【猫飼いTIPS】意外と知らない「キャットニップ」の正しい使い方

キャットニップは、シソ科イヌハッカ属に属しているハーブで、葉の形状や香りがミントによく似ています。欧米では料理のスパイスやサラダとして古くから使われていて、現在は日本でも人気の高いハーブのひとつです。キャットニップには発汗作用や解熱作用があるので、風邪を引いたときや眠れないときにハーブティーとして飲む人もいます。

ペット用としても浸透しつつあり、キャットミントやイヌハッカとして知られています。しかし、意外とその正しい使い方を知らない飼い主さんも多くいます。今回はキャットニップについてのお話です。

猫も楽しめるハーブ

キャットニップは人間だけでなく、猫にも人気が高いハーブです。マタタビと同じような効果があるため、「西洋マタタビ」とも呼ばれています。その名前に由来は「猫が噛む」という言葉だそうです。

キャットニップには「ネペタラクトン」と呼ばれイヌハッカから単離された有機化合物が含まれていて、猫がこの成分を嗅いだり、食べたりすると、マタタビを摂取した際と同様に興奮状態になったり、高揚状態になったりします。また、ストレス解消やリラックス効果も期待されていて、ゴロゴロと喉を鳴らしながら転げまわることもあります。一方で、キャットニップにまったく反応しない猫もいるようです。

しかし、メキシコの研究者グループが2017年に発表した論文「Active and passive responses to catnip (Nepeta cataria) are affected by age, sex and early gonadectomy in male and female cats」によると、イヌハッカに対してゴロゴロ寝っ転がったり、鳴いたりした能動的な反応を示した猫は約20%で、残りの約80%の猫が「まるでスフィンクスのような体勢でうっとりする」という受動的な反応をしめしたとしています。

この結果は「ほとんどの猫が何らかの形でイヌハッカの影響を受けていることを示唆する」と論じました。これまで3分の1の猫はネペタラクトンに反応しないため、すべてての猫がその影響を受けるわけではないと考えられていましたが、この研究により一見すると何の反応も示していない猫でも少なからず影響を受けることが解明されたのです。

キャットニップとマタタビの違いは?

マタタビはキャットニップより効果が強く、猫も強く反応します。枝や実、粉末やスプレーなど様々な種類のものが市販されています。マタタビによる反応は、猫の上顎にあるヤコブソン器官(フェロモンを感知する器官)をマタタビ特有の成分であるマタタビラクトンやアクチニジンが通ることによって引き起こされます。

マタタビは中枢神経を麻痺させるので、大量に摂取したり、長時間摂取を続けると異常麻痺が起こり、呼吸困難や心肺停止などを招く危険性が潜んでいるのです。最悪の場合には、死に至るケースもあります。そのため、猫が勝手に大量のマタタビを摂取しないように、管理方法や与え方には十分な注意が必要です。

一方、キャットニップはマタタビと同じような効果があるものの、マタタビより効力が弱いので安全だとされています。使用により猫が呼吸困難等の危険な状態に陥ったという報告はありません。しかし、キャットニップの種子の大量摂取は危険ですから、猫に与えないようにする必要があります。

キャットニップの効果と正しい与え方

前述したようにマタタビより効力が弱いキャットニップですが、そのぶん害がなく安全性が高いので安心して猫に与えることができます。期待できる効能には興奮やストレスの緩和、幸福感、活発になる、元気になるなどが挙げられます。

また、解熱作用や蚊よけの効果もあるとされているので、そのために使用されることもあるようです。高齢や肥満気味の猫の場合、キャットニップを与えることで喜んで遊ぶようになり、運動不足や肥満解消にもよい効果が得られます。

さまざまなキャットニップが市販されています。それぞれ目的や用途に合わせて使い分けるとよいでしょう。

ストレス解消に使う

キャットニップを直接与えるとストレス解消に繋がります。ニオイを嗅がせる、または食べさせます。1回に与 える量は耳かき1杯程度といわれていますので適量を遵守しましょう。与える頻度は週に1~2回。与え過ぎは 反応が薄まります。

しつけに使う

猫があちこちで爪とぎをしてしまう場合には、キャットニップそのものやスプレーを振りかけることで爪と ぎの場所を覚えてくれます。

おもちゃに使う

猫は飽きやすく、同じおもちゃが続くと遊ばなくなります。その場合におもちゃにキャットニップのパウダーやスプレーを振りかけると、再び反応を示すようになります。キャットニップ入りのおもちゃを与えるのもひとつの方法です。

しかし、キャットニップへの反応は個体差があり、猫によってそれぞれ違います。キャットニップを嗅ぐことで興奮しすぎてしまい、飼い主やほかの猫に攻撃的な反応を示す子もいます。そのために猫同士が喧嘩となり、大怪我を負ってしまう可能性もあるのです。多頭飼育の場合には、それぞれの猫がキャットニップに対してどのような反応を示すのか、注意深く観察する必要があるでしょう。

まとめ

キャットニップは、害がなく安全性が高いので安心して猫に与えることができます。キャットニップは苗から育てることもできます。また、キャットニップを入手して愛猫のためにおもちゃを手づくりすることもオススメです。キャットニップを正しく使って、愛猫との生活をさらに充実した楽しいものにしてみませんか。