注目度がますますアップする「国産」ペットフード (後編)
前回の記事で、いまお使いのペットフードを「選んだ理由」がある人は、ペットフードに対する意識が高い人だ、というお話をしたところ、具体的にはどのフードを選ぶのが正しいの? と質問をいただきました。
価格が安いから選んだ……は100%人間側の懐具合の問題ですから省くとして、基本は犬や猫が健康で長生きでき、おいしく食べてもらえるフードを探そう、ということでしょう。しかし、このフードを選ぶのが正しい、という定石はないはずです。とくに犬は、身体のサイズも体型も、活動状況も飼育環境も、そして性格もフードの好き嫌いも千差万別。そのうえにライフステージや疾病対策も絡んできますから、ある犬にはピッタリのフードがほかの犬にはまったく合わない、ということも、ごく普通に起こり得ます。
とはいえ、それでは雲をつかむような話になってしまいますので、一例として私が愛犬のフードをどう選んできたかをお話ししましょう。ここではドライフードの話に絞りますが、実際はウェットフードや手づくりフード、おやつも採り入れています。犬種はサモエド、現在は10歳のシニア犬です。
幼年期はアドバンスのグロースを中心に、いわゆる幼年期フードを何種類かローテーションで与えていました。身体がグングン成長する時期ですから、タンパク質やカルシウムをはじめとした身体をつくる栄養素を多く含み、カロリーも十分に摂れるかに重点を置いたわけです。
昨今は、年齢別フードや犬種別フードなど多種多様なフードが発売されていますので、愛犬のライフステージに合わせて選ぶべきでしょう。正直、成犬用のフードを幼犬に与えても健康を大きく損なうとは思えませんが、やはり最善を尽くしたいですから。
1種類のフードに固定しなかったのは、何でも好き嫌いなく食べる犬になるんじゃないかな、と考えたからです。実際にそれは成功したようで、何を出されても大喜びで食べる、手のかからない子になりました。その反面、拾い食いをしないようしつけるのに苦労しましたが。
成犬になってからは、ナチュラルバランス、ネイチャーズバラエティ、ピナクルなど、穀物系ではないフードのローテーションでした。サモエドは白くてモコモコのコート(体毛)が特徴ですが、与えるフードによっては涙焼けやよだれ焼けが多くなるのが困りもので、フードの選択には気を使います。うちの子の場合は穀物系フードを与えるとオナラの量が増え、うんちの質もいまひとつだったので、魚や肉中心のオーガニックフード中心で固定しました。
前回お話しした、フードの原材料表示を確認しようという理由は、こういう使い分けができるからです。その後、アレルギー検査でビーフやチキン、米などにアレルギー反応があることがわかったときも、原材料表示を確認する習慣が役立ちました。獣医さんによると、アレルギー検査、とくに簡易検査は精度が高くないのだそうです。でも、そうは言われても気になりますよね。
食事は1日2回。サモエドは胃がクルッとねじれてしまう胃捻転を起こしやすい犬種なので、大満腹になるのを避けるためです。食事のタイミングはあえてバラバラにし、要求吠えが起こりにくいようにしました。毎日決まった時間とタイミングで食事を与えていると、時間がきたら吠えて催促する犬になってしまうかもしれないと考えたからです。また、フードに書かれている体重毎の給餌量は当てになりません。あれはあくまでも目安です。うちの子は、給餌量どおりに与えようものならどんどん太ってしまいます。ぽっちゃりした犬も愛嬌があっていいのですが、健康を考えたらやはり肥満はよくないでしょう。
もちろん「待て」「よし」はキッチリ教え、食事の途中でフードに手を伸ばしても、うなったり嫌がったりは一切しないようにしました。おやつを食べていても、「ちょうだい」と手を伸ばすと食べ止めて渡してくれます。食べてはいけないものを口にしたとき、飲み込む前に止めさせるのが目的です。このころ、フード選びは私が、フードの与え方をはじめとした細かな気配りは元妻が担当していました。家族全員がフードに興味を持つことも、愛犬に健康的な一生を送ってもらうためにはとても大切なことではないでしょうか。
現在は、定期健診の結果を受け療法食を処方してもらっています。と、こんな感じでフードを選びながらシニア犬になったわけですが、うちの子は10歳とは思えないほど若々しく毛ぶきも毛並みもよく元気いっぱいで、会った方からよく驚かれます。もし値段だけでフードを選び与え続けてきたら? もしかしたら同じように健康で元気いっぱいだったのかもしれませんが、何かあったときに後悔はしたくないので、フードへのこだわりは価値あるこだわりだと考えています。
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