上咽頭)に多く発生します。喉頭にできることもあり、その場合は鳴き声が変化します。

リンパ腫・扁平上皮癌

猫の喉に多く発生するがんです。進行すると声が出なくなったり、呼吸が荒くなったりします。

喉の外傷や損傷

異物の飲み込みや怪我(咬傷、落下傷、挫傷など)などにより、喉頭の構造に腫れや損傷が生じ、鳴き声が変化する可能性があります。

腫瘍

膿瘍は、異物の飲み込みや怪我で発症することがあります。膿瘍が大きくなると、鳴き声が変わったり、鳴かなくなったりすることがあります。

腐食性刺激

家庭で使われる洗剤などに含まれる化学物質(強酸や強アルカリ)の摂取により口や喉に腫れが生じます。鳴き声が変わったり、鳴かなくなったりすることがあります。

喉頭麻痺

喉頭には披裂軟骨と声帯ヒダがあり、呼吸できるようつねに開いています。水や食べ物を飲み込むときには、適切に食道へ通過できるように閉じます。喉頭麻痺になるとこの機能が働かず、声が変わり、呼吸が荒くなり、水や食べ物が肺に入るため誤嚥性肺炎のリスクが高くなります。

喉頭浮腫

食物や薬などのアレルギーにより咽頭内部の粘膜に浮腫(腫れや水ぶくれ)ができている状態です。鳴き声が出なくなったり、水や食べ物だけでなく、唾液も飲み込みにくくなります。

重症筋無力症

筋力低下を引き起こす自己免疫疾患です。一般的には全身の筋力が弱くなったり、疲れやすくなったりしますが、喉や食道に限局することもあり、鳴き声の変化や食べ物の吐き戻しを引き起こします。

好酸球性肉芽腫症候群

皮膚や口腔に炎症(潰瘍)が発症するもので、飲み込むのが難しくなったり、口臭がみられます。場合によっては咽頭にも炎症が起こり、腫れによって鳴き声が変わったり、完全な声が出なくなることがあります。

甲状腺機能亢進症の治療として、甲状腺の摘出手術や甲状腺結節のエタノール注入を行った猫では、ごくまれに、手術後に声が変わったり、声が出なくなったりすることがあります。

甲状腺機能亢進症の治療として、甲状腺の摘出手術や経皮的エタノール注入療法を受けた猫が、ごくまれに、処置後に鳴き声が変わったり、声が出なくなったりすることがあります。

緊急性の高いケース

猫の声枯れは、喉頭の構造や機能に変化が生じたためです。ただ、その変化は呼吸困難につながる可能性があります。次の徴候示が見られる場合は、すぐに獣医師の診察を受けてください。

首の腫れ、または頭を動かすのをためらう つねに荒い呼吸をしている(腹筋を使った呼吸をする) 歯ぐきが青、紫、または真っ赤に見える

まとめ

鳴き声に変化があっても、元気でしっかりフードを食べたり、水を飲んでいる場合は心配はいりません。軽度の上気道感染症を患っている猫のほとんどがこのカテゴリーに当てはまります。

ただし、急に食べる量や飲む量が減る、よだれを垂らしたり吐き戻たりする、遊んだりすると疲れやすく元気がないなどの症状が見られる場合は、獣医師の診断を受けましょう。