腸内細菌から学ぶ人生の教訓〜腸内細菌を殺す存在は抗生剤だけじゃなかった!〜

腸内に住む細菌たちは、人間や犬猫が消化吸収できない糖質(難消化性の食物繊維やオリゴ糖)を独自の酵素でバラバラにして消化し、最終的に人間や犬猫にとって貴重なギフト(酪酸など)として提供してくれます。

しかし、ときに我々はせっかくギフトを与えてくれる腸内細菌を殺してしまいます。その行為の代表が、抗生剤の服用。まるで戦場で敵ではなく味方に銃弾を撃ち込むように……。もちろん、無敵のスーパー耐性菌も存在するため、抗生剤を服用してもすべての腸内細菌が死滅するわけではありません。しかし、抗生剤が腸内細菌叢の構成を乱すことは間違いないのです。

2018年に総合学術雑誌『Nature』に掲載された「Extensive impact of non-antibiotic drugs on human gut bacteria(非抗生物質がヒトの腸内細菌に与える広範な影響)」という論文によると、抗生物質以外の多くの薬剤が腸内細菌叢に影響を与えることがわかっています。

・抗生剤の78%が腸内に住む細菌を殺す
・抗生剤以外の市販薬の24%が腸内に住む細菌に影響を与えた
・なかでも向精神薬は腸内細菌の増殖を抑制する影響が大きい
・抗生剤以外でも長期間服用することで耐性菌を誘発する可能性がある


確かにストレスフルな世の中を生きる我々にとって、見えない敵や将来の不安と戦う必要があります。不運にもトラップを踏んしまえばゲームオーバーになるリスクもあります。ただ、一瞬も油断できない戦場で、敵ではなく味方に銃弾を撃ち込むことは避けたいです。

【戦場での教訓】
「間違っても戦場でウロウロするな!」
流れ弾にあたったり、敵と認識されて誤射されてしまう。
「無駄な血を流すな!」
心を落ち着け弾を補充し、今日1日を無事生き延びるんだ。

諸君の健闘を切に祈る。解散!