【猫飼いTIPS】猫に歯磨きって必要なの?
猫は虫歯になるのは極めて稀といわれていますが、歯周病で悩まれている飼い主はたくさんいます。そのために日々病院へ通わなくてはならない猫もじつは多いのです。歯周病は猫の食生活の変化によって増えてしまった現代病といわれています。野生で暮らしている猫は、捕まえた獲物の大きな塊の肉や皮を噛み切ることで、歯をキレイに掃除することができるので、歯の隙間などの歯垢も溜まりにくくなります。
しかし、人間と一緒に室内で暮らしている猫が食べているのは、食べやすい大きさのドライフードや柔らかいウエットフードです。最近はペースト状のおやつも人気で、多くの飼い主が愛猫に与えていることでしょう。噛み切るということがほとんどないため、歯の隙間に食べ物が残ってしまい、歯垢も溜まりやすいのです。猫の歯周病が増えているのはそれが要因で、予防をするためには歯磨きが必要なのです。
歯肉炎や歯周病ってどんな病気?
歯周病とは歯を支える歯周組織(歯肉、歯根膜、歯槽骨、エナメル質)の病気のことで、治療により回復する歯肉炎と正常に戻すことが困難な歯周病があります。若いころには歯肉炎の猫が多く見られ回復傾向にありますが、2歳以上の猫に関しては歯石の付着率が高まり、それとともに歯周病の発生率も上がっています。猫の歯石は全体の90%に見られるといわれていて、ドライフードよりもウエットフードを食べている猫のほうが歯石の付く確率が高いようです。
歯周病の原因は歯垢や歯肉溝の細菌で、それがもとで炎症が起こり、口腔内の衛生状態、抵抗力、免疫力が絡み合って進行していきます。歯周病の初期には歯肉が赤くなる(歯肉炎)などの症状がありますが、放置すると炎症が進み、歯槽骨を侵して歯周ポケットをつくります。そのポケットに膿が溜まり、強い口臭や出血が見られるようになります。最終的には歯が脱落してしまうという怖い病気です。
猫の歯磨きは難しい?
歯周病の予防に効果的なのは、やはり人間と同じように歯磨きをすることです。しかし、猫に歯磨きをするのは犬よりも難しく、口を開けることさえできない場合もあります。猫の性格によってはあきらめなければなりません。できれば、永久歯が生え揃う時期(生後6カ月前後)までに慣らしておくと、その後の歯磨きが楽にできることでしょう。ただ、成猫でも少しずつ慣らすことで歯磨きができることもあります。初めからあきらめずに試してみるとよいでしょう。
▶STEP1
まずは、愛猫とコミュニケーションを取りながら口の周りを触ることから始めます。いつものように頭を撫でたりするときに一緒に触れるようにします。口の周りを触られることに慣れてもらいましょう。
▶STEP2
口の周りを触られることに慣れてきたら、口のなかに指を入れて歯を触ってみます。まずは手前の歯から触り、慣れてきたら徐々に奥の歯に進みます。無理に触ろうとすると噛まれてしまうこともあるので、様子を見ながら根気よく続けてみましょう。
▶STEP3
指で歯を触れるようになったら、ガーゼや無香料のウエットティッシュなどを指に巻き付けて、歯の表面を磨きます。そのままで嫌がるようなら、ペット用の歯磨きペーストなどを付けるとよいです。全体が磨けるようになるまで、少しずつ磨く範囲を広げていきます。
▶STEP4
STEP1~3ができてから、初めて歯ブラシを使います。手前の歯から磨き、徐々に奥の歯に進んでいきます。初日から全部を行おうとせずに、愛猫の様子を見ながらできるところまで磨きます。少しずつ磨く範囲を広げていきます。
歯ブラシの使い方と頻度
歯ブラシは人間の歯磨きと同じように、歯に対して少し斜めに角度をつけて横方向に小刻みに動かします。力を入れすぎると痛がって嫌なものと認識してしまいますので、力を入れる必要はありません。歯茎を傷つけてしまうこともあるので、軽く磨くという感覚で行います。歯と歯茎の間に溜まった歯垢を掻き出すように動かしていきましょう。猫の歯で歯石ができやすいのは上顎の奥の歯です。この部分を重点的に行うとよいでしょう。 人間の歯磨きと同じようにポイントを押さえて磨くことが大切です。猫の永久歯は30本ありますので、奥から順番にすべて磨けたら終わりです。1日1回が理想的ですが、歯垢が歯石になるのには1週間ほどかかるといわれていますので、週2~3回でも効果はあるようです。また、どうしても歯ブラシを使えない場合は、STEP3を行うとよいでしょう。
歯磨きが無理な場合はどうしたらよいの?
どうしても歯磨きは無理という場合は、口腔内スプレーなどのケア用品を使用してみましょう。歯磨きほどの効果は期待できませんが、歯垢が付きにくい口腔環境をつくることができます。そもそも口に触ることができない場合は、大きな粒のドライフードや、ブラッシング効果のあるドライフードを与えるとよいです。また、おやつにも歯垢を取りやすくするものがありますので、積極的に取り入れるとよいでしょう。
すでに歯石がある場合にはどうしたらよいの?
すでに歯垢が歯石になっている場合は、いくら歯磨きをしてもなかなか取ることはできません。飼い主が歯石を取ることも難しいでしょう。その場合はかかりつけの獣医師に相談をし、歯石除去をしてあげましょう。
まとめ
歯周病を予防することは、猫の生涯を考えたらとても大切なものです。歯の健康を維持することは、食事の摂取にも大きな影響を与えます。健康な毎日を過ごすことができ、寿命もおのずと延びることでしょう。しかし、無理に行うことは猫が苦痛なだけでなく、飼い主のことも嫌いになってしまうかもしれません。あくまでも飼い主と猫が良好な関係でいられるところまでが、自宅でできるケアと考えることが大切です。そこから先はかかりつけの獣医師に相談し、最適な方法を選択してください。
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