買い占めてしまってごめんなさい!

毎年、年賀状は無地のポストカードを購入して自分でデザインを印刷しています。年によって枚数は変わりますが、オーナーさんに400枚程度お送りしています。印刷が終わると切手を買いに行きます。

年賀状を書き終えたので、買い物ついでに切手を買いに行きました。最近は三重県の伊賀上野に買い物に行くことが多く、JR伊賀上野駅の近くにある郵便局に立ち寄りました。こぢんまりした小さな郵便局です。窓口は2つ、キャッシュディスペンサーは1つしかありません。局内にお客さんが3人入るともう満杯という感じです。ちなみに、わが家から一番近い郵便局は信楽なのですが、駐車場が狭く交通量の多い道に面しているのであまり利用していません。

何種類か違う絵柄の切手シートを数枚ずつ購入しようと考えていました。枚数が多いので、シール式の切手が良いなぁと思っていたのです。窓口で要望を伝えると10枚綴りのシートは1種類しかないと。しかも5シートしかありませんでした。すると奥から局長さんらしき方が50枚綴りのシートを3枚出してきてくれました。全部で200枚。「これで今あるシール式は全部です」ということでした。私は「全部私が購入してしまったら、別の方が買いに来たら困りますよね?」と聞くと、「普通の切手があるので、大丈夫です」との返答。迷いましたが、大丈夫と何度も言われるので、「買い占めてしまってごめんなさい」と伝えて200枚を購入して帰りました。

些細なことではありますが、田舎暮らしを実感したような気がしました。私は当たり前のように「400枚購入して」「何種類か違う絵柄の切手シートを数枚ずつ購入して……」と考えていました。しかし、そもそも1日にその郵便局を訪れる人は少ないでしょうし、それほど多くの切手シートを購入する人も少ないのでしょう。都会のように「痒い所に手が届く」というわけにはいかないのです。

しかし、「痒い所に手が届かない」生活は、客船で仕事をしていた時に慣れています。港を出港したら海の上。例えば日本からハワイまでは8日間かかります。欲しいものがあってもすぐに入手できません。誰かと連絡を取りたくても、思うように連絡は取れません。「親の死に目に会えない」のが船で働く者の宿命です。そんな生活を長い間続けてきたので、田舎暮らしは特に不自由さを感じていません。自由に買い物に行けるし、友人知人と連絡も取れるし、むしろ快適です。そのうえ、大自然に囲まれて、のんびりと穏やかに暮らせるので、移住をして本当によかったと感じています。

わが家の猫を家族に迎えてくださる方はリピーターが多いのですが、新しいオーナーさんが増えれば年賀状の枚数も増えていきます。こうして毎年近況を報告しあうなど、生涯にわたってお付き合いが続きます。来年は年賀はがきにするか、それとも63円切手を事前に予約しておくか……。

後日、不足している切手を買いに信楽の郵便局に行ったら、局内にはムード歌謡が流れていました。昭和の香りがプンプン。局長さんの趣味でしょうか(笑)。