ペット先進国・ドイツを視察して ~Vol.2 ペット専門店編~
前回の動物病院編に引き続き、今回はフランクフルトで視察した、ペット専門店「KOLLE-ZOO」を紹介したい。
5月24日に店舗を訪問し、店長であるMr. Claus Waschk氏に案内してもらった。現在、ドイツ国内にKOLLE-ZOOは14店舗あり、開業から7年が経過している。KOLLEは創始者の名前をとっており、パンダがシンボルマークとなっている。店舗の大きさは、1500㎡から最大3000㎡まであり、フランクフルトの店舗は2500㎡という広さであった。
店舗には、動物病院とトリミングサロンも併設されている。14店舗合わせての売上は約70億円となっている。ちなみにフランクフルト店の売上は約5億円で、店内で働いているスタッフは30人である。
毎週月曜日から土曜日の週6日制で、営業時間は10時から20時となっている。店舗に入ると、まずはキレイな鑑賞魚が入った大きな水槽が迎えてくれる。また、店内にはシンボルマークのパンダ、天井には小鳥のオブジェが飾られおり、楽しい雰囲気となっている。ほとんどニオイがないので、その理由を尋ねたところ、開店前の8時から10時と19時から21時の毎日2回(各2時間)掃除を行っているそうだ。
KOLLE-ZOOは、「お客に動物に対して愛情を持ってもらうこと」をつねに考えて経営をしているのが特徴だ。ウサギ、ハムスター、モルモット、小鳥、観賞魚、鯉などは販売しているが、犬と猫は販売していない。ハムスターは夜行性なので、17時を過ぎないと販売しないという方針である。動物の習性を大切にしながら、店舗を運営しているのだ。
店舗は「ZOO」と称しているように、ミニ動物園を目指しており、店内でいかに動物たちが自然に近い形で暮らしてもらうかを大切にしている。また、子どもたちに、動物について適宜教育する時間も設けており、来店客の平均滞留時間はなんと1時間30分とのことであった。滞留時間が長ければ長いほど、売上が上がることは各種データからも周知の事実であるが、楽しさや啓発活動の提供を通じて、1回の訪問時間をできるだけ長くするように努力している。
そして、犬や猫を含めた動物は、ティアハイムから譲り受けてもらうようにお客には伝えているそうだ。ティアハイムから動物を譲り受けた里親には、50ユーロ分(約6000円相当)のペットフードを無償で提供している。とてもうれしいサービスである。
売上の約半分は、犬・猫+小動物のフード・用品関係で占められており、その中で30%は犬用とのことであった。残りの半分は鑑賞魚のフード・用品関係となっている。最近では、ガムが売上を伸ばしているようで、原材料としては、ラム、牛、馬が使われている。猫の場合は、キャットタワーが人気となっているそうだ。また、立派なキレイな鯉を新潟県から輸入しており、新潟の鯉も人気が高いと聞いて、新潟県人としても誇らしく思った次第である。
日本では目にすることはないが、野生のうさぎの耳が6ユーロ(約720円)で販売されていた。しかも、犬用のガムとして人気であることには、正直驚いた。犬の歯石・歯垢の除去に効果があり、うさぎの耳を噛んだときに毛を一緒に食べてしまっても、アレルギーを起こすことがないのが理由だという。また、犬の嗜好にもマッチして喜んで食べることが再発見され、各社が商品化を進めているそうだが、その目的のためにうさぎを大量に繁殖したり乱獲していることはない。もともとドイツには、ジビエとしてうさぎを食べる食文化があり、狩猟協会と提携して譲り受けるなど、食材に使わない耳を犬用のガムにしているそうだ。
店内にあるキッチンでは、ペットフードの素材情報をコンピューターで提供しており、各々のペットにふさわしいフード(適切な原材料を混ぜたフード)がつくられる。このサービスを利用する人も増えてきているそうだ。
KOLLE-ZOOを訪問して、来店客が楽しく過ごせる時間、学びの時間を提供していることに感銘を受けた。一人ひとりの来店客を大切にし、繰り返し訪問したいと思わせる創意工夫を続ける素晴らしい店舗であった。このようなペット専門店が増えることは、ペットに関心を持ってもらう人を増やすことに貢献し、ペットを愛する人が増えると確信した。
そして、ドイツには各都市にティアハイムがある。これまでにベルリン、ケルン、ニュルンベルクのティアハイムを訪れたが、次回はフランクフルトのティアハイムについて紹介しよう。
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