腸内細菌がつくり出すリーサルウェポン「短鎖脂肪酸」を増やせ!

アイドルグループ「腸活」があったら、主力メンバーが短鎖脂肪酸です。AKB48に例えるなら、酢酸が前田 敦子、酪酸が指原 莉乃、プロピオン酸が大島 優子というところか。つまり、短鎖脂肪酸がめちゃくちゃ人気だから成り立つアイドルグループと理解してもらえば間違いないでしょう。

医学的に短鎖脂肪酸を説明すると、「食物繊維や難消化性オリゴ糖などが大腸の腸内細菌によって発酵分解されてできた成分」ということになります。では、腸内に住む細菌が増えるとどんないいことがあるかといえば、以下のとおり。

大腸内のpHを酸性に傾けることによって悪玉菌が減るため腸内環境の改善に役立つ
大腸がウニョウニョ動くための燃料となる
腸管がウニョウニョ動くのを応援してくれるため便秘の改善につながる
腸管内バリア機能が高まるので病気の予防つながる
腸内細菌が短鎖脂肪酸をつくることで鉄やマグネシウムなどのミネラルの吸収が増える
腸内細菌が短鎖脂肪酸をつくることで花粉症などの炎症反応を抑える制御性T細胞というブレーキ役の免疫細胞が増えるのでアレルギー症状が緩和する
腸内細菌が短鎖脂肪酸をつくることで食欲抑制ホルモン(PYY)がバンバン分泌されるのでダイエット効果がある
腸内細菌が短鎖脂肪酸をつくることで交感神経がビンビン刺激され、消費エネルギーが増えGLP-1ホルモンがバンバン出て食欲が抑えられることでダイエット効果が期待できる
腸内細菌がつくり出す物質で大腸癌や肝臓癌になるリスクがあるんだけど、腸内細菌がそれを阻止してくれる


ただし、腸内に住む細菌が増えるのがいいことばかりとも限りません。以下のように悪いこともあるのです。

×腸内細菌がつくり出す物質(インドール)が腎臓にダメージを与えて腎不全になる
×アッカーマインシアという腸内細菌が増えると粘膜(ムチン)が破壊されて毒素(α-シヌクレイン)が腸から脳へ移動してパーキンソン病になる
×ストレスを受けると腸管(小腸のパネート細胞)から出動する防衛部隊(αディフェンシン)がなくなることで治安が乱れ腸内細菌のバランスが乱れる


超(腸)スゴイじゃん! 足元に咲く小さな花にも気付ける人生にしたいと思って過ごしているけど、腸内で活躍する小さな細菌たちの存在にも気付ける人生にしたい。そんな気持ちで日々研究に取り組んでおります。