【猫飼いTIPS】うちのこは人間でいうと何歳? ~年齢とステージにあった愛猫に合ったケアを
ペットにまつわる俗説において、いまだに根強く残っているのが「1対7の法則」で、ペットは人間の1年に対して7年のスピードで年をとるという考えです。
しかし、近年ではこの説は否定されています。これまでの考え方では、20歳の猫は140歳の人間に相当することになりますが、これはあり得ないことです。交配についても同様です。猫は、早ければ生後6カ月で妊娠することができます。「1対7」の法則に換算すると、生後6カ月の猫は3歳半の人間に相当します。人間はこの年齢で赤ちゃんを産めるのでしょうか? もちろん、そんなことはありません。
このことから、猫は若い時期に早く年をとり、その後はゆっくりと成長する傾向があります。今回は、猫の年齢とライフステージについてのお話です。
猫の年齢と人間の年齢を比較する方法
2021年に、全米猫獣医協会(AAFP)と米国動物病院協会(AAHA)が共同で、「猫と人間の年齢比較表」を作成しました。
この表によると、1歳の猫は15歳、2歳の猫は24歳の人間に相当するそうです。2歳以降は、猫の1年につき人間は4年を加えていきます。これは、より論理的なアプローチであり、かなり正確だとされています。
猫のライフステージは何段階?
年齢や寿命に関係するもうひとつのトピックが、猫のライフステージです。このテーマについては、いくつかの意見がありますが、コンセンサスは得られていません。その違いは分類学における考え方の違い、いわゆる、細分主義(スプリッター)か一括主義(ランパー)かということです。
細分主義者はステージを細分化することを好み、一括主義者はいくつかのステージを一緒にして大きなカテゴリーにまとめることを好みます。ただし、共通しているのは、最初のライフステージが「子猫」であることです。
細分主義的な猫のライフステージは次のように、6段階に分けられています。
子猫期(Kitten):0~6カ月
青年期(Junior):7カ月~2歳
壮年期(Prime):3~6年
中年期(Mature):7~10年
シニア期(Senior):11~14歳
老年期(Geriatric):15歳以上
この6段階では、高齢の猫を「中年期」「シニア期」「老年期」に分けるのは理にかなっているように思えます。また、壮年期までは、厚生労働省の調査による人間のレポートにも近いように感じます。
先のAAFPとAAHAが発表したレポートでは、猫のライフステージは次のように、4段階に分けられています。こちらは一括主義的な考え方になります。
子猫期(Kitten):0~1歳
青・壮年期(Young adult):1~6歳
中年期(Mature adult):7~10歳
シニア期(Senior):10歳以上
ただし、これは少しざっくりし過ぎているようにも感じます。改正「動物の愛護及び管理に関する法律」においては、「交配時の年齢は7歳以下とする」という規定があります。7歳といえば、人間では44歳になります。「壮年期」と「中年期」のギリギリのラインです。
「壮年期」は25~44歳で、心身ともに成熟しもっとも活力がみなぎる年頃を指しています。であれば、「青・壮年期」を7歳までとして、シニア期を細分化した5つのステージに分類するのがよいのではないかと思います。
子猫期(Kitten):0~1歳
青・壮年期(Young adult):1~7歳
中年期(Mature adult):8~11歳
シニア(Kitten):12~15歳
老年期(Geriatric):16歳以上
「Geriatric」という言葉は学術的で、日常的には使われません。欧米では、老年を「スーパーシニア」と呼ぶことがあります。まるで長寿の猫がスーパーヒーローのように感じられ、好んで使われています。
愛猫の誕生日がわからない時
あらかじめ誕生日がわかっている場合は、愛猫の年齢を得手することができます。しかし、保護した猫の場合、厳密には年齢を特定することはできません。しかし、手がかりはあります。
猫の年齢を推定するときは、まず歯を見ましょう。子猫の乳歯は通常、生後3週間ごろから生え始め、生後6週間ごろには26本全部が生え揃います。3カ月から6カ月の間は乳歯が抜け、永久歯が生えてくる速度によって年齢を判断することができます。
永久歯が生えそろっている場合は少なくとも6カ月と判断し、その歯がキレイで鋭い場合は2歳未満である可能性が高いと判断します。しかし、2歳を過ぎると、歯で年齢を判断するのはかなり難しくなります。
その場合は、被毛と筋肉を調べます。若い猫の被毛は光沢があり、脚や背中に強い筋肉がついているのが一般的です。10~14歳ころになると、タンパク質や脂肪の消化能力によって、筋肉量が減少して体重が減少することがあります。また、高齢の猫は関節炎を発症するリスクが高く、運動能力や毛づくろいが制限されるため、被毛がくすんで艶がなくなります。
そのほかにも、腎臓の問題や甲状腺機能亢進症などの状況で推測することも可能です。いきつけの獣医師に確認するとよいでしょう。
まとめ
猫の年齢とライフステージを区分する最大の理由は、その時々に適した健康管理計画を立てるためです。ライフステージによって、かかりやすい病気や行動の変化、推奨される検査が異なります。飼い主として、4ステージがいいのか、6ステージがいいのか、はたまた5ステージがいいのかは、飼い主の好みしだいです。
少し前までは猫の寿命は短いとされていました。しかし、どのライフステージチャートでも、シニア期や老年期(スーパーシニア)の存在が認められているということは、猫が以前より長生きしているということであり、これは素晴らしいことだと思います。
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