【猫飼いTIPS】子猫も成猫も要注意! “猫風邪”とは?
通称“猫風邪”と呼ばれているのが、「上部気道感染症」です。鼻から喉までの空気の通り道である上部気道に感染が起こる疾患です。毎年10月~2月の寒い時期に多いとされていますが、それ以外の時期でも感染は見られます。今回は、上部気道感染症についてのお話です。
感染するとどんな症状が見られるの?
上部気道感染症は、感染により鼻や喉などに炎症が起こります。感染すると2~5日程度の潜伏期間を経て、くしゃみ、鼻水、流涙、食欲不振、呼吸異常、開口呼吸、発熱などの症状が見られるようになります。合併症がなければ、10~14日程度で回復します。
しかし、猫の場合には鼻が詰まってニオイがわからないとまったく食べなくなることもあります。そのような食欲不振、また肺炎、角膜潰瘍、口内炎などの合併症には注意が必要です。特に子猫や若年の猫では肺炎の発症率が高く、感染によって命を落とす場合もあります。
上部気道感染症の主な原因は?
上部気道感染症の主な原因となるウイルスは、ヘルペスウイルスI型とカリシウイルスです。クラミジアは一種の細菌感染ですが、これも結果的に上部気道感染症を起こす原因になっています。非常に感染力が強いうえ、容易に感染します。免疫力や体力が十分でない子猫やほかの猫と接触する機会が多い猫などは、感染リスクが高くなります。
上部気道感染症の感染ルートは?
多くの場合、ペットショップ等から購入したばかり、ブリーダー・動物愛護団体から迎えたばかりの猫が感染しています。感染した猫と接触したり、フードや水の入れ物など、汚染されたものを共有した場合、感染する可能性が高くなります。
鼻水やくしゃみなどの飛沫感染もあり容易に感染します。そのため、多頭飼育の環境では上部気道感染症の感染率が非常に高くなります。ペットホテルに滞在した、キャットショーに参加したなどの場合もそこで感染する可能性も否めません。
上部気道感染症から回復した猫は、ストレスがかかるとその後も定期的にウイルスを排出する可能性があります。一度上部気道感染症にかかった猫が再発することは稀ですが、ウイルスを保有していると考えられます。そのような猫に接触することによっても感染は広がります。このようにして、上部気道感染症が伝播されていくのです。
上部気道感染症の治療法は?
上部気道感染症のほとんどはウイルス性で、これらのウイルスを殺す薬はありません。そのため、治療においてはその症状を緩和し、猫の全身状態を維持していくことが主となります。適切な食事、十分な水分補給、抗生物質、ネブライゼーション(噴霧療法)など、回復を早める治療を行います。
もし、角膜潰瘍がある場合には、目薬も必要です。通院での治療となりますが、症状が重い場合には、入院が必要になることもあります。
また、ウイルスがほかの猫に感染する可能性があるので、猫が十分に回復するまではほかの猫との接触は避けるようにします。
上部気道感染症の予防法は?
上部気道感染症を予防するためには、その原因となるヘルペスウイルスとカリシウイルスに対応することができる混合ワクチンの接種が必須です。3種、4種、5種の混合ワクチンがあり、猫のライフスタイルに合ったワクチンを接種することが大切です。
まとめ
愛猫に上部気道感染症の症状が表れていたら、重症化しないように早めに動物病院を受診しましょう。上部気道感染症に感染する可能性をできる限り減らすためには、ワクチン接種が必須です。
鼻が詰まることで食欲不振に陥ることは、猫にとっても大変辛いものです。子猫も成猫も容易に感染します。愛猫にそのような辛い思いをさせないように、必要な期限内にワクチン接種を受けるように心がけましょう。
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