【猫飼いTIPS】猫は手(前足)が器用すぎる! その理由とメリットとは?
猫はとても器用に手(前足)を使って、驚くようなことをします。引き出しを開けたり、ドアノブを下げてドアを開けたり、戸棚を開けて物を出して遊んでいたりと、じつに器用に手を使うのです。それは猫の体のつくりが関係しています。今回は猫の手についてのお話です。
猫は手を使ってどんなことをする?
SNSなどで掲載されている動画を見ていると、猫は手を使ってさまざまなことを成し遂げています。その例をいくつか挙げてみたいと思います。
■引き出しを開ける ■ドアノブを下げてドアを開ける
■引き戸を音もなく開ける ■フードを手で掴んで食べる
■好きなフードを選び、掴んで食べる ■水をすくって飲む
■おもちゃを手で掴む ■投げたものを両手でキャッチする
■水槽に手を入れて魚を掴む ■ケージの鍵を内側から開ける
■片手で物を押したり引いたりして移動できる
このような行動には個体差がありますので、すべての猫が行うわけではありません。ヒトにも器用・不器用があるように猫にもそれはあるようです。
なぜ猫は手を器用に動かすことができるの?
手を動かすためには、鎖骨が機能していることが重要となります。同じ4足歩行の動物でも、犬の場合は鎖骨が退化していてほとんど手を左右に動かすことができません。しかし、猫の場合は鎖骨が十分に機能しているので、左右に動かすことができるのです。猫が器用なのはこの鎖骨のおかげなのです。
ヒトの鎖骨はほかの骨と関節を持っていますが、猫の鎖骨は非常に小さく関節を持っていません。この構造によって猫は狭いすき間でも顔さえ通れば、全身すり抜けられる柔軟性を持ち、手を内向きにすることもできます。物を挟んだり、抱えたり、すくったり、耳の後ろまで手を回して顔を洗うことができたりするのです。遊んでいてテンションが上がったり、喧嘩をする際に、クイッと威力のある猫パンチができるのもそのためです。
手を使えることは猫にとって重要なこと
犬の鎖骨が退化したのに対して、猫の鎖骨が退化しなかったのはなぜでしょうか。それは、猫の行動範囲や獲物の捕らえ方に関係しています。猫は比較的狭い範囲にテリトリーをつくり行動します。近距離で獲物を捕らえて手で掴み、後ろ足でキックを繰り返し攻撃します。しっかりと獲物を掴むには、手を内向きに動かせることが必須なのです。一方、長距離を走る犬にとっては手が左右にぶれないほうが都合よく、そのために鎖骨が退化したと考えられています。
多指症の猫はさらに器用
ノーベル賞作家のアーネスト・ヘミングウェイはとても猫が好きで、執筆活動を行うキーウエストに来る際に知り合いの船長から2匹の猫を譲り受けたそうです。その猫たちは指が6本ある多指症の猫でした。器用な手の持ち主であるその猫たちをとてもかわいがり、「幸運を呼ぶ猫」だと信じていました。
メインクーンの先祖は指が6本であったといわれているので、ヘミングウェイが飼っていた猫はメインクーンだったという説が高くなっています。多指症の猫は船では重宝されていました。もともと手が器用な猫ですが、指が6本あることで、船上でマストに渡したロープに軽々と登ることができ、積荷に被害を及ぼすネズミがそこに登ってしまっても追いかけて捕まえることができたとされています。使役目的で多くの多指の猫が船に乗っていたようです。
まとめ
猫が器用なのは鎖骨が十分に機能し、手を左右に動かすことができるからです。狭い範囲のテリトリー内で、近距離で獲物を捕らえて手で掴み、後ろ足でキックを繰り返し攻撃するという、猫の行動範囲や獲物の捕らえ方に関係していたのですね。犬とは違った器用さでさまざまなことを成し遂げる猫たち。これからもその行動に目が離せません。
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