【猫飼いTIPS】サーモンは猫にとってよい食材ですか?
猫にとってサーモンは良質な食材ですか? はい、そのとおりです。サーモンは良質なタンパク源であり、ビタミンやミネラルも豊富で、オメガ3脂肪酸やオメガ6脂肪酸も含まれています。サーモンは、人間も猫にとっても栄養価の高い食材といえます。
しかし、猫はサーモンだけでは生きていけないようです。では、理想的な食材であるサーモンはどのようにして与えたらよいのでしょうか。今回はサーモンについてのお話です。
サーモンは猫にいいの?
猫は完全な肉食動物なので、食事には肉に含まれる重要な栄養素が必要です。サーモンはその動物性タンパク質に加え、ナイアシン、カリウム、セレン、ビタミンB6・B12といった猫にとって必要なビタミンやミネラルを提供します。
サーモンはどんな種類でも、どんな部位でも与えることができます。ただし、頭、鰭(ひれ)、骨は取り除いてください。飲み込むと消化管を傷つけてしまったり、窒息の危険があるからです。
このように、猫にとってサーモンは理想的なタンパク源といえます。しかし、サーモンだけでは猫の健康を維持することはできません。脂肪、炭水化物、タンパク質、その他の栄養素をすべて摂取するためには、バランスの取れた食事が必要なのです。
そのため、キャットフードの原材料のひとつとして使用されるケースが多く、愛猫に与えている総合栄養食にすでに含まれている可能性があります。
猫にサーモンを安全に与える方法
サーモンであれば何でもいいのでしょうか。それは加工法や調理法によって異なります。猫にサーモンを与える方法を考えてみましょう。
生サーモン
猫に生のサーモンを与えてもいいのでしょうか? 可能ですが、推奨はできません。猫の健康を考えれば、生よりも加熱したサーモンがよいでしょう。
生のサーモンには、病原体であるネオリケッチア・ヘルミンテカと、吸虫であるサルミンコーラが付着している可能性が高いからです。
こうした病原体などが原因で、犬がサーモン中毒症になることが知られています。ただし、猫はこうした病原体などに抵抗力があることも事実です。
しかし、この病気が猫に影響しないからといって、生のサーモンやそのほかの肉がペットたちにとって危険でないということにはなりません。米国動物病院協会(AAHA)は2012年に、猫の生食に反対する声明を発表し、全米猫獣医協会(AAFP)もこれを支持しました。
この声明には、自宅での生食が安全ではないとされています。なぜなら、人間用の生肉は病原体に汚染されている可能性があるからと書かれています。生肉に含まれる病原体の多くは、食品自体、加工や保存環境、さらには動物を介して人間に感染する可能性もあります。また、これらの病原体には、抗菌剤に耐性を持つものがあることも判明しています。
サーモンの缶詰(人間用)
サーモンの缶詰は猫が食べてもいいのでしょうか? 必ずしもよいとは限りません。サーモンの缶詰には猫にとって有害な添加物や調味料が使われている場合があるので、避けたほうが無難です。また、味付けのために塩分が多く含まれている場合がありますが、猫に必要なナトリウムの量はごくわずかです。
スモークサーモン
スモークサーモンはどうでしょう。スモークサーモンも缶詰と同様、調理や加工の過程で塩分や香辛料が添加されている場合があります。そういったものは、猫にはあまりよくありません。
サーモンの皮
サーモンの皮には、身よりもさらに多くの脂肪酸(オメガ3、オメガ6)が含まれています。頭や鰭、骨を取り除くのは当然ですが、サーモンの皮は残しておいたほうがいいかもしれません。ただし、胃腸の弱い猫の場合は、注意が必要です。
サーモンの手づくり食
サーモンを使ったいろいろな手づくり食が紹介されています。サーモンにほかの素材を加えるなど、栄養バランスが考えられています。ただし、愛猫にアレルギーがあるなどする場合は、プレーンに調理したサーモンを与えるのが無難です。
サーモンを与える際は、頭、鰭、骨を取り除きます。そのあとは、ロースト、グリル、水煮などシンプルに調理しましょう。どの調理法でも、熱を加えすぎるとサーモンの栄養素が失われる可能性がありますが、それでも生よりも安全です。
サーモンオイルのサプリメント
フィッシュオイルのサプリメントは、私たちだけでなく猫にもよいことが分かっています。しかし、サプリメントを与える際は、いつも食べているフードに足りないものを追加するのが理想的といえます。すでにフィッシュオイルが含まれ足りているでのあれば、追加する必要はありません。
また、特定のサプリメントが栄養バランスを崩す危険性があることも知っておきましょう。基礎疾患を患っている場合は、事前にかかりつけの獣医師に相談するとよいでしょう。
サーモンのおやつ
調理したサーモンは猫にとってよい食材ですが、バランスのよい食事の一部である必要があります。また、おやつとしてサーモンを与えるのもよいでしょう。ただし、その場合はカロリーに気をつけましょう。おやつのカロリーは、食事の10%以下に抑えることが推奨されています。
例えば、愛猫の体重が5kgだとします。世界小動物獣医師会(WSAVA)が発表した猫の1日のカロリーの目安は、250~290キロカロリーです。つまり、おやつから摂取するカロリーはわずか30キロカロリー以下ということになります。
サーモンの刺身は1切れが約10gで18kcalです。したがって、体重5kgの愛猫には1切れから1切半くらいがちょうどよい量となります。
まとめ
サーモンは猫にとってよい食材です。しかし、私たちのようにお刺身で食べるのは避けたほうがよいといえます。愛猫の健康のためには、ひと手間かけて調理してあげるのがおすすめです。
また、おいしいものをペロリと平らげる猫にとって、サーモンは食べ過ぎになる傾向があります。さらに、調理されたサーモンのおいしさに慣れてしまい、普段のバランスのとれたフードを食べなくなる可能性もあります。
サーモンを与えるときは、タイミングと量を考えましょう。
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